百貨店にとって書き入れ時の年末商戦を迎えましたが、消費の動向を占う物価のニュースです。
11月25日に発表された東京都区部の消費者物価指数は価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が3.6%の上昇となり、40年7ヵ月ぶりの高い伸びとなりました。
この東京都区部の指数は全国の先行指標ともされ、今後も物価の上昇は続くとみられています。
ただ、その一方で上昇率は頭打ちとの見方もあります。今後の物価はどうなっていくのでしょうか。
物価高のクリスマス商戦
4割引きセットも登場
小川知美記者
こちらの百貨店、入るとすぐに目に飛び込んでくるのは赤や緑のボックスです。
こうしたクリスマスをモチーフにした商品でクリスマス商戦を盛り上げています。
クリスマスツリーやサンタ帽のケーキ、クリスマス仕様の色とりどりのチョコレート、店内はいよいよクリスマスムードが高まっています。
しかし、そんなムードに水を差すのは…
お客さん
どこ行っても高くなった。
野菜とか肉とか魚とか全般的に。
お客さん
ケーキの価格も上がっている。
30円ぐらい。
生活にのしかかる物価高です。
11月25日に発表された東京都区部の11月の消費者物価指数は1年前に比べプラス3.6%と40年7ヵ月ぶりの高い伸びとなりました。
なかでも大きく伸びたのが食料。原材料の高騰などでから揚げなど調理食品や食パンなど穀類といった生活に身近な幅広い品目で上昇が目立ちました。
ほかにも電気代やガス代など光熱費も大幅に上昇しました。
お客さん
暖房を少しつけるのをやめたり、ちょっとずつ節約している。
お客さん
惣菜をちょっとグラムを少なくしながら買う。
お客さん
飲みに行く回数は週3くらいだったが節約でほぼなくなった。
クリスマス前に財布の紐がきつくなる中、そごう・西武が11月25日に発売したのがデパ地下の惣菜などを詰め合わせた「クリスマスラッキーバッグ」です。
そごう・西武
フード担当
金子美緒さん
神戸風月堂は4品のお菓子が入っていて、1,600円相当の商品が1,000円と大変お買い得なセット。
ゴーフルやクッキーが入った詰め合わせは店頭価格の4割引。
クリスマスの定番、ローストビーフの食べ比べセットも。
そごう・西武
フード担当
金子美緒さん
約10%、得になっている。
精肉や鮮魚が値上がりしているので、少しでも書いやすい価格で提供したい。
こうしたデパ地下食品を割安で販売し、クリスマス商戦の呼び水にする狙いです。
そごう・西武
フード担当
金子美緒さん
買いやすい商品を提案して、他のクリスマス商品やごちそうメニューも一緒に見てほしい。
物価上昇のピークは年末?
来年には落ち着く!?
物価の上昇はいつまで続くのか、実はこの年末がピークと予想する調査結果があります。
日本経済研究センターがエコノミスト35人に今後の予想を聞いたところ、この年末をピークに縮小し始め、1年後には1%近くになると予想しています。
円安による輸入品の値上がりが一段落することなどが背景にあります。
しかし、別の見方をする専門家も…
東京大学
渡辺努教授
もう少し高めのところで来年も推移するのではないか。
もともとは消費者がかなり値上げに対し強い抵抗があった。
今はそれほどでもないという感じに変わってきているので。
企業も値上げがしやすくなっている。
東京大学で物価変動の研究をしている渡辺教授は企業が本格的に価格転嫁し始めたため、日銀が目標とする上昇率2%を下回ることはないといいます。
そこで重要となるのが賃金の上昇。賃金が上がらず物価だけが上がれば消費が冷え込み、契機が悪化していくと警鐘を鳴らします。
佐々木明子キャスター
今後の課題は?
東京大学
渡辺努教授
消費者の生活を守るためにも賃上げが必要なので、来年の春闘が大事。
賃金が3%ぐらいのところで毎年上がり続ける。
この状況を作りたい。
2023年、24年も春闘で賃上げを実現してほしい。