シリーズ企画「グリーン革命の未来」。
テレビ初公開、現在開発中の小型EV(電気自動車)を取材してきました。さらに中国の50万円を切る小型EVの実力にも迫ります。

上汽通用五菱
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ベトナムにほど近い中国・広西チワン族自治区。

この町に家族3人で暮らす凌子珺さん、最近2代目にこの車を購入しました。

小さくても4人乗り。子供や友達もみんな座れる。

省エネでお金も節約できる。

実はこの車、4人乗りですが全長は日本の軽自動車の規格よりも50cmほど短い2.9mです。

宏光(ホンガン)ミニEV。

去年7月の発売以来、若者や女性に大ヒットし、20万台を販売。

テスラを抜き、中国でいま最も売れている電気自動車です。

人気の秘密はおよそ48万円からという格安価格。

その実力は…

上海支局の菅野陽平記者、
インパネは値段相応のプラスチックの質感ではありますが、スイッチがまとまり縁取りがオレンジで可愛い感じになっています。

液晶パネルのスピードメーターにオーディオはスマートフォンを接続可能。


滑り出しはスムーズですね。

さらにフル加速をしみてみると…
そんなに速いということはありませんが、日常的に使う車としては不足がないくらいの加速はしてくれます。

どのように格安価格を実現したのでしょうか?

上汽通用五菱の新エネ車CTO、趙亮さん、
日本の軽自動車のデータを使い耐久性など詳しく研究した。

出掛けたウーリン自動車は80年代から日本の軽自動車を徹底研究。小型車の開発・生産を続けてきました。

この格安ミニEVもそのノウハウを注入したといいます。
さらに…
上汽通用五菱のマーケティング責任者、張益勤さん、
ユーザーの使い方を市場調査し、複雑な要素を捨てシンプルにした。

航続距離の長い電池ではなく、安価な短距離向けバッテリーを採用した。

フル充電で120km。短距離移動の需要を狙っています。急速充電をあえて省くことで手軽な価格を実現。

そして海外進出へ動き出しています、
日本や欧州へ輸出するプロジェクトが始動している。

一方、日本では意外に企業が超小型EVの開発に名乗りを上げました。

石油元売大手の出光興産です。

加速するEV化は石油業界にも大きな衝撃を与えています。
出光興産のモビリティ戦略室、福地竹虎さん、
ガソリンの需要は少しずつ毎年落ちている。

世界的にカーボンフリー(CO2ゼロ)の動きは避けられない。

何もしないわけにはいかない。

その出光が手を組んだのはレーシングカーの開発で世界的に有名な日本企業。

社員268人のタジマモーターです。

原田修裕記者が訪ねました。

田嶋伸博会長です。

全部電気自動車です。

ガレージに並ぶのはレース用のEV。
実は田嶋会長、ラリー界を代表するレーシングドライバー。

数々の国際レースで優勝してきましたが、2012年にガソリン車からEVに切り替えたのです。
「なぜEVレースに参画したのか?」
やはり環境問題。

毎年、雪や氷がなくなるなど地球環境の温暖化が進んでいるのをレースをやっていて肌で感じていた。

環境への危機感からEV事業に乗り出した田嶋会長。
今月1日には出光興産とEVの新会社「出光ダジマEV」を設立しました。

現在、市販モデルの開発を進めています。その現場にテレビカメラが初めて入りました。
一体どんな車なのか…
迷彩柄で現れたのが今まさに開発中の超小型EVです。

全長およそ2.5m。

軽自動車より1mほど短いものの、中を覗いてみると…
「4人乗りなんですね?」
これはどうしても譲れない。

ママチャリの前後に子供を乗せて雨の日にカッパをかぶって走っている。

あれを見ると危険だと思う。

ターゲットは主婦層で、電源も家庭用。

原田キャスターが試乗します。
超小型なので相当狭いと思いましたが足元も窮屈じゃないです。広々としています。

屋根の部分が開いているので非常に視界が良好。

アクセルを思い切り踏み込んでも急に速度が上がらない。

安全性が保たれている。

最高時速は60km、高速道路は走れません。

「想定する価格は?」
できるだけ安く。100~150万円を目標に開発。

将来的な値下げを視野に来年販売を開始。日本での超小型EVの需要は年間100万台を見込んでいます。

市場拡大のカギを握るのは全国に6,400ヵ所ある出光のサービスステーション。

実は今月からその拠点で新たな試みが始まりました。

店の名前を「アポロステーション」に変更。タジマと開発する超小型EVの販売やメンテナンスも行う計画です。

超小型EVは狭い日本である程度の需要がある。

軽自動車より安くなければ存在価値がない。

今、一生懸命コストを落としている。
