11人に1人が掛かるといわれている乳がん。
痛みのない最新の検査と最先端の治療を取材しました。
昭和大学病院
[blogcard url="http://www.showa-u.ac.jp/SUH/"]
都内にある昭和大学病院。
この日、治療に訪れた50代の平田さん(仮名)。
5ヶ月前、検診で左胸にがんが見つかりました。
MRIの画像です。白い所ががんです。
白く映っているのが約3.2センチの乳がん。
風呂に入ったときに胸を触ったらしこりのようなものが手に触れたので乳がん検診を受けて見つかった。早く治って元気になりたい。
乳がん
乳がんとは母乳を作る小葉という組織や母乳の通り道の乳管にできるがん。
昭和大学医学部乳腺外科の明石定子准教授は、
がんが進行すると血管やリンパ管に入り最終的には全身に転移する。命に関わってくる。
現在、11人に1人の女性が乳がんを発症すると考えられていて患者数は約21万人。
食生活の欧米化や高齢出産の増加により患者数はこの20年で倍増しました。
恐ろしい乳がん。
その治療の最前線を追いました。
がんを光らせる
先程の平田さんは最先端の治療を受けることになりました。
いよいよ手術が始まりました。
今回は手術後も自然な見た目を保つため乳頭と乳輪を温存してがんを取り除きます。
がんが温存する乳頭にまで広がっていた場合は再発の恐れがあるため、がんの広がり具合を見極めることが最も重要となります。
もう少しで取れる。
1時間ほどでがんが乳房の内側の組織ごと取り除かれました。
そしてここから使うのが最先端の薬品。
昭和大学医学部乳腺外科、高丸智子講師は、
蛍光プローブというがんと反応して光る液体。がんがあるところが分かる。
蛍光プローブ。昭和大学病院が東京大学と共同で臨床研究を進めている薬品です。
乳がんの細胞ではGGTと呼ばれる酵素が多く作られます。瓶に入った蛍光プローブにGGTを加えると徐々に緑色に光り始めました。
蛍光プローブはがん細胞が作るGGTと科学反応を起こして緑色に光る薬品です。
切除した組織に蛍光プローブをかけると、がんのある部分が5分ほどで緑色に光ります。ほかの場所が光らなければがんが広がっていないことが分かります。
今からかけます。
蛍光プローブを切除した組織にかけます。
待つこと5分、果たして?
蛍光プローブをかけたが緑の部分ががんのある場所。がんが光っている。
がんの部分はしっかり緑色に光っているのが分かります。
一方、乳頭の真下の組織は蛍光色に光っていません。がんは広がっていないと判断して乳頭を残すことができました。
治療は無事終了。
これまで1ミリ以下のがんは顕微鏡で確認していましたが、光らせることでより精度が高くなり、がんの取り残しを防げるといいます。
さらなる研究を重ね、数年以内の実用化を目指しています。
蛍光プローブの開発者は実用化によるメリットは大きいといいます。
東京大学大学院薬学系研究科・医学研究科の浦野泰照教授は、
蛍光プローブがうまく使えると本当にがんが取り切れたかどうかを手術の現場でチェックすることができる。最終的には患者様にとっての大きなメリットになる。
マンモグラフィー検査
乳がんで命を落とさないためには早期発見が何より重要です。
一般的な検診では乳房を圧迫して撮影するマンモグラフィー検査が多く行われています。
しかし、
圧縮される痛みがある。できれば受けたくない。
マンモグラフィー検査は乳房をつぶすので人間ドッグの中で一番つらい。
と、痛みを訴える人も多いです。
そんな中、全く痛みもない最新の乳がん検査が登場しています。
ハイメディック東京ベイ画像センター
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石井さん(60代・仮名)は自分が見つけたしこりがきっかけで左胸にがんがあることが分かりました。
この日はがんの正確な位置を確かめるため最新の検査を受けます。
こちらの穴の中に片方ずつ胸を入れて検査をします。
行われるのは装置を使った乳房ペット検査。装置の穴の部分に乳房を入れるだけでがんを早期発見できます。
この検査ではがんに集まりやすい成分に放射性物質をつけたFDGと呼ばれる薬品を事前に患者様に注射していきます。
そしてFDGががんが集まったタイミングで検査開始。
FDGが出す放射線を装置が捉え、がんの位置が正確に分かる仕組みです。
痛みを感じることなく受けられるのがこの装置の最大の特徴。
約20分で検査は終了。
患者様はがんが2ヶ所発見されました。
悪性度の高いがんほどFDGが集まり、約5ミリほどの小さなものも発表できます。
痛みもなく、ゆったり受けられた。
数日後、石井さんは息子さんと一緒に詳しい検査結果を聞きに訪れました。
ほかに転移はありませんでした。
転移がないことがハッキリしました。
自分で気づいたときには手遅れだとよく聞くので安心した。
検診の場合、検査費用は全額負担で施設によって異なりますが5万円程度のところもあります。
痛いから再びマンモグラフィー検診を受けるのが嫌だとか、そういったマンモグラフィーのデメリットをカバーする装置。より早期発見につながる可能性がある。
患者数が増える乳がん、技術の進歩により救われる患者様は増えていくはずです。