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[モーニングサテライト]最低賃金はどうなる?キーマンに聞く[成長戦略会議]

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今年度の最低賃金の議論が大詰めを迎えています。政府は7月13日から始まる会議で最低賃金の目安となる額を決めます。

現在、最低賃金の全国平均は902円、最低賃金はここ数年20円以上の高い伸びが続いていました。

しかし去年はコロナによる経済の落ち込みで1円の上昇にとどまっています。政府は引き上げに強い意欲を示していますが経済界からは反発の声も上がっています。

ポイントは新型コロナの影響をどう判断するのか。キーマン2人に話を聞きました。

成長戦略会議

[blogcard url="https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/index.html"]

デービッド・アトキンソン氏。

元ゴールドマン・サックスのアナリストで政府の市長戦略会議のメンバー、菅総理のブレーンの1人です。

賃金が確実に上がっていかないと経済が回らないということは誰でもわかる話。

最低賃金引き上げは止めてはいけない。

今月、総理と面会し、最低賃金の引き上げが経済を浮揚させるために欠かせないと提言したといいます。

一方、中小企業を代表する経済団体、日本商工会議所の三村明夫会頭は、

一番大変なのはコロナで職場がなくなったこと。

職場を確保することが大事。

最低賃金が引き上げられれば雇用を保てない中小企業も出てくるとして現状維持を訴えます。

引き上げか現状維持か…

菅総理は、

最低賃金をより早期に全国平均1,000円とすることを目指す。

政府は骨太の方針に「格差是正には最低賃金の引き上げが不可欠」と明記するなど今年度の引き合げに意欲を見せています。

政府の審議会では労働者側は「セーフティーネットの機能を強化する必要がある」と大幅な引き上げを求めた一方、使用者側は「雇用への影響が懸念される」と現状維持を強く求めました。

長引く新型コロナウイルスの影響をどう評価するかが焦点です。

菅総理のブレーン、アトキンソン氏はワクチン接種が進むアメリカのように日本も年末以降、飲食や旅行需要が戻り、雇用も回復すると見ています。

日本は集団免疫を12月ごろ達成。その場合、GoToキャンペーンが始まる。

アメリカと同じようにブームが始まる。

今が大変だからと目先のことをだけ考えて、引き上げを来年10月まで遅らせるのはあり得ない話。

「具体的にはどれくらいか?」

少なくとも3%ずつあげていく。

悪いときでも3%で、いいときはもっと上げるべき。

「コロナ禍の今ではないのでは?」

百歩譲って去年はそういった議論があってもいい。今年はない。

金額にして最低27円程度引き上げるべきとの考えを示しました。

一方、同じ成長戦略会議のメンバーで中小企業を代表する日本商工会議所の三村会頭は、アトキンソン氏同様に年末にも経済は回復するものの旅行や飲食などのサービス業はまだまだ厳しい状況が続くのではと見ています。

非正規労働者を使うとか、最低賃金近辺の給料を払う企業が非常に強く打撃を受けている。

ワクチン接種が順調に進めばある程度、経済は回復。

年末、来年にかけて景気が上向くことを強く期待している。

人の動きはそう簡単には戻ってこない。

最低賃金を引き上げるタイミングは今回ではないと強調します。

賃金を引き上げる。これは大賛成。

付加価値を引き上げなければ、今のような状況で最低賃金を引き上げることは、特に今年は厳しい。

「安い労働力に頼らない経営への転換を促すべきでは?」

そういう議論はつぶれろというのと同じ。

生産性を上げるのは大賛成。

中小企業がデジタル化導入で遅れていたのは事実。

今はどんな企業も一律に生き延びさせて、彼らに構造改革のチャンスを与える。

これに対し、アトキンソン氏は、

飲食・宿泊・エンターテインメント業界は残念なことだが生産性で見ると付加価値は日本経済の中で一番少ない。

5%の業界が悪影響を受けているからといって100%の日本経済に対して最低賃金引き上げないのは専門家からすると何の理屈にもならない。

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