
今までの常識や社会のあり方を変える若きゲームチェンジャーに迫る企画。
今回はクモの糸を人工的に作り出すことに成功したスパイバーの関山和秀さん(39歳)。関山さんはこのクモの糸を作った経験を生かして世界が注目する新たな素材を開発していました。
人口クモの糸から"素材革命"
アウトドアブランド「ノースフェイス」を日本で展開するゴールドウインの発表会。
壇上に並ぶのは今年の秋冬コレクションです。これらの服にはある特徴が…
ゴールドウイン
渡辺貴生社長

今回のコレクションの多くはスパイバーのブリュード・プロテインを採用。
ブリュード・プロテインという植物由来の人工タンパク質素材を使っています。
この新素材を使えば石油由来の原料を使わずにポリエステルやナイロンのような質感の服を作ることができるというのです。
ゴールドウイン
渡辺貴生社長

植物を由来としたタンパク質を作り、それを循環させていく。
地球の環境にダメージを与えないという考え方が本来人間が持つテクノロジーの発想でなければいけない。
この新素材を生み出したのが今回のゲームチェンジャー、関山和秀さん(39歳)です。
スパイバー
関山和秀代表

環境に負荷をかけない。
循環型の社会を作っていく上でなくてはならないピースにブリュード・プロテインがなれる。
山形県鶴岡市、関山さんが代表を務めるスパイバーの本社があります。
案内されたのは実験装置がずらりと並ぶ部屋。装置の中にある液体は一体…
スパイバー
関山和秀代表

白っぽく濁っている正体は微生物。
この微生物が重要な役割を果たします。
例えば伸縮性に優れているというような特徴や機能を持たせた遺伝子配列を設計し、それを微生物に組み込みます。
そうすることで微生物は同じ特徴を持ったタンパク質を作ることができるといいます。
このタンパク質からできたのがブリュード・プロテインの繊維です。
アウトドアジャケットに使われるような強度のある生地やフリースのようなふわっとした風合いの生地を作ることも可能です。
さらに動物から取った革のような素材やプラスチックのような板も。
特徴の違う素材を自由自在に設計できるのが強みです。
またこの新素材は植物由来でできているため様々な環境で分解することができ環境への負荷が少ないといいます。
この新素材、原点となったのが…
スパイバー
関山和秀代表

遺伝子の設計自体もほとんど天然のもの。
使っていたのはコガネグモ系のクモの糸。
クモの糸の研究です。
大学の研究室で一緒だった仲間たちとの何気ない会話がきっかけでした。
スパイバー
関山和秀代表

「一番強そうな虫はなんだろう?」みたいな話をずっとしていて「スズメバチ最強でしょ」という話になり。
一方で「スズメバチをクモが捕って食べる」。
そのクモが作り出す糸に強さと伸縮性があることを知り、人工的にクモの糸を作る挑戦が始まりました。
2007年に大学発のバイオベンチャーとして起業。
試行錯誤を繰り返し、人工的なクモの糸で作ったドレスを発表。
ゴールドウインをアウトドアジャケットを作るなど順調なスタートに思えました。
しかし…
スパイバー
関山和秀代表

いざ商業化という話になり、テスト始めてみたら「これは…」という感じになった。
すごい簡単に言うと水や湯に対してすごく縮んでしまう。
遺伝子の設計を最初から見直すことに。
その過程でクモの糸の再現にとどまらない様々な素材を生み出すことができたのです。
スパイバー
関山和秀代表

「なんかできないことが分かった」
「このやり方だとできないことが分かった!」みたいな。
関山さんが開発した新素材には多くの企業が注目。
時価総額1,000億円を超えるユニコーン企業へと成長しました。
新素材を量産するためタイに工場を作り、本格稼働に向けて動き出しています。生産能力はスパイダーが持つ試験的な生産工場のおよそ100倍。
新素材を使った様々な商品の展開を見据えています。
関山さんが思い描く未来とは…
スパイバー
関山和秀代表

循環を大前提にする社会を設計していこうとすると生物の仕組みを活用すると合理的。
絶対になくてはならないインフラになる。