スマートフォンは私たちの生活に欠かせないものになっています。
一方でスマートフォンに没頭するあまり生活に支障が出るスマートフォン依存も広がっています。
スマートフォン依存はコミュニケーションの障害など深刻な問題につながる可能性もあり、その対策が求められています。
日本大学
[blogcard url="https://www.nihon-u.ac.jp/"]
千葉県習志野市にある日本大学の生産工学部。
3年生の教室ではゼミの説明会が開かれていました。
進路を決める説明会にも関わらず学生たちの視線はスマートフォンの画面。
休み時間になっても友達と話さずスマートフォンをいじる学生が目立ちます。
学食ではスマートフォンを片手に1人でお弁当を食べる学生の姿も。
大学側はこうした状況に危機感を強めています。
生産工学部の南澤宏明教授は
直接話さず近くにいるにもかかわらずLINEなどを使ってしまう学生もいる。コミュニケーションが苦手な学生が増えてきているのは感じる。
4月16日、日本大学は対策に乗り出しました。
圏外旅行
教室に集まっていたのはマネジメント工学部の新入生200人。
積極的な友達作づくりをサポートするための企画。それが携帯OFFの旅。
この日から1泊2日のスマートフォン断ち合宿が行われます。
日本大学に企画を持ち込んだのは旅行大手の株式会社ジェイティービー。
JTB圏外旅行と名付けた新商品の実験も兼ねた初の取り組みです。
皆さま携帯をOFFにしてください。
スマートフォン断ち合宿の始まりです。
バスで走ること1時間半、到着したのは千葉県富津市のマザー牧場。
[blogcard url="http://www.motherfarm.co.jp/"]
ここで学生たちは地図を見ながら各チェックポイントを巡るオリエンテーリングを行います。
初対面の学生たちが5人1組となり回ります。
参加している内竹彬さんは株式会社ジェイティービーが事前に行ったスマートフォン依存調査で重度の一つしたの中等症と診断されていました。
常にツイッターとかチェックしているから、この結果になるのは当たり前だと思う。
今回のオリエンテーリングでは紙の地図を見ながら決められたポイントを巡ります。
Google検索が当たり前の環境で育った若者たちは「ググりたい」と本音を漏らしますが、それでも協力してオリエンテーリングを続けた5人。スマートフォン依存症と自ら認める内竹彬さんも仲間と打ち解けていきます。
夕食は学生全員で食べます。
目の前の相手との会話を楽しみながら食事をする姿がありました。
そして翌日、日本大学に戻りスマートフォン断ち合宿は終了します。
終了すると学生は一斉にスマートフォンの電源を入れます。
スマートフォン依存症の内竹彬さんの感想は
人との会話が増えたのが一番。コミュニケーションはやはり大事。携帯を使う機会を減らして人との会話を増やしていこうと思った。
スマートフォンを敢えて使わない時間を作ることで得られることがある事に気付いたようです。
高校生のスマートフォン依存
スマートフォン依存は大学生だけではありません。高校生にも広がっています。
兵庫県猪名川市に住む高校3年生の南賀拓人さん。
スマートフォンを購入してもらったのは中学3年生の時です。
好きなイラストなどを描くことに夢中になりました。
気がついたら辺りが暗くなっていて「しまった」って思う。
スマートフォンの使い過ぎが気になっていた南賀拓人さんは2年前からスマートフォン依存の危険性を訴える猪名川町学生団体「SWING-BY実行委員会」の活動に参加し始めました。
メンバーのほとんどがスマートフォン依存で、地元の小中学校でスマートフォンを使い過ぎることの危険性を訴えています。
この団体の活動に目をつけた企業があります。
KDDI株式会社
auブランドを展開するKDDI株式会社。
[blogcard url="http://www.kddi.com/"]
株式会社KDDI研究所の齋藤長行さんは
今回のアプリはみなさんのアイデアで成長していく。使ってみてどんな感じですか?
株式会社KDDI研究所はスマートフォン依存を防ぐアプリ「勉強うながしホーム」を開発しています。
[blogcard url="http://www.kddilabs.jp/newsrelease/2016/030401.html"]
アプリを立ち上げ勉強する時間を設定すると勉強モードになりインターネット閲覧アプリが画面から消え、ゲームなども一切できなくなります。
株式会社KDDI研究所ではこのようなアプリを開発してスマートフォン依存の改善に取り組む予定です。
竹内和雄准教授
兵庫県立大学環境人間学部の竹内和雄准教授は
賢く使って正しく怖がる。これからの社会をスマートフォンなしで生きていくのは子どもたちも無理だし大人も無理。利活用と危険の両面を言っていかなくてはならない。