今月。回転寿司大手のスシローが実際には販売していないものを宣伝する「おとり広告」を行っていたとして消費者庁から再発防止を求める措置命令を受けました。
このおとり広告とは、例えば店が目玉商品と謳って情報を掲載し、お客さんを集めます。
ただ実際には店はその商品を少ししか仕入れていないか、まったく仕入れていないためにお客さんはその商品を買うことができず、別の商品を勧められることになります。
じつはこうしたおとり広告が特に多いのが不動産業界です。
おとり広告の実態と業界が取り組む対策を追跡しました。
不動産"おとり広告"の実態
西東京市の不動産仲介業者「スプラッシュ」。
社長の鈴木義晴さんです。30年以上、不動産仲介の仕事をしています。
角谷暁子キャスター
長く業界を見ている中でおとり広告はどういうものか?

スプラッシュ
鈴木義晴社長

実際には成約していないが、あるように見せる。これがおとり広告。
お客さんとの接点を持ちたいがために成約済みの物件を意図的に掲載し続ける業者がいるといいます。
鈴木さんら不動産業者が日々チェックしているのが物件検索システム「レインズ」です。
不動産業者はレインズで得られる情報をもとに物件情報を作り、不動産情報サイトや自社ホームページで紹介します。
ただこの情報は物件が成約しても直接は反映されません。
不動産業者は定期的にレインズや売り主に確認し、成約していた場合には物件情報を取り下げる作業をしなければいけません。
こうした作業を怠った場合でもおとり広告になってしまうため業界団体は2週間に1回は確認し、更新するように求めています。
実際におとり広告はあるのか、他の業者が掲載している物件情報を見てみると、東京・東久留米市内の3,000万円台の物件です。
売り主に問い合わせると…
スプラッシュ
鈴木義晴社長

終了?
角谷暁子キャスター
「成約済み」と確認できたものがまだホームページに載っている?

スプラッシュ
鈴木義晴社長

こういうのがままある。
鈴木社長によると3週間前にはすでに成約済みだったといいます。
なぜ物件情報の掲載を続けるのか、掲載している仲介業者を直撃しました。
角谷暁子キャスター

この物件の内見は可能ですか?
確認するとの回答が。
数分後…
角谷暁子キャスター

最初は内見できるとの回答だったが、この物件は成約済みで、おとり広告にはあたらないかと指摘したところ、情報の確認と更新が遅れただけという回答でした。
業界団体の調査ではこうしたおとり広告は全体の1割以上にも及んでいます。
鈴木さんは社員3人という小さい会社でも管理できるように掲載件数は30件程度に絞っています。
スプラッシュ
鈴木義晴社長

失う信用の方がはるかにダメージが大きい。私たちは1週間に1回必ず更新する。
不動産情報サイトもおとり広告を減らそうと動いています。
こちらは500万件以上の物件情報を取り扱うライフルホームズ。
およそ2万8,000件の不動産業者が情報を掲載しています。
ライフルではある仕組みを導入しました。
ライフル 情報審査グループ長
宮廻優子さん

私どものサイトでは情報の正しさ、新しさ、量。
3つを担保できればということからこの仕組みを開始した。
ライフルは大東建託パートナーズなど大手不動産会社と連携し、毎日物件ごとの最新の募集状況を受信。
もし成約していた場合、ライフルホームズ上の物件情報の掲載を自動的に取りやめる仕組みです。
角谷暁子キャスター
システムを手掛けたのは何かきっかけがあったのか?

ライフル 情報審査グループ長
宮廻優子さん

通報があった時に初めて対処するとか受動的な対応が主なところだった。
通報がなければ違反物件を見つけ出せなかった。
物件の成約スピードが非常に早く変わっていく中ではシステム化は必ず必要。
去年8月に物件管理戸数が最大手の大東建託パートナーズと連携したことで掲載を取りやめた物件情報の数は前の年度から13倍に増えました。