家電の業界で商品開発のヒントを日本の伝統工芸に求める動きが広がっています。
デザインや味といった人間の五感を満足させる要素を伝統工芸の技で補い新たな家電製品を生み出そうとする企業の戦略とは?
シロカ株式会社
[blogcard url="https://www.siroca.co.jp/"]
商品名は「かまどさん電気」です。
キッチン家電を手掛けるシロカが12月8日に披露した電気炊飯器。

乗っているのは土鍋です。ヒーターで下から加熱して炊飯します。
土鍋の味と炊飯器の手軽さを組み合わせました。
長谷製陶株式会社
[blogcard url="https://www.igamono.co.jp/"]
土鍋部分を手掛けたのは185年の伝統を持つ三重県の伊賀焼の窯元「長谷園」です。
長谷園の長谷優磁会長は、
当然、生活者のライフスタイルは変わる。「こんなものがあればいいのにな」と、それを1つずつ形にするのが伝統工芸を守る一番大事なこと。
実は長谷園が作る土鍋「かまどさん」は大ヒット商品。
累計80万個を売り上げ、現在も6ヶ月待ちの状態です。
シロカと長谷園は土鍋部分を作る新たなラインを立ち上げ年間2万5,000個を生産する予定です。
試食をした相内優香キャスター、
お米の一粒一粒が立っています。
甘いですね。
土鍋の底の部分にはセンサーが組み込まれていて鍋の温度を検知して炊飯します。
タイマーや土鍋をメンテンスするための乾燥機能も備えています。
価格は7万9,800円。2018年3月9日発売予定。
「炊飯器になって価格が上がっているが。」
シロカの安尾雄太副社長は、
価格が高くなったと言われるが、いろいろとこだわりが入っている。「その価値はある」と思っている。
株式会社ビックカメラ
[blogcard url="https://www.biccamera.com/bc/main/"]
進化を続ける高級炊飯器。
都内の家電量販店を取材するとメーカーがこぞって力を入れているのが釜です。
ダイヤモンドコーティングをした釜に、備長炭を使った釜、さらに伝統の南部鉄器を使用したものまで。
ビックカメラ有楽町店の葛西優聖さんは、
甘みが引き立つメーカーもあれば、米の種類で炊き方を変える釜もある。それぞれ味がメーカーの釜にかかっていると言っても過言ではない。
機能が進化している炊飯器分野での競争に勝ち残るためシロタは伝統の伊賀焼と協力する道を選びました。
安尾副社長は、
伝統工芸のすごくいいところはいっぱいあるので、そのいいところを家電で引き出せればお互いがウィンウィンになれる。
パナソニック株式会社
[blogcard url="http://panasonic.jp/"]
伝統産業の技を取り入れ家電に新たな価値を生み出そうとする動きは大手メーカーでも。
銀砂ノ酒器
パナソニックが試作品として作ったもの、「銀砂ノ酒器」は伝統の木工技術を使った桶でお酒を冷やすというもの。

パナソニックはテーブルの下から電気を飛ばし、金属の粒を冷やすという手法を取りました。
これにより音も楽しめるといいます。
響筒
一見、普通の茶筒に見えるこちら。

パナソニックのデザイナー、泉雅和さんは、
手に取ってふたを開けると…音が流れる仕組みになっている。

ふたを置くと静かに音が消える。
密閉性が高いという特徴を生かしスピーカーに。長年使うことで見た目が変化し愛着が湧く家電として提案しています。
危機感
パナソニックは今回、伝統工芸の後継者6人とコラボレーションをして10種類の試作品を開発。
背景には電機メーカーとしての危機感がありました。
世界で戦っていく中で激しい競争、危機感はものすごくある。その中で戦っていくためには日本のメーカーとしての強み、日本ならではの感性や、日本の培ってきた技術を使うことこそが戦いに勝ち残るひとつの道。