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[WBS]最低賃金交渉大詰め!賃上げで人手不足の懸念!?

ワールドビジネスサテライト(WBS)

業績が好調な大手企業では賃上げの動きが出てきています。例えばサイバーエージェントは来年春の新卒の初任給を42万円に引き上げるとしました。これは今年より2割以上の大幅アップということになります。

ほかにも家電量販店大手のノジマは物価高対策として今月から従業員に毎月1万円の特別手当を支給することになりました。

さらに半導体製造装置大手の東京エレクトロンは一般従業員の夏のボーナスに加えて平均30万円の特別賞与というのを支給し、その合計額は平均で300万円を超える水準になるということです。

こうした賃上げの狙いとして共通しているのが優秀な人材の獲得、そして人材の流出を防ぐということです。

その一方で中小企業では物価高を背景に賃上げが難しくなっている上に賃上げによって人手不足を引き起こす懸念も浮上するなど苦しい事情も見えてきました。

賃上げで人手不足に!?賃金アップで労働時間減少のワケ

物価高が続く中、注目されるのが今年度の最低賃金を決める審議。労使ともに賃金引き上げの方向では一致していましたが引き上げ額やその根拠で合意ができず結論が持ち越しとなる異例の事態となっています。

その最低賃金をめぐって賃上げが人手不足につながると懸念する声も。なぜなのでしょうか。

東京・足立区のスーパー「ベニースーパー佐野店」。このスーパーで働く女性、夫と子どもの4人家族で生活費の足しにしようとパートを始めましたが時給が上がっても年収を増やせないといいます。

夫・子ども2人の4人家族
パート従業員

主人(夫)の扶養範囲内なので年収130万円以内と考えて働いている。
もうちょっと働きたいと思っていても壁があるのでジレンマが生じる。

現在、夫の扶養に入っているため年金や健康保険といった社会保険料の負担はありません。しかし、年収が130万円以上になると夫の扶養から外れて年間およそ12万円の年金保険料などを支払う必要があるのです。

夫・子ども2人の4人家族
パート従業員

物価も上がる、水道・光熱費も上がる。生活していくのにお金が必要。
お金が欲しいから働いているのに社会保険も引かれてとなるとちょっと損。

例えば時給1,000円田で働く人が年収130万円を稼ぐ場合、労働時間は年間1,300時間となります。仮に時給が50円上がった場合、労働時間が60時間ほど減少します。

このスーパーではおよそ40人いるパートの半数ほどが年収を130万円といった一定の水準に抑えることを希望。最低賃金が上がると1人1人の労働時間が減ることになり人手が不足する可能性もあるといいます。

ベニースーパー
赤津友弥さん

働く時間が短くなるのは「マンパワー産業」であるスーパーにおいて非常に大きな問題になってくる。
効率よく労働時間が短くても済むような方策を考えないといけない。

実際に厚生労働省の調査ではこお10年、パートで働く日の時給は上がっていますが労働時間は減っています。

専門家は賃金引き上げだけでなく130万円の壁などの見直しを含めた議論が必要だと指摘します。

雇用問題に詳しい
野村総合研究所
武田佳奈氏

コロナで非常に雇用の影響が大きく一時的には人手不足解消にも見えた業種もある。
基本的は構造的な問題は変わっていないので労働力不足がすでに現れているし、今後も深刻になると思う。
最低賃金を上げるだけで議論していくと本来実現したい労働力の確保という観点からはネガティブにはたらいてしまうことがあるので両輪で議論を展開していく必要がある。

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