マーケットや経済の旬の話題をお届けする「ふちこの突撃マーケット」。今回のテーマは「インバウンドは戻ってくるか? 観光ビジネスの最前線に迫る」です。政府観光局がまとめた8月の訪日外国人の数は16万9,800人で5ヵ月連続で10万人を上回りました。ただコロナ前と比べると、本格的な回復には程遠い状況です。ただ、10月11日から入国者数の上限の撤廃や個人旅行の解禁など水際対策が大幅に緩和されますので、インバウンドの回復は加速していきます。そこにさらに記録的な円安もあるので、インバウンドの復活に大きな期待が掛かっています。そこで「新しい時代の旅を提案すること」をテーマに都内で開かれた観光関連のイベントを取材しました。
インバウンドは戻ってくるか?
観光ビジネスの最前線に迫る
片渕茜キャスター
日本最大級の旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン2022」が東京で4年ぶりに開催されています。
世界各国、そして日本各地の観光事業者が参加しているので観光ビジネスの最大級の場として注目を集めています。
多彩なブースを一同に集めた展示会の会場では観光地の魅力をたっぷり体験できます。
こちらは越前和紙すき体験ですが、フチ子さんはどんな体験をしたのですか?
片渕茜キャスター
私が気になったのは湯気が立ち上る温泉のブース「観音温泉 足湯体験」を見つけました。ここでちょっと足湯を楽しんできました。
実際に伊豆の奥下田の温泉が使われていて、とろみがあって気持ちが良かったです。
ちょっと旅に行った気分になれました。
そしてトラベルソリューション展2022のブースには世界各国の通貨の表示が。
GTキャピタルファンド
山口浩司執行役員部長
外国人が日本に来たときに外貨を円に両替する機械。
コロナの影響を背景に両替事業が低迷。一部の銀行が両替業務を縮小する中、山口さんたちはビジネスチャンスが来たと捉えています。
GTキャピタルファンド
山口浩司執行役員部長
円安で日本に行きやすい状態になっている。
両替する場所は少ないためサービス向上や利便性アップを図らないと日本にお金が落ちてこないと思う。
そして今回注目を集めたのが観光のSDGsです。持続可能な観光ということです。
観光のSDGsに取り組む出展社「マウントフジ里山バケーション&縁やマウントフジエコツアーズ」に話を聞きました。
エコロジック
新谷雅徳代表理事
富士山の富士宮でインバウンド客に富士山の無形文化価値を伝えるようなエコ・ツアーをやっている。
新谷さんは静岡県富士宮市で日本の和をテーマとしたグランピング施設を作り上げました。
世界中から来た観光客に富士山の自然を守りながら日本の文化を体験できるエコ・ツアーを楽しんでもらうというのが狙いです。
観光においてエコな要素はあらゆる場面にあるといいます。
エコロジック
新谷雅徳代表理事
宿泊施設で地産地消の食事を提供している。
片渕茜キャスター
静岡でとれる食材?
エコロジック
新谷雅徳代表理事
ローカルにお金が残り、輸送費もかけないため、その分「エコ」。
施設ではペットボトルフリー。
地元の水をそのまま飲んでもらえるようにサポートしている。
片渕茜キャスター
サウナもある?
エコロジック
新谷雅徳代表理事
静岡で廃棄されるようなお茶を譲ってもらって。水に混ぜてお茶の匂いをさせながらテントサウナを楽しんでもらう。
小さな事かもしれませんが環境への小さな配慮は大切ですよね。
円安でインバウンド期待が高まる中、新谷さんはこう展望しています。
エコロジック
新谷雅徳代表理事
確実に円安で人が集まってくる。
「安かろう」ではなく、良いツアーを地域で提供すると日本の観光は世界トップになれるかも。数ではなく質で。
富士宮市のこの施設だけでなく、インバウンド客からは日本各地のエコ・ツアーへの関心が高いといいます。地域活性化の面でも期待できそうです。
10月11日から始まる入国制限の撤廃。そして円安を追い風にインバウンドは復活するのでしょうか?
専門家に聞きました。
ソニーフィナンシャルグループ
宮嶋貴之さん
インバウンド消費はコロナ前の5兆円に一気に戻るわけではないが、半分が戻ればGDPの約0.5%を押し上げる可能性がある。
今の日本経済にとって非常に大きい部分になる。
またコロナを経て変わりつつあるインバウンドについて宮嶋さんはこう指摘します。
ソニーフィナンシャルグループ
宮嶋貴之さん
今後はモノ消費からコト消費に移っていくので、日本食関係の業界は有望になってくる可能性がある。
お菓子の業界にもチャンスが出てくると思う。
コロナ禍で"スモールラグジュアリー"とか少人数で受け入れるホテルの需要が活性化するといった新しい旅行のトレンドが出ているのでホテル業界も非常に注目だと思う。