ウクライナでの戦闘が激化する中、避難者の数は増え続けています。周辺の国で最も多いおよそ180万人が避難しているポーランドから宇井五郎記者の中継です。
私はいまポーランド西部ヴロツワフという街に来ています。
ヴロツワフ中央駅では2階のスペースに避難者のためにカーテンで仕切られた避難スペースが設置されました。柱はトイレットペーパーの芯のような紙の筒でできていて、そこにカーテンを掛けたシンプルな作りになっています。
実は今こうした避難者のプライバシーに配慮した避難スペースが日本の建築家の支援でポーランド各地に広がっているのです。
世界的建築家 坂茂氏!「紙の間仕切り」で避難所支援
ポーラント東部の避難所に世界的な建築家、坂茂さんの姿が。
東日本大震災を始め、これまで国内外の数多くの被災地を建築家として支援してきた坂さん。
彼が使う建築素材で有名なのが紙の筒です。
低コストで組み立てやすいという利点を生かし、避難所の間仕切りや仮設住宅づくりなどを行ってきました。
今回は閉鎖したショッピングセンターにできた避難所で地元の大学生などとともに紙製の間仕切りの設営を支援しました。
こちらは5人家族で使っているというスペース。
ウクライナから避難してきた人。
一番下の娘が寝ています。
プライバシーはとても重要だと思う。
とてもいいです。感謝しています。
テレビ東京のインタビューに応じた坂さんは…
間仕切りの中に入った女性がしばらくしたら泣き出した。
プライベートな空間に入って急に気持ちが安心したのか、リラックスしたのか。
心理的にそういう落ち着いた空間を差し上げる必要があると感じた。
今後も要望があれば支援を続ける考えです。
われわれの支援がいろいろと広がって5つの町から同じようなことをしてほしいと要望がきている。
必要なところに必要なだけ、これからも設営し続けたい。
VTRでは東部ヘウムでの坂さんの活動の様子をご覧頂きましたが、西部ヴロツワフではその避難所を作ったのは坂さんのポーランド人の教え子です。
材料となる紙管やカーテンはポーランドのメーカーなどから無償で提供されたものを使っていて、今後もポーランド各地に広げていく計画です。
坂茂氏の教え子 ヴロツワフ科学技術大学のイェジー・ウォントゥカ教授。
忘れていけないのは、まだコロナパンデミックの時代において生活していることです。
この区切られたスペースは最低限の感染防止対策につながります。
ウクライナ西部にある町にある避難所からも要望が来ているそうで、近くポーランドから紙管といった部材を送る計画も進んでいます。
インタビューで坂さんは「日本の近隣で有事が起こった際には難民を受け入れる必要になる可能性がある、そのときに日本は迅速に対応ができるのか、見習っていく必要があり、これは対岸の火事ではない」とも仰っていました。
災害を多く経験してきた日本だからこそできる支援があり、また当事者となったときに日本が対応できるのか、今のポーランドやウクライナを見て問われていると感じています。