菅総理が2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにすると表明しました。それを受け各企業がCO2(二酸化炭素)の削減への取り組みを模索しているような状況となっています。
今回はそのCO2を回収する最先端の設備とさらに回収したCO2を有効活用するという格外からも注目を集めている取り組みを取材しました。
株式会社シグマパワー有明
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こちらはバイオマスを燃やすタイプの火力発電所ですが、実は火力発電所にはつきもののCO2(二酸化炭素)の問題を解決する設備を併設しているということです。
福岡県にあるシグマパワー有明三川発電所です。
この発電所で注目されるのが発電所から出る排ガスからCO2のみを分離、そして回収する設備。
開発したのは東芝エネルギーシステムズです。
こちらになります。
世界初のバイオマス発電所から排出されるCO2を分離・回収する大規模設備です。
去年10月から実証運転が始まりました。
CO2の分離・改修に欠かせないのがアンモニア化合物であるアミンの水溶液。
アミン水溶液は温度が低いとCO2を吸収し、温度が高くなるとCO2を放出するという性質を持っています。
東芝の設備ではこの性質を利用した科学吸収法を用いています。
発電所から排出された排ガス中のCO2は吸収棟でおよそ40度のアミン水溶液に吸収されます。
その後、CO2を含んだアミン水溶液は再生塔でおよそ120度に加熱。CO2が取り出される仕組みです。
排ガス中のCO2を90%以上が回収できるといいます。
「抽出した二酸化炭素は?」
東芝エネルギーシステムズの岩浅清彦さん、
実証運転段階なので現状は大気に放出。
回収したCO2は船舶輸送して地中に貯留することが目的。
CO2の回収から貯留までのプロジェクトにかかる費用はおよそ200億円です。
負担するのは国ですが海上施設を設置し、海底のどこに貯留するかについては具体的にはまだ決まっていないといいます。
佐賀市
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一方、回収したCO2を有効活用するという取り組みも動き出しています。
訪れたのは佐賀市の清掃工場です。
ゴミを焼却する際に出るCO2。清掃工場から排出される1日およそ200トンのCO2のうちおよそ10トンを回収しています。
分離・回収の方法は三川発電所と同じアミン水溶液を使う技術です。
清掃工場にCO2の回収設備を併設し、有効活用する取り組みは日本初。
投資額は14億5,000万円。そのうち国から5億円の補助金が出ています。
佐賀市バイオマス産業推進課の前田修二さん、
私たちが炭酸水に利用するような食品として摂取しても問題のない状態までCO2をきれいにして、このタンクに貯める。
CO2を使ってくれる事業者に配管で気体のまま送る。
売っている。佐賀市に支払い。
現在、清掃工場の近くにある3つの事業者がこのCO2を活用しています。
清掃工場と事業者を結ぶ配管工事は佐賀市が行いました。
グリーンラボ株式会社
[blogcard url="https://green-lab.co.jp/"]
CO2を購入し、活用している農業ベンチャーのグリーンラボです。
再生エネルギーを利用した農業を推進するグリーンラボの取り組みが佐賀市と一致したといいます。
ここで栽培しているのがバジルです。
小さな面積で高い生産が可能な縦型水耕栽培を採用しています。
さらにCO2濃度を高めることによって成長を促進させることによって通常の1.3倍の収穫量が望めます。
「CO2を濃くするというのは?」
グリーンラボの岩下博さん、
植物工場では高める所がほとんど。
CO2はパイプを通じてハウスに送られ、ハウス全体に行き渡るようになっています。
グリーンラボにとって佐賀市のCO2の価格は大きなメリットだといいます。ボンベで販売される通常のCO2に比べておよそ6分の1の価格です。
去年11月、CO2を使った栽培の実証実験が始まりました。
どれくらい効果があるかはみていく。費用もかかる。
実証できれば栽培効率を上げられる。そこを目指している。
株式会社アルビータ
[blogcard url="https://www.alvita-saga.com/"]
こちらは藻類を原料に化粧品やサプリメントを展開するベンチャー企業「アルビータ」です。
こちらになるんですけど…
アルビータの秋吉誠さん、
藻の培養を行っている。
CO2濃度の高いエアで光合成を促し、増殖をさせている。
培養しているのはヘマトコッカスという藻類です。
初期培養を経たヘマトコッカスは奥行き150メートルの巨大なプールに移されます。
CO2はあの四角いボックスから。
有効に使えるように小さい気泡にして溶けこますように投入。
現在、2ヘクタールの敷地ですが新たに21ヘクタール拡張することで将来的なコストダウンを目指します。
いろいろ改善していかないとコスト的にもこの規模でやっているとなかなか難しい。
クオリティを上げることも含めチャレンジしながら見直していきたい。
秀島敏行市長
佐賀市はCO2の有効活用でこれまでに40億円以上の経済波及効果を生んだとみています。
現在、50社以上が佐賀市の取り組みに関心を示しています。
佐賀市長の秀島敏行さん、
CO2をパイプで運ぶと供給先に限度がある。
佐賀市の施設では現状CO2供給量に余裕がある。
気体で供給しているCO2を液化してタンクにつめて運ぶ。
そういう形に切り替えたら活用範囲が広がる。
オランダでCO2を様々な分野で活用した事例を視察。
それと同じようなことが日本でもできる。