CHABARA(ちゃばら)
東京・千代田区。3年前にオープンした食べ物のテーマパーク「CHABARA(ちゃばら)」。
全国から選りすぐった食品が並ぶ秋葉原の新たな名所です。
その中の「日本百貨店しょくひんかん」で開店以来、ヒットを続けている商品がありました。
1本、720ミリリットルで1,458円というみかんジュース「味一しぼり」です。
日本百貨店しょくひんかんの日暮学さんは、
多少、値段は高くても本物志向のお客様に受け入れられている。
甘さにとことんこだわるため1本になんとミカン30個を使ったという人気のジュースです。
株式会社早和果樹園
訪れたのは有田みかんの産地、和歌山県有田市。
みかんジュースを作っていたのは株式会社早和果樹園。糖度12%以上という厳しい基準をクリアした高級ミカンを手掛けています。
そしてミカンを作るだけでなく、ジュースそのものも作っています。
一般のみかんジュースは皮ごと潰して絞ります。しかし、ここでは一つ一つ手で皮を向いて中身だけを潰して絞るため、皮の油が入らず渋みが全く無いのです。
さらに果汁の裏ごしを3回もすることでまろやかな味に。
累計45万本を売る大ヒットとなったのです。
人気ジュースのおかげで株式会社早和果樹園の売り上げは約7億8,000万円。ミカンの市場が縮小する中、14年間でなんと売上を60倍に伸ばしています。
6次産業
株式会社早和果樹園を率いるのが秋竹新吾社長。
2000年に地元のみかん農家7戸が集まって法人化し、生き残りを模索してきました。
年間を通して仕事がないと会社らしく動けない。加工を始めたことで年中仕事ができ、作ること、販売もできた。
つまり6次産業化。みかんを生産するだけでなく、加工品を作り、販売まで手掛ける会社を目指したのです。
1次(生産)+2次(加工)+3次(販売)
冬の時期にミカンの果汁を絞り、大量に貯蔵します。
そして農作業が少し落ち着く春や夏に加工品を作るのです。
大手通販サイトで人気となっている「味一ジュレ てまり in」や、和歌山で人気のお土産となった「紀州みかんポン酢みかポン」なども生まれました。
「ミカンは生果で食べてもらいたい」という感覚が非常に強かったが、加工して付加価値をしっかりミカンにつけていく。
みかん農家はほとんどのミカンをそのまま出荷するのに対し、株式会社早和果樹園では加工品にして9割以上を稼ぎ出すまでになりました
6次産業化の成功例として注目されています。平成26年度6次産業化優良事例表彰「農林水産大臣賞」。
新しい取り組み
さらに株式会社早和果樹園が心がけているのが常に新しい取り組み。
生産部長の逸木森行さんが見ていたのはパソコンの画面。
色々とやっていると失敗もあるが、パソコンで見返すことで今年に生かすことができる。
農地の管理は経験と勘に頼っていましたが、今ではパソコンで管理。データを共有することでそれぞれの農地の状況も細かく把握できるようになりました。
例えば水はけが悪い土壌は雨水を通さないシートで覆い、水分をコントロール。こうして700ヘクタール、サッカーコート10面分の農地から効率良く質の良いミカンを生産しています。
さらに法人化によって新しい人材も増えてきました。農業だけでなく6次産業化を身に付けたいという大学生が毎年入社、いまや社員数は60人に増えました。
新入社員は、株式会社早和果樹園を選んだ理由を
販売に行ったり、生産以外も体験できるところ。
ただ栽培だけでは、もうこれからの時代キツイかなと思ったので。
日本の農業を救うモデルケースとなれるのか、ミカンビジネスの挑戦は始まったばかりです。
コメント