ビジネス関連 ワールドビジネスサテライト

[WBS]追跡!"海賊版サイト"!被害拡大が続くワケは?[株式会社小学館]

ワールドビジネスサテライト(WBS)

子どもから大人まで高い人気を誇るマンガ。その市場規模は6,000億円を超えています。ところがインターネットの違法サイトで去年、タダ読みされた被害額は少なくとも1兆19億円と見られ、正規の市場を大きく上回っています。2019年に一大違法サイトだった漫画村の運営者が逮捕され、サイトも閉鎖されましたが新しい違法サイトが次々と出現。なぜ被害が拡大し続けているのでしょうか。

広がる"海賊版"サイトの実態は…

海賊版サイトでマンガを読んだことがあるのか、街で聞いてみると…

中垣正太郎キャスター

海賊版サイトを読んだことはある?

30代

あります。
ちょっと興味があるやつとか金を払わないでも見られるので。

高校1年生

発売してすぐ出るので、買いに行かなくても見られる。

実際に海賊版サイトを覗いてみると…

中垣正太郎キャスター

正規のサイトと同じくらい高画質。

ワンピースや名探偵コナンなど誰もが知る人気タイトルがずらり。

被害はどれぐらい深刻なのでしょうか、出版社を訪ねました。

ビッグコミックや週刊少年サンデーなど人気のマンガ雑誌を発行する小学館。

小学館
知財・契約室
長江一喜室長

漫画家の先生がどれだけ心血を注いで作ったものなのかということを考えると現状にはむなしいなと感じている。

新型コロナの感染拡大で緊急事態宣言が発令された2020年4月ごろから海賊版サイトへのアクセス数が急増。現在でも上位10サイトへの合計アクセス数が10月は1億8,000万回に達しています。

現在、海賊版サイトの多くは海外のサーバーを使用。そのため警察による摘発も難しいといいます。

出版社側は違法サイトに広告を出す企業などに掲載しないよう求めるなど要請していますが…

小学館
知財・契約室
長江一喜室長

一つ違法サイトを消しても、また新しいものが出てくる現状。

マンガの海賊版サイトの存在を広げるきっかけになったのが2016年に登場した「漫画村」です。

使いやすさなど人気を集め、多いときには月に1億回のアクセスがありました。

しかし、2019年にサイトの運営者を逮捕。去年、著作権法違反などの罪で懲役3年の実刑判決が確定しました。

そのサイトの元運営者、星野路実氏です。今月、仮釈放され弁護士の許可を得た上で話を聞きました。

中垣正太郎キャスター

漫画は結構読んでいた?

違法サイト「漫画村」を運営していた
星野路実氏

いや全然読まない。
もうかるんだったらうれしいなって感じ。

中垣正太郎キャスター

収益を作者や漫画家に還元することは?

違法サイト「漫画村」を運営していた
星野路実氏

いや、一切考えていなかった。

こう語るのは海賊版サイト「漫画村」を運営、著作権法違反などの罪で服役し、仮釈放された星野路実氏。

現在、小学館など出版社3社から19億円の損害賠償を求める裁判を起こされています。

違法サイト「漫画村」を運営していた
星野路実氏

保存したデータが誰にでもアクセスできると著作権法で違法になる。
サーバーに画像を保存しないで表示するならどうなんだと。

方の抜け穴を探っていたと当時を振り返る星野氏。

今後も規制をかいくぐる海賊版サイト後を絶たないと指摘します。

違法サイト「漫画村」を運営していた
星野路実氏

正直、出版社が思いつくことは海賊版を作る人たちもすぐ思いつく。
"広告攻め"したら干上がるだろうと出版社は思っている。
正直いくらでも手段はある。"いたちごっこ"にすらならないと思う。

そして今、漫画村と同じようなサイトを作りたいという相談を多く受けるといいます。

違法サイト「漫画村」を運営していた
星野路実氏

高校生や大学生、いろいろなジャンルの人から「漫画村みたいなサイト作りたいけど、どういう技術を勉強したら作れるか教えて」という質問がたくさん来ている。
ツイッターで。

中垣正太郎キャスター

違法サイトを作らないようにということは?

違法サイト「漫画村」を運営していた
星野路実氏

それは自分の責任じゃない。

"無料"に慣れた世代をどう取り込む?

どうすれば違法な海賊版サイトをなくすことができるのか?

出版業界は今、タダで読むことに慣れた若い世代に向けた取り組みもに力を入れています。

集英社が運営する公式マンガサイト「少年ジャンプ+」。人気タイトルの多くを無料で閲覧できます。

まずは無料で見てもらい、最終的に購入につなげたい考えです。

来年以降は新たな連載を全て英訳し、全世界で同時に配信する状況を作るといいます。

海賊版サイト対策に取り組む出版社の業界団体は…

違法サイト対策に取り組む
ABJ
伊東敦広報部会長

海賊版サイトで読むことが当たり前になってしまうと、漫画家への報酬が支払われなくなる。
5年後、10年後、20年後、面白くて新しい漫画が登場しなくなる危機感を持っている。

-ビジネス関連, ワールドビジネスサテライト
-,