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[WBS]「映画より巧妙」!相次ぐ情報流出 産業スパイの実態

2022年5月4日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

企業の技術情報などのいわゆる営業秘密などを持ち出したとして全国の警察が検挙した事件の数の推移を表したものです。去年1年間の検挙回数は23件と過去最多を更新しました。官民ともに対策に乗り出していますが、警戒すべきは知らない間に近付いてくる産業スパイの存在です。その手口とは…

増加する企業の情報流出!産業スパイの実態とは…

匿名を条件に取材に応じてくれたのはIT系企業に勤める40代の営業マン。

実は去年12月に海外の企業から転職の打診を受けたといいます。

IT系企業の営業担当
鈴木さん(仮名)

同じ業界としてITプロダクトや業界知識、顧客情報などが求められた。

実際のスカウトメールがこちら。

日本での企業向けハードウェア製品に関する営業人材を探している。

メールの送り主には誰もが知る中国の大手ネットサービス企業の名前が。

実はいまスカウトを装い、技術情報を盗もうとする中国やロシアの産業スパイが増えているといいます。

中国企業への情報流出をめぐっては2021年8月に積水化学工業の元社員が不正競争防止法違反の罪で有罪判決を受けています。

この元社員はSNSで接近してきた中国の通信機器メーカーに付け込まれ、スマートフォンの液晶パネルに関する技術情報を漏らしたとされています。

産業スパイはあなたのそばに…!公安幹部「映画より巧妙」

企業の情報漏洩が相次ぐ中、取り締まりを強化しているのが警視庁です。

長年捜査を指揮してきた公安部の幹部、増田美希子参事官が産業スパイの手口を明かしました。

警視庁公安部
増田美希子参事官

経歴や勤務先という公的な情報だけでなく、プライベート情報を含めて自分の情報を載せるほどスパイを利するような状況になる。

多くに人がSNSに書き込んでいる個人情報が餌食になっているといいます。

番組スタッフ

家族情報などを書くと脅しに使われるのか?

警視庁公安部
増田美希子参事官

実際に家族を脅迫の材料にされ、営業秘密を持ち出させたスパイ事件も過去に警視庁公安部で摘発している。

巧みに、そして大胆に近づく産業スパイ。どうすれば見破ることができるのでしょうか。

警視庁公安部
増田美希子参事官

技術情報の見返りとして、現金とか、ワイン袋の中に商品券が入っている。
不審な動きが相手から始まると、それはスパイかもしれない。
映画よりも巧妙なスパイ工作が日本国内で行われている。

この日、増田参事官がやって来たのは大手製薬会社のアステラス製薬。企業の情報流出を未然に防ごうと警視庁も対策を打ち出しました。

警視庁公安部
増田美希子参事官

さまざまな手法で技術情報を獲得しようとする動向を確認。

半導体や医薬品などいわゆる先端技術を持つ企業を訪問。各国のスパイの手口や情報流出の対策などに役立つ情報を提供する取り組みです。

今回、訪問を受けたアステラス製薬は万が一情報が流出し、他社に先に発売されてしまうと投資した研究費が回収できなくなると警戒を強めます。

アステラス製薬 情報システム部
須田真也部長

投資分の医薬品が作れないと大きな投資が続けられない。
新薬を待っている患者に対して早く医薬品を届けられなくなる。

企業の情報流出 どう防ぐ?「のぞき見」「盗撮」AIが検知

こうした状況に自ら対策に乗り出す企業も。

NTTコムウェアの会議室。中では男性がパソコンを使って作業をしています。

轟拓人記者

利用者として登録されていない人がパソコンの画面を覗き込むと「のぞき見」を知らせる通知が画面に表示されます。

NTTグループが3月に導入したのが情報流出を防ぐAIシステム「Deep Percept for remote work」です。

パソコンの利用者は事前に自分の顔写真を複数登録。利用者以外の顔をAIが検知するとのぞき込みを知らせる画面が表示される仕組みです。

さらに管理者側の画面にはパソコンのカメラで撮影された画像が届くので、誰にのぞき見をされているのかまで分かるといいます。

ほかにも誰かがスマートフォンでパソコンの画面を撮影しようとした場合もAIが盗撮を検知します。

NTTグループは在宅勤務率を上げるためにもリモートワーク中の情報流出対策を急ぎました。

NTT 技術企画部門
山名紀担当部長

お客様や通信設備は社会インフラ情報。流出した場合大きな影響がある。

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