「SDGs」という言葉をご存知でしょうか?
一体何かというと「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」のことです。国連で採択されました2030年に向けた世界的な目標のことです。
実はこの「SDGs」、いま企業が成長するために欠かせないキーワードとなっています。
サステナブル・ブランド 国際会議 2017 東京
[blogcard url="http://www.sustainablebrands.jp/event/sbt2017/"]
カードを握りしめ夢中になっているのはビジネスマンたち。実は彼ら「SDGs」を体感できるというカードゲームの真っ最中です。
「SDGs」とは国連で採択された「持続可能な開発目標」のこと。2030年に向けた経済成長や環境保全などに関する17項目の世界規模の目標です。
彼らは何故、このイベントに参加したのでしょうか?
IT(システム開発担当)の参加者は、
最近になり会社でSDGsに注目して活動しようという動きになった。
ゲームは制限時間内に「大いなる富」など条件付きの目標達成を目指すというもの。
ホワイトボード上にある「経済」「環境」「社会」のレベルを示した「世界の状況メーター」に気を配りながら「お金」や「時間」などのカードを使いプロジェクトを実行していきます。
「社会」がないんだよ「社会」が。「経済」しかないじゃん。
「経済」のメーターばかり増えてしまうと「環境」や「社会」に関するプロジェクトが実行できなくなります。
製造業(CSR担当)の参加者は、
自分たちのことだけでなく経済、環境、社会、全部考えないと最終的に自分の目標が果たせない。
「SDGs」のゲームを開発したのは一般社団法人イマココラボの稲村健夫代表理事。
ビジネスセクターの人の関心がすごく強い。社会とか環境にどう取り組んでいるかが投資指標の一つとして考慮され始めている。
ビジネスの新指針「SDGs」!欧米の名だたる企業も…
ビジネスにおける重要な指針となりつつある「SDGs」。
イギリスでは80以上の有力企業がSDGs達成のための枠組みづくりをメイ首相に求めました。
またアメリカでもSDGsへの取り組みが盛んで、例えばスターバックスでは4月にCEOを退任するハワード・シュルツ氏がSDGsへの継続的な活動を強く求めたといいます。
本国アメリカでの姿勢は日本のスターバックスコーヒージャパン株式会社にも影響しています。
スタバ 紙コップのヒミツとは?
SDGsを取りまとめている足立紀生広報部長。
実際に店舗を利用してその取り組みを探ります。
店舗で多く使用される紙のカップはSDGsを強く意識しています。
「FSC」の認証マークがついている。
カップに書かれていたのは「FSC」認証マーク。違法な森林伐採ではないと証明する制度で環境に配慮した紙や木材に与えられます。
カップ以外にも多くの紙製品で「FSC」認証を受けた素材を使用しています。
これがSDGsの「12 つくる責任つかう責任」や「15 陸の豊かさも守ろう」といった目標につながります。
牛乳パックもリサイクルしている。
実際の作業を見せてもらいました。
スターバックスコーヒージャパン株式会社の鈴木勝渡さんは、
使用した牛乳パックを洗浄している。一瞬で洗えるようになっている。
洗った牛乳パックは自然乾燥させた後、折りたたんで空いたパックに詰め込みます。
「スターバックスコーヒー目黒店」では1日100本の牛乳パックを手間隙かけリサイクルしています。
実は全国の飲食店がリサイクルする紙パックの約半分がスターバックスコーヒージャパン株式会社の紙パックなのです。
回収されたスターバックスコーヒージャパン株式会社の牛乳パックのうち約2割は店舗で使う紙ナプキンなどの材料として再利用されます。
ニットク株式会社の西尾太助さんは、
スターバックスのナプキンは柔らかい素材なので、それに合わせた加工機を設定し専用機としている。
紙ナプキンは牛乳パックの再生パルプを7割、FSC認証を受けたパルプを3割使用しています。
SDGsにここまで力を入れるのは何故なのでしょうか?
やらざるをえない。企業を選ぶ選択肢の一つとしてサステナブルでSDGsのような取り組みをやっているかどうかはお客様の選択肢の中に入ってくるようになる。選ばれる企業としての尺度の一つに今後なっていくのではないか。
途上国を救うトイレとは?
SDGsへの取り組みは日本の企業でも広がりつつあります。
住宅設備大手の株式会社LIXILはSDGsにつながる部署を立ち上げました。
富田健介部長は、
こちらがソーシャルトイレット部のオフィス。
途上国のトイレ事業の専門部署です。
オフィスの空席が目立つのは海外で活動するメンバーが多いため。現地に赴き調査や研究開発を行っています。
現在、世界で約24億人が衛生的で安全なトイレを使用できない状態です。不衛生な環境が病気などを招くこともありその経済損失は約22兆円に上るといわれています。
株式会社LIXILではこの問題を解決し、SDGsの項目の一つ「6 安全な水とトイレを世界中に」という目標の達成を目指します。
いま事業化に向け動き出しているのが「SATO」と呼ばれる途上国向け簡易式トイレのプロジェクトです。
「SATO」開発責任者のジム・マクヘイルさんは途上国を回りながら新しいトイレの研究・開発を行っています。
貧しい国の人でも手に入れられるようにコストを極力抑えたことで約2ドルで製造することができるといいます。
設置やメンテナンスも行い、2020年までに1億人の衛生環境の改善を目指します。
「SATO」の目標は近代的な上下水道を持たない人たちにもトイレ、浴室など全ての設備を提供すること。
さらに株式会社LIXILでは2017年4月から日本でシャワートイレ1台購入すると途上国に「SATO」が1台寄付されるプロジェクトを開始します。この活動の背景には企業としてSDGsに取り組む姿勢をアピールする狙いもあります。
瀬戸欣哉社長は、
ビジネスは常にショートカットだけを求めていくと持続可能ではない。遠回りなことも愚直にやることが持続可能な企業をつくるコツ。