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[モーニングサテライト]【Marketリアル】"デジタルゼネコン"への変革[清水建設株式会社]

モーニングサテライト

いまマーケットで起こっているリアルな事柄をお伝えする「Marketリアル」。

今回取り上げるのは大手ゼネコンの清水建設です。「第一国立銀行」「出雲大社」「モード学園コクーンタワー」「GINZA KABUKIZA」などは施工を手掛けた主な建物です。創業200年以上ながら先進的な技術を積極的に取り入れ、独自性を打ち出してきました。

ただ、このところは資材高騰やコロナ禍などの影響で利益率の低迷というのが課題となっています。株価を見てみると足元では600~700円台で推移していて冴えない展開が続いています。経営課題克服のために打ち出した戦略というのがデジタルゼネコンへの変革です。モノづくりをデジタルで行い、デジタル空間やサービスを提供して生き残りをかける、そういう取り組みを取材しました。

"デジタルゼネコン"現場を改革

東京・港区で進む再開発事業「虎ノ門・麻布台プロジェクト」。総事業費およそ5,800億円、東京ドームがゆうに入る広さに住宅やビルなどが建てられています。

高さおよそ330メートルのタワーが建つ中枢となるエリア。この施工を担うのが清水建設です。完成すると日本一の高さのビルになります。

清水建設
井上愼介建設所長

清水建設史上最大規模の建築現場であり、DX(デジタルトランスフォーメーション)、デジタル化を強く進めている。
最新の技術を全て注ぎ込んでいる。

現場をデジタル化

効率化、生産性の向上を図り、清水建設は2年前からデジタルゼネコンを標榜。工事現場のデジタル化を推進しています。

その最前線に初めてテレビカメラが入りました。

36のディスプレイが取り囲むサイバー空間のような室内。スマートコントロールセンターと呼ばれる統合監視室です。各現場に設置されたカメラやデータ収集装置から映像や情報が送られる一方、どのクレーンがどのくらいの重さの資材を吊り上げているかなど全体の状況が確認できるのです。

仮設エレベーターの運用では乗り降りする人数や資材の重量、往復回数などを表示。見える化で無駄を省き、1日20パーセントの作業効率化が図られているといいます。

清水建設
井上愼介建設所長

床の事前確認は大丈夫か?

15階担当者

大丈夫です。

清水建設
井上愼介建設所長

必要な数量は入っているか?

15階担当者

はい、確認しました。

集約された情報は各現場に置かれる端末で作業担当者の確認が可能。こうした仕組みで1ヵ月あたりおよそ800人の省人化につながるといいます。

清水建設は218年前に宮大工出身の初代清水喜助氏が創業。

1964年の東京オリンピックでは国立代々木競技場を建築。当時、世界でも類を見ない吊り上げ構造を採用しました。

2度目となる東京オリンピックでは有明体操競技場を手掛け、世界最大級となる木造アーチが屋根を支える構造を取り入れました。

井上和幸社長、今年で就任7年目です。

2021年3月期の売上高は1兆4,564億円。2022年3月期は増収ながらも減益見通しです。

豊島晋作キャスター

建設業界全体の足元の事業環境は?

清水建設
井上和幸社長

原油価格が上がったり、輸送費が上がったり、建設資材の値上がりが激しい。
オリンピック景気とかそういうものが一段落して競争環境が激しくなってきた中で徐々に利益率が落ちてきている。

豊島晋作キャスター

デジタル化に活路を見出すのか?

清水建設
井上和幸社長

そういうことになる。
きょう何かをデジタル化したから、あしたから利益が急に上がるわけではない。
将来に向けて一歩一歩やっていく。

豊島晋作キャスター

デジタル化の手応えは感じているか?

清水建設
井上和幸社長

デジタル技術を使って超高層ビルをどう管理していくのか。
先ずはスタートになる。
あの現場(虎ノ門・麻布台プロジェクト)をこれからのモデルにしてやっていきたい。

豊島晋作キャスター

デジタル化推進で得られたノウハウは他のビジネスに生きてくるのか?

清水建設
井上和幸社長

今はそう考えている。
そのときに一番キーになるのはデジタルな空間、サービスを提供することが重要になってくる。

「建物管理・運用」で独自色

建設以外の事業の新たな柱。それは東京・豊洲で展開されていました。開発を手掛けたミチノテラス豊洲です。

オフィスビル、歩行者用の広場、ホテルなどが建ち並びます。投資額はおよそ600億円。清水建設の単独開発としては過去最大規模です。

その一画にあるオフィスビル「MEBKS豊洲」、去年完成したこのビルには管理運用の基本ソフトOSが備わっています。

清水建設 スマートシティ推進室
谷口精寛部長

OSを使ってさまざまな建物にまつわる設備、アプリケーションを複数連携させて、便利なサービスを提供できる。

ソフトを使って課題解決

一般的にエレベーターや出入りするゲート、自動ドア、カメラなどビルの設備は個別に作動します。

メーカーや制御システムが異なるため連携させるにはシステム変更などの困難な課題がありました。

清水建設はそうした異なる設備機器をシステムを容易に連携させ運用できるOS「DX-Core」を開発。利用者へのサービスにつなげています。

清水建設 情報ソリューション事業部
菅原理氏

館内に設置されている監視カメラの情報や各社IoTデバイスの情報を収集して表示する。
9階フロアを選択すると平面図と混雑率設定値に対して54%混雑と表示。やや注意したほうがいいという警告になっている。
コロナなどの影響もあるので密回避など注意喚起を促したり、室内の換気を促す。そういった運用にも絡ませられる。

またこのシステムはロボットも連携させています。タッチするとロボットが誘導、同時にシステムを通じてエレベーターを呼び移動します。ロボットとエレベーターが連携し、行先階のボタンは自動で押されます。目的階に着くとロボットは現在地を認識し再び移動、自動ドアとも連携し、セキュリティ対策が施されたところも通行できます。

こうしたサービスで狙うのは管理・運用の効率化やコストの削減、建物の付加価値向上です。

これは都市の課題解決にも応用できるといいます。

清水建設 スマートシティ推進室
谷口精寛部長

DV-Coreが街中の建物に入ることで個別の建物のエネルギー制御ができる。
それを複数束ねることで街全体のカーボンニュートラルにつながるようなサービスが展開できる。

こうした非建設事業の売上高から減価を引いた利益は2022年3月期。575億円と倍増の見込み。事業領域の拡大を見込んでいます。

豊島晋作キャスター

不動産開発、街づくりはこれから中核になってくる位置付けか?

清水建設
井上和幸社長

5年間(中期経営計画2019-23年)で5,000億円の投資、不動産、開発事業を拡大。
順調に伸びてきている。

次の一手を打つ一方、先月末に業績の下降修正を発表して株価は急落しました。

"デジタル化"で生き残れるか

豊島晋作キャスター

株式市場、投資家と向き合わなければいけない。今の株価をどう見る?

清水建設
井上和幸社長

もうちょっと長期的なレンジで活動や事業を見て株価を評価してほしい。

豊島晋作キャスター

イギリスの投資会社が清水建設はじめ大成建設などの株式大量保有している。「物言う株主」から事業戦略への提言はあるのか?

清水建設
井上和幸社長

変な要求や過度な要求を突きつけられることはない。
IRやSR(株主との関係構築)をして意見を聞きながら経営にも反映し、持続的な成長や企業価値の向上に努めていきたい。

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