ガイアの夜明け ビジネス関連

[ガイアの夜明け] 激戦!地域スーパーの乱(3)

2017年3月15日

激戦!地域スーパーの乱

株式会社きむら

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瀬戸内海に面した香川県高松市。人口42万人のこの町は大手と地域スーパーがひしめき合う激戦区です。

ここで注目されているのがちょっと変わったスーパー「新鮮市場きむら」。

中に入るとまず目に飛び込んでくるのは市場のような鮮魚売り場。ここの魚を目当てに多くのお客様が訪れるのです。

新鮮な魚がこれでもかというほど並べられています。値段も激安。

例えば、小アジは1箱580円。メイタガレイはザル一盛で330円。

魚が新鮮でしょう。獲れたて、動く。

ほかにも瀬戸内海の生きた真蛸や穴子などスーパではあまり見かけない魚も並びます。

さらに売り場には生け簀まであります。そこにいたのはフグやコブダイ。

こうした活きの良い魚に釣られ意外なお客様も現れます。

寿司屋です。

フランス料理店です。

店で使う魚を求めてプロも買い付けに来るのです。

さらに店の構造にも特徴があります。

鮮魚売り場を抜けると広がっていたのは普通のスーパー。なんとそこにも鮮魚売り場があります。

こちらに並ぶのは切身や刺し身です。

やはり激安。ぶりの刺身が380円。肝付きのはぎの刺身が480円。

少ない量だけ必要な人にも便利です。でも何故こんなに安いのでしょうか?

安さのヒミツ

高松市中央卸売市場。午前5時30分。

瀬戸内海で揚がった新鮮な魚が次々に競りに賭けられます。

競り場で目立つのが赤いジャンバーを着た男たち。彼らは皆、株式会社きむらの仕入れ担当者です。

通常、スーパーは仲卸業者にまとめて魚を注文し各店舗に配送・販売をします。

しかし株式会社きむらは各店舗の鮮魚担当が直接競りに参加して魚を買い付けているのです。

そのため各店舗の担当者が競いながらより新鮮で目新しい魚を仕入れることに。

しかも仲卸を通さないので激安価格を実現できるのです。

木村宏雄社長

この鮮魚を売りにした戦略で株式会社きむらを成長へと導いているのが木村宏雄社長(69歳)。

もともと、「きむら」は妻の実家が1店舗のみで経営していた食品店でした。

木村宏雄社長が婿養子として入社した頃、周辺に大型スーパーが次々とオープン。経営は傾いていきました。

そこで木村宏雄社長は鮮魚へ特化したスーパーへと1982年に転換を図ったのです。

一番魚が難しい。鮮度の落ちも早く、その日にどんなものが獲れるか分からない。そこを究めていくといけるんじゃないか。

普通のスーパーでは扱わないような地魚や高級魚を積極的に仕入れ、市場のような売り場を作ったのです。

これを目玉にお客様を集め、他の商品のついで買いを誘う作戦。

この戦略が当たりました。現在、店の数は18店舗に拡大、売上高は約182億円。

新店舗

1月、木村宏雄社長はある場所を視察に訪れました。

2月下旬に高松市内にオープンする新店舗「新鮮市場きむら 香西店」です。

出店はやっぱりわくわくする。

株式会社きむらにとってこの出店は重要な意味を持つといいます。

近年、高松には県外からも大手が続々と進出。全国有数のスーパー激戦区といえる状態です。

そんな場所での新規出店。ここの業績は今後の成長戦略を占う試金石になるといいます。

大畑賢侍さん

この日、幹部社員が集められ、ある発表が行われました。

皆さんに紹介します。大畑君ちょっと立ってください。

今回、新店舗の鮮魚売り場の責任者に選ばれたのが大畑賢侍さん(40歳)。

彼は某有名なスーパーで長く鮮魚担当をやっていたので十分にその職責を果たしてもらえる。

大畑賢侍さんは10年前に中途採用で株式会社きむらに入社してきました。

初めて「きむら」というスーパーを見た時、お客様と話しながら「こういう調理があるよ、食べ方があるよ」とそういう売り方をしていたので自分がまさにやりたい魚屋の理想型だった。

入社以来、理想の魚屋を目指して頑張ってきた大畑賢侍さん。木村宏雄社長はその熱意を買って新店舗の鮮魚責任者に抜擢したのです。

翌日、大畑賢侍さんは木村宏雄社長に呼び出されました。

最低でも150万円。これはクリアしてほしい。

新店舗の初日は鮮魚のみで売り上げ目標150万円。

この数字をクリアした新店舗はここ数年ありません。社長からの思わぬ高いハードル。大畑賢侍さん、さあどうする?

