日本初のトランジスタラジオや携帯音楽プレーヤーの元祖ウォークマン、ペット型ロボットのアイボ、ゲーム機のプレイステーションなどこれまで画期的な製品を送り出してきたソニーが4月に社名を変更しました。
低迷する時期を抜け出し、新たに生まれ変わろうとしているソニーの転換点を取材しました。

ソニーグループ株式会社
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ソニーグループに社名を変更した先週、社長から新入社員へのメッセージが送られました。

ソニーグループに入社された皆さん、ソニーにようこそ。

外に対するわれわれのアイデンティティーはテクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー。

新入社員に向けテクノロジーとエンタテインメントの融合を訴えた吉田憲一郎社長。
ソニーの業績は2021年3月期で純利益が過去最高の1兆円を突破する見通しだが、部門別に見るとプレイステーション5が好調なゲームや大ヒットした映画「鬼滅の刃」やその主題歌の音楽などに代表されるコンテンツが大きな利益を生み出しています。


収益を見るとエレクトロニクス企業から衣替えをしたと見えるソニー。

しかし底流にあるのはあくまで技術力、テクノロジーだといいます。

佐々木明子キャスターがそのキーとなる場所を訪ねました。
空港のロビーのように見えると思いますが、実はソニーと深い関わりのある場所なんです。

ソニーPCLのバーチャルプロダクションラボ。

映像を研究するこの施設に現れたのはソニーグループの技術部門のトップ、勝本徹副社長です。

この施設では映画などの撮影で実際の場所に行かなくても行ったかのように撮影できる技術開発が進められています。
「社名変更は大きな転換点では?」

ゲーム、音楽、映画、半導体、エレクトロニクス、金融、6つ事業があるがそれぞれが非常に大きく育ってきた。

強くなった技術を別の事業体でも活用するといった循環をしながらソニーグループ全体で持っている技術を強くしていく。

そんなソニーもおよそ20年前には…

ソニーの井出伸之社長(当時)、
第4四半期の業績予想が大変狂った。

2003年3月期の第4四半期決算で1,000億円を超える赤字を計上。

翌日からソニーの株価だけでなく東京市場全体にも影響を与えるなど新聞には「ソニーショック」の文字が踊った。

さらに2008年のリーマンショックが追い打ちをかけ、パソコン事業やリチウムイオン電池事業の売却に追い込まれました。


「ソニーとしては苦しい時期も合ったのでは?」

エレクトロニクスとエンターテインメントのシナジー。

相乗効果で事業を大きくしようというスローガンがあったが、世界規模で活用していくところになかなかいかなかった。

ここ数年、一気にデジタル化が加速したこともあってエレクトロニクスや半導体で磨いてきた技術が一気にエンターテインメントで活用できるようになった。

デジタル化でゲームや映画などでもエレクトロニクス分野の研究開発が活用されているといいます。

それを象徴する現場に今回テレビカメラが初めて入りました。

スタジオで集中して音を聞いているこちらの男性、
風も左から右に渦巻くように回ってくれると。

風が足の下の方で吹いているとかでもいいと思う。

制作していたのは若者を中心に人気を集めているYOASOBIのヒット曲の原作となった小説のオーディオドラマ。

この中に音の楽しみ方を変えるある技術が隠されていました。

ソニーPCLの喜多真一さん、
ソニーが開発したテクノロジーで「360立体音響技術群」と呼ばれる。

独自開発した立体音響技術を使うとスピーカー1つでも360度、さまざまな方向から音が聞こえるような体験ができるといいます。

4月16日にはこの技術に対応したスピーカー「SRS-PA5000」も発売予定です。

実際にどう聞こえるのか?
中村寛人記者、
あらゆる方向から飛んでくる音に包み込まれる感じがします。音響の良い映画感の中にいるような感覚がします。

立体音響に対応した楽曲はすでに4,000曲以上が配信されています。

独自技術でソフトとハードの両面で継続的に稼いでいくのが狙いです。
さらに今ソニーが開発に力を入れているのがEV(電気自動車)です。先月一般公開された試作車「VISION-S」。

車体をよく見るとあちこちに丸い印のようなものが…
この車には周囲の人や物を検知するセンサーが40個付けられています。

このセンサーは自動運転のカギとなる部品です。
ソニーグループの川西泉執行役員、
安心・安全を考えると車はセンサーの塊になる。

そういう点でソニーの技術をかなり生かしていける。

ソニーはスマホ向けの画像センサーでおよそ5割の世界シェアを握っています。自動車向けのセンサーでもシェア拡大を狙います。

創業以来、独自の技術で画期的な製品を生み出し、いま転換点を迎えているソニー。

どのような未来を描いているのか…
ソニーは「人に近づく」というのが経営の方向性。

コロナ禍でエンターテインメント、娯楽が渇望されて、リモートでどれだけ価値を提供できるかは非常に大きい。

新しい感動体験を生み出していくのが一番ソニーらしくて大切なこと。
