円安に歯止めがかかりません。10月20日、32年ぶりに一時1ドル150円台をつけました。この円安を追い風にしようとしているのが国内の大学です。海外から留学生を呼び込むその現場を取材しました。
円安止まらず 32年ぶり150円台
10月20日の午後4時半すぎ…
長江優子記者

いま円相場は節目の150円台をつけました。32年ぶりの円安水準を更新し、円安が止まりません。
アメリカの超金利の上昇を受け、円を売ってドルを買う動きが加速し、値下がりしていた円相場。節目の150円を前に政府と日銀による為替介入への警戒が広がり、149円90銭台でもみ合う展開が続いていました。
1990年8月以来の円安水準が続く為替市場。32年ぶりの150円台をつけたあと鈴木財務大臣は…
記者
1ドル=150円台をつけたが?

鈴木財務大臣

水準についてはコメントしません。
投機による過度な、そして急激な変化は容認できないのでボラティリティ(変動幅)に注目し、動きがあるときには断固たる対応をとる。
従来の考えで変更はない。
一方で財務官は…
神田財務官

今まで以上に過度な変動が許される状況ではなくなっている中で、われわれは必要な行動がとれる態勢が常にできている。
実際に介入しているか、していないかについてはコメントしません。
市場をけん制しました。
4月初旬は120円台前半だった円相場。円安の進行に歯止めがかからない中、日本経済への影響は広がっています。
10月20日に財務省が発表した今年4-9月の貿易統計によると輸出から輸入を差し引いた貿易収支は11兆円の赤字。半期としての赤字幅は過去最大です。
エネルギー価格の高騰に加え、円安が影響して輸入額が膨らみました。
止まらぬ円安について経済界からは懸念の声も…
日本商工会議所
三村会頭

今回の円安時においては輸入が減るどころか前期に比べて増えているということで円安が本来もっている硬化が発揮されていない。真逆のことが起きている。
今の日本経済というのは残念ながら円安は好ましくない。
留学生の倍増ねらう大学
これに対し、円安を追い風にしようとしているのが国内の大学です。
東京・千代田区にキャンパスを構える上智大学。その一室で行われていたのは…
上智大学
担当者

キャンパスは新宿から1駅の場所にある。
アメリカに住む高校生に対し日本への留学を呼びかける説明会。各大学が魅力をアピールします。
特に強調していたのは…
上智大学
担当者

今は円安なので日本に来る絶好のタイミング。
高いレベルの教育がアメリカの大学より安い学費で受けられる。
円安によるメリットです。
1ドル150円で計算するとアメリカの私立大学の学費は平均で年間およそ600万円。一方、日本の私立大学なら平均およそ135万円と4分の1以下です。
円安が進んだことで相対的に日本の学費が安くなっているのです。
日本が去年受け入れた留学生はおよそ24万人。
新型コロナなどの影響で政府が目標としていた30万人には届いていません。
こうした中、上智大学は円安をきっかけに日本に来る留学生が増えるのではないかと期待しています。
アメリカから来た留学生に話を聞くと…
上智大学 国際教養学部4年
メーガン・ソープさん

アメリカに比べると学費が安い。
上智大学なら両親もローンなく支払える。
さらに日常生活でも変化が…
上智大学 国際教養学部4年
メーガン・ソープさん

円安は私にとってもいいこと。
3年前は1万円が約90ドルだったが、今は約70ドルでいいから。
上智大学では在校生のおよそ1割にあたる1,300人が留学生。その多くがアジア圏です。
円安メリットの大きい北米やヨーロッパ圏も大学の魅力をアピールし、留学生を倍増させたい考えです。
上智大学
高大連携副学長
西澤茂氏

留学に関するコスト、授業料だけでなく生活費なども含め日本に来やすくなっている。
日本は安全だし、留学したいと思う背景になってくる。
英語のプログラムを充実させ、英語だけでも単位を取得できるようにするなど留学生が学びやすい環境作りを行う方針です。
上智大学
高大連携副学長
西澤茂氏

さまざまな国の人々やさまざまな文化や考えを持つ人が大学の中で一堂に会して、世界の問題について議論したり、意見交換したりするキャンパスにしたい。