銀行の窓口で販売されている保険商品のパンフレット、「外貨建」と書かれています。
今、円建てではなく外貨建ての生命保険が急増しています。
銀行の窓口での生命保険の販売は2007年に始まりましたが、今はそのうち外貨建ての販売額が約7割を占めています。
なぜ今、外貨建ての保険商品が伸びているのでしょうか?
株式会社三井住友銀行
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東京駅の近くにある三井住友銀行。
こちらの窓口で売られていたのは外貨建ての生命保険です。
支払うお金を円より金利の高い外貨に替えることでより資産を増やすことを狙った商品です。
銀行の窓口で販売していますが運用するのは保険会社。
こちらは三井住友海上プライマリー生命保険の商品です。
またこちらの保険、公的年金を補填する商品と位置づけられています。
死亡時に支払われるお金を低く設定することで生きている間に貰える金額を増やすものです。
長く生きれば生きるほど支給額が増える、いわゆるトンチン型の保険です。
2月に販売を始め、こちらの銀行で取り扱う20の保険商品の中で3月に最も売れました。
三井住友銀行保険業務グループの四十山深雪さんは、
今の年金額では足りないかなと年祭までお金が充実していて、その先が不安だというお客様が増えている。
今、日銀のマイナス金利政策の影響で金利の低い円建て商品の魅力が下がり、より金利が高い外貨建ての商品が増加しています。
これまで円建てしか扱っていなかった明治安田生命保険も外貨建ての参入。
各社が独自性のある商品を次々と投入し外貨建てが全体の約7割を占めます。
街の声
一方、こんな声も…
リスクを考えるとあまり入りたい気にならない。
ちょっと怖いからあまり手を出したくない。
外貨建てのリスク
実は外貨建て保険、為替の変動によって契約者に支払われる金額が減るリスクがあります。
保険加入時1ドル100円だった場合、100万円は1万ドルになります。
しかし円高が進み、1ドル50円になると1万ドルは50万円にしかなりません。
受け取る保険金が少なくなるのです。
銀行の窓口で保険に加入する人の65%以上が60代以上のシニア層で、顧客への十分な説明が課題となっているのです。
生命保険各社は銀行の販売員に向けて商品の十分な説明を徹底するように呼びかけています。
日本生命保険・金融法人第一部の佐塚真寿美さんは、
外貨が難しいのであれば別の商品を案内するとか、家族が同席した上で理解を深めていただくとか。
「外貨だからお金が増えるとか言って本人が分からないまま売るのは?」
ないです。最悪ですね。駄目だと思います。
日本生命保険相互会社
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そんな中、銀行窓口の保険販売でシェア拡大に向け動き出したのが日本生命保険です。
「銀行の窓口販売の現状は?」
日本生命保険の清水博社長は
商品の熾烈な競争があるので正直に言えば従来に比べてシェアを落としている。
現在、銀行窓口での保険販売、いわば窓販は第一生命ホールディングスの子会社「大一フロンティア生命」がシェア27&を占め業界トップを走ります。
窓販が解禁された2007年から商品数の多さで他社をリードしてきました。
そこで日本生命は窓販に強い外資系のマスミューチュアル生命を1,042億円で買収。
早ければ5月にも子会社化します。
日本生命が強みを持つ地方銀行の販売ネットワークとの相乗効果を狙います。
清水社長は、
マスミューチュアル生命は富裕層の商品や相続に向く商品、証券会社やメガバンクを中心に販路のネットワークを持っているので、マスミューチュアル生命と日本生命はそれぞれ補完関係にある。
「M&Aを続ける上で今後具体的に考えている会社は?」
いろいろと機会は探っている。幅広く探っている。
日本生命グループは現在10%ほどのシェアを20%に引き上げる目標を掲げています。
株式会社大和総研
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こうした生命保険業界の動きについて専門家の大和総研金融庁調査部の内野逸勢主席研究員は、
販売チャンネルに対するお客様の需要がテクノロジーや規制によってがらっと変わる可能性がある。
ネット、代理店、窓販の中でお客様がどの販売チャネルを活用するのか分からない不確実な時代に入っている。
近年はIoTを活用した新しい商品が増えてきています。
2017年8月にWBSで放送した歩数に応じて支払ったお金の一部がキャッシュバックされるというものです。
続々と誕生する保険商品にどの販売チャネルが有効か?
技術の進歩がその目利きを難しくしているといいます。
どれが有望で将来的に付加価値を生んでくれるか目利きが重要。10~20年経ってどう変わるか、ターニングポイントではないか。