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[モーニングサテライト]「大浜見聞録」電力買い取り新制度スタート!正確な発電量予測のカギは[株式会社Sustech]

モーニングサテライト

大浜見聞録です。

異例の6月猛暑で電力需給逼迫注意報がたびたび出されて電力への関心が高まっています。日本の電気はこれからどうなるのだろうということですが、実はこの4月から再生可能エネルギーについて新たな制度が始まっています。これまではFIT(固定価格買取制度)といって太陽光発電などの電力は電力会社が固定価格で買い取ってくれるという制度です。これがFIP(フィード・イン・プレミアム)という制度に変わっています。1,000kW以上の再エネ発電事業者が対象になりますが、作った電力は固定価格で買い取るのではなく、卸売市場などに売り出すことになります。その売電価格に対して一定の補助金を上乗せする制度に変わりました。

さらにこれにプラスして発電事業者は発電量の計画を毎日出すことが義務付けられるようになります。計画通りに発電できなかった場合にはペナルティ費用を払わないといけません。

いかに正確な発電予測を出すか、いろいろな取り組みが動き出しています。

電力買い取り新制度スタート!正確な発電量予測のカギは

訪ねたのは愛媛県にある四国電力の太陽光発電所です。

四国電力
分散型エネルギー事業促進室
吉田卓也さん

海に囲まれた発電所です。

松山太陽光発電所の最大出力は2,042キロワット。発電出力が1,000キロワットを超える四国で最初のメガソーラーです。800世帯分の電力を賄い、年間で1,300トンのCO2排出量の削減が可能だといいます。

大浜平八郎キャスター

発電量を正確に把握しなくてはいけないのが再生可能エネルギーの大きな課題だと伺っているが?

四国電力
分散型エネルギー事業促進室
吉田卓也さん

電力の安定供給には需給のバランスを一致させることが重要。そのためには正確な予測が必要。

電気は貯めるのが難しいため発電量と消費量を常に一致させないと安定して電気が送れません。バランスが崩れると大規模停電の可能性もあるのです。そのためFIPでは太陽光などの再生可能エネルギーも火力など他の電源と同様に発電予測をして事前に国に計画書の提出が必要になったのです。そこでこの発電所では正確な発電予測のための実証実験を4月から始めています。

四国電力
分散型エネルギー事業促進室
吉田卓也さん

こちらです。

大浜平八郎キャスター

この箱ですか?ずいぶん小さいですね。

四国電力
分散型エネルギー事業促進室
吉田卓也さん

この箱の中にカメラが入っています。

このカメラは発電所上空の雲を観測する専用のカメラ。上空を360度の視野で撮影。雲のデータを集めています。

四国電力
分散型エネルギー事業促進室
吉田卓也さん

雲の状況で発電量は変わる。雲を監視することで予測と計画が変わる。

この雲カメラのデータを使って発電予測に取り組んでいるのがスタートアップ企業のサステックです。なぜ発電所上空の雲のデータが必要なのか聞いてみました。

サステック
丹野裕介社長

天気予報で曇りがあっても一瞬日がのぞいて日射がある。
1時間とか30分単位で見ると天候よりもその場の要件の方が重要。

この画面の中で雲が占める割合を分析。1時間に200枚の画像データをAIに学習させています。さらに気温や湿度、風向きなどの気象データを組み合わせてAIが発電量を予測します。

大浜平八郎キャスター

予測が外れた場合は?

サステック
丹野裕介社長

外れた場合はペナルティー料金を発電事業者が支払う。

つまり正確な発電予測ができないと発電事業者の収益が減ってしまうのです。

大浜平八郎キャスター

発電計画の提出の頻度は?

サステック
丹野裕介社長

30分間隔で提出する必要がある。

ここで平太郎の「へ~」ポイント!

予測から売電まですべてAIが行う

サステック
大橋昭文COO

予測は30分単位で行う。大きな差が出ればAIが随時通告する。
人間だとずっと張り付かないといけない。

さらにこのシステム、市場価格より高い値段をつける電力小売りや企業があれば、そちらに自動で売電する機能も備えています。

サステック
丹野裕介社長

太陽光発電所の半分ぐらいに導入したい。
発電予測の精度からマーケットでの売電までをそろえている会社は少ない。
先行者利益を取りたい。

需給のバランスで変化する電力価格。FIPではこの差を利用して大きな収益を上げることが可能になります。

そこで必要なのは低コスト蓄電池の開発。電気が安いときに貯め高いときに放電。売電のタイミングをずらすことができます。

サステック
丹野裕介社長

1円の時に蓄電して、80円の時に売電も可能。
蓄電池を使えば80倍で売れるマーケットになっている。

先週、4月から初めた実証実験の中間報告を高松市の四国電力本店で行いました。

サステック
丹野裕介社長

予測誤差が4~6%で大手の会社をしのぐ数字が実証できた。

他社が公表している発電予測の誤差が6~9%なのに対し、3ヵ月間の実証実験で4~6%とより小さい誤差にとどめることができています。

四国電力
分散型エネルギー事業促進室
北山隆徳ユニットリーダー

これだけの誤差というのは予想外。期待を上回る結果を出している。

四国電力は今年3月に住友商事などと太陽光発電ビジネスの拡大を目指す新会社を設立。四国電力の太陽光発電システムをベースに安くて安定した電力を供給できるようなビジネスを進めます。

四国電力
分散型エネルギー事業促進室
北山隆徳ユニットリーダー

四国に限らず、お客様に再生可能エネルギー、脱炭素のエネルギーを届ける。
ビジネスチャンスと捉え、四国外での事業も考えている。

再生可能エネルギーの新しい買取制度「FIP」をどうビジネスチャンスに変えていくのか、その試みが本格化し始めています。

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