いま流行りのダメージ加工のジーンズ。
かと思いきや、このシワや縫い目、ポッカリ空いた穴、実はやわらかい綿パンに柄をつけたものなんです。
今回はIT技術を取り入れこれまで不可能だった素材でも自由自在に染め上げてしまう老舗企業が登場。
生き残るために繊維業界の常識を破ろう。
セーレン株式会社
[blogcard url="https://www.seiren.com/"]
東京・青山に本社を置く総合繊維メーカー「セーレン」。
創業して129年、東証一部に上場しています。
売上高は順調に推移し、今期は過去最高の1,200億円、純利益は77億円を見込んでいます。
川田達男会長に主力商品を尋ねると、
これは皮ですが、革を超えた合成皮革。
いま売上のおよそ3割を占めるのが合成皮革。
セーレンの製品は本皮の半分の重さで摩耗にも強いんです。
車のシート材では世界トップシェア。
セーレン TPF工場
そして創業の地、福井の工場では独自に開発した技術がありました。
それはこのインクジェットプリンターの中に…
模様などのデータを打ち込んで、プリンターからインクを吹き付けます。
この機械は自分たちで開発したものでどんな素材でも染め上げます。
出来上がったのがこんな素敵なワンピース。
でも、それだけではありません、
模様に合わせた凹凸がありました。
実は…
凹凸を染色技術で作る。
「染色でどうして凹凸に?」
凹凸になるよう溶かしている。
コンピューターでここを「溶かす」「溶かさない」と、色柄の表現も自由自在。
生地を部分的に薬品で溶かすことで立体的に仕上げます。
ビスコテックス メイクウアブランド福井店
そしてセーレンは生地を作るだけでなく自分好みの服を買える店を3年前に始めました。
それは店内で服の素材やサイズを決めると、あとは等身大のバーチャルモニターでデザインや色、柄などをチェック。
その組み合わせは47万通りにもなり自分だけの1着を作ることができます。
オーダーが入るとその情報は福井の生産工場に届き、プリンターで染色と加工。
お客様の手元に届くのはおよそ3週間後。
店に在庫を抱える必要もないので売れ残りの大量破棄なども防げます。
ファッション業界の常識は作った製品の60%が売れたら大成功。
売れ残りの40%のリスクを60%に全部のせている。
われわれはお客様が欲しいものだけを作る。その発想でお客様に直接届けたい。
しかし繊維産業は少子高齢化で国内市場は頭打ち。
今後はインドなど新興国の展開に力を入れていきます。
環境の変化にどう対応できるのか、新興国の成長を捉えていきたい。