地域の頑張る企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」です。
今回は埼玉県羽生市からです。重さ1トンを超えるような大型のアルミ製品を作り出す独自の技術で業界を牽引する企業を取材しました。
株式会社田島軽金属
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埼玉県の北西部にある羽生市。商工業の集積地として知られています。
ここに国内でも有数の技術を持つ鋳物工場があります。
アルミ鋳造を手掛ける田島軽金属。1968年創業、従業員90人。
売り上げは20億円に上ります。
当社の強みである大型の部品。
2メートルを超えるこの部品はCTスキャンを行う医療機器の一部。
このほか、人工衛星の部品など大型のアルミ鋳造製品を得意としています。
資生堂銀座ビルの装飾も田島軽金属の製品です。
アルミの鋳造を手掛ける国内に約500社あるといわれますが、大型の重さ1トンを超える製品を作れるのは数社に限られます。
工場の設備も特殊なものばかりです。これは三菱重工を共同開発した鋳型を運搬するクレーン。20トンまで運ぶことができます。
さらに、
溶解炉。
現場に運ぶことで直接流し込める。
アルミを溶かす炉そのものを動かし、直接鋳型に流し込みます。空気に触れる時間を極力短くし劣化を防ぐ。
大型の製品を安定的に生産しています。
こうした工夫を重ねることで液晶パネル用の製造装置などさまざまな高度な要求に応えることができます。
田島軽金属の田島正明社長、
この会社を継いだのが23歳。
社長になって2年間でお客様が3社倒産。
廃業を本気で考えた。
1982年、社長に就任した3代目の田島さん。
廃業の危機を救ったものは…
成長のきっかけとなったMMC。
アメリカで材料が開発された。
MMCとはアルミ合金にセラミックスを複合した金属です。
アルミだけの材料と比べて曲がりにくく、大型にするとたわんでしまうアルミの欠点を払拭していました。
試作を重ねて鋳造技術の構築を実現。するとアルミ製品の大型化が図れるようになったのです。
さらに大型の製品に特化するため思い切った戦略も。
部品の大型化が進むに伴って市内でもトラック輸送するのが難しくなった。
ここに誘致した。
2014年、なんと業務提携先を敷地内に誘致しました。
「誘致を受けて?」
松田木型製作所の松田幸治社長、
チャンスだなと。
さらなる飛躍をしたいと思って映った。
最初は2人でしたが今では16人。
この松田木型製作所は鋳型の元となる木型を制作しています。
以前は全て手作業でしたが田島軽金属が業務の効率化のため無料で機械を導入したのです。
また作業工程もデジタル化し、進捗状況を両社で共有しています。
お客様に出向いている営業スタッフがリアルタイムで日程や進捗状況を伝え、良い関係性ができている。
工場の稼働状況がひと目で分かるようになったことで空いている時間に顧客からの試作品の依頼を受け入れられるようになりました。
ここ2年で試作品の制作は300件を超え、事業の柱のひとつとして計算できるようになりました。
協力会社を積極的に支援することで仕事を増やした田島軽金属。コロナの中でも新たな取り組みを始めています。
中国の精密鋳造をやっている会社とおととし業務協力提携を作った。
3年間、私どもの工場で技能を磨いて中国に戻って生産する。
いま中国人の技術研修を受け入れています。
さらに中国の提携先の会社に日本と同じ工場を作り、今年の春までに量産体制を整える予定です。
中国からの新たな受注も狙います。
得意としている大型やMMCは中国の他企業では作れない。
パイプを作ることで実現性が高まっていくと考えている。