目玉商品

香川県の地域スーパー「新鮮市場きむら」の大畑賢侍さん。新店舗の鮮魚売り場の責任者に抜擢されました。

新店舗オープンを約1週間後に控え、やってきたのはお隣、徳島市中央卸売市場。

普段仕入れるのは瀬戸内海の魚が中心ですが今回は徳島の市場で太平洋側の魚を仕入れようというのです。

同じ商品ばかり売っているのでは売り上げの伸びしろがないので新しい目玉になる魚を見つけたい。

まず目を付けたのが、

太いわ。これがタチウオ。食べ応えがある、焼いたり、ムニエルにしたり。目玉になる。

1キロを超える大振りのタチウオはこれまで仕入れたことがありません。オープンの目玉の一つになりそうです。

大畑賢侍さんは店舗づくりにも独自の色を出そうとしていました。

準備していたのはキャスター付きの台。これまでの「新鮮市場きむら」では床の上に魚の箱を並べていました。準備した台の上に置けば溶けた氷が床に流れず見栄えが良くなると考えたのです。

そこへ木村宏雄社長がやって来ました。何か気になるようです。

これやめてな。それもやめてな。

水が漏れたらいけないかなと。

構わん。これをしたらきれいすぎる。おしゃれすぎる。

いきなりのダメ出し。あえて箱を床に山積みにしろという支持でした。

目玉価格のタイ

オープン9日前の2月14日。さらに大畑賢侍さんは木村宏雄社長から高いハードルを付けつけられました。

見せられたのはオープン初日のチラシ案。

そこには1.2kgのタイが一尾780円の文字。いつも1,200円程度で販売している魚です。

これ普段の原価よりかなり出ていますね。

どうしても目玉商品がほしいと普段なら赤字になりかねない価格が設定されていたのです。

翌朝、大畑賢侍さんが向かったのは養殖物のタイを扱う卸業者。

1枚780円の販売価格なんですけど、どうにかしてほしいんですけど。

厳しいな。

業者にとっても厳しいという価格の設定。大畑賢侍さん、そんな超格安のタイを揃えられるのでしょうか?

オープン初日

2月23日、株式会社きむらの新店舗のオープンの日。

朝6時、大畑賢侍さんが仕入れたばかりの大量の魚を店舗へと運び込みます。

目玉となる780円で売る真鯛も届いていました。仕入れた数は200尾以上。大畑賢侍さんが赤字覚悟で卸業者を口説き落としまし。

徳島から大振りのタチウオも届きました。売値は破格の980円です。

さらにマグロのかぶと。売り場にインパクトを出そうというアイデアです。

開店時間の8時30分までに仕入れた60種類の魚を並べていきます。

その頃、店の外にはすでにお客様が集まり始めていました。

「間に合いました?」

ギリギリ。オープン20分前でギリギリ。

新鮮な魚が1匹買いできるコーナーは大量の品揃え。さらにスーパーでは珍しい地魚も並べられました。

そこへ現れたのが木村宏雄社長。

これ100円なら安い。

煮付けにして美味しいウマズラハゲは1尾100円。焼いて美味しいカマスは3尾で198円。

オープン直前には大行列です。一体、何人集まったのか?

オープン

香川県の地域スーパー、株式会社きむらの新店舗「新鮮市場きむら 香西店」オープンの日。

店の外は大行列。400人以上のお客様が開店の時間を待っています。

そして午前8時30分、オープンです。

店が最も力を入れている鮮魚売り場はすぐに大混雑の盛況ぶり。

1匹ちょうだい。

まずお客様が飛びついたのが、やはり目玉商品。1尾780円のタイ。

これにします?

次々に手に取っていきます。

安い。

徳島から届いた大きなタチウオもアッという間に完売です。

タイの追加きましたよ。

並べるそばから売れていきます。〆たばかりでまだ動くほどの鮮度。

目玉のタイに引き寄せられたお客様が店内で大量の品を同時に買ってくれました。昼過ぎにはそのタイも200尾以上が完売。

夕方には魚のほとんどが売り切れました。

果たして鮮魚コーナーも初日の売り上げは?

178万円。目標の150万円を大きく上回ったのです。

木村宏雄社長は、

上出来。

それはひと安心。

店全体でも約1,500万円を売り上げました。

こういう売り場をしているスーパーはすごく魅力的。誰が来ても楽しい魚屋、スーパー。それが実現できて非常に満足。

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