西武ホールディングスは2月10日に小会社のプリンスホテルが所有するホテルやスキー場など31の施設をシンガポール政府系の投資ファンドに売却すると発表しました。
今回はその西武ホールディングスの後藤高志社長にお越しいただきました。

西武ホールディングス 苗場プリンスなど国内31施設を外資に売却
1990年代、バブル景気やスキーブームで首都圏からも多くの客さんが訪れた新潟の苗場スキー場。

そして隣接する苗場プリンスホテル。いずれも西武ホールディングスが保有・運営しています。

しかし、2月10日の午後2時すぎ。

西武ホールディングスの後藤高志社長。
西武グループが保有するホテル・レジャー施設の資産の一部について、GICと長期的なパートナーシップ構築を目的とした基本協定書を締結した。

苗場プリンスホテルや苗場スキー場といったホテルやレジャー関連の31施設をシンガポールの政府系投資ファンド「GIC」に売却すると発表しました。

久木和人記者。
東京タワーのすぐ近くにあるこちらのホテル「ザ・プリンスパークタワー東京」も売却の対象となっています。新型コロナの影響で客数がかなり減ったということです。

こうした施設を今年9月にGIC側に譲渡する予定で、売却額はおよそ1,500億円、売却による利益は800億円ほどと見込んでいます。

2004年、有価証券報告書の虚偽記載により上場廃止に追い込まれた旧西武鉄道。


西武王国を率いた堤義明氏の後任として再生を託されたのが当時のメインバンク「みずほコーポレート銀行」の副頭取だった後藤氏です。

朝の来ない夜はない。従業員の皆さんと心に刻んでやっていきたい。

後藤氏のもとグループ内の事業の選択と集中を進め西武ホールディングスは2014年に東証1部に再上場を果たしました。

しかし今回、新型コロナの影響で鉄道やホテルの客数が激減。赤字に陥り、プリンスホテルなどの売却に踏み切りました。

西武ホールディングス 後藤社長に聞く!
プリンスホテル売却の狙いは?
馴染みのあるホテルばかりですが売却ということになりました。なぜこのタイミングだったのか、そしてコロナがなければこの決断はなかったのでしょうか。
今年で3年目になるコロナ禍がプリンスホテルをはじめとしたホテル・レジャー事業へのダメージが非常に大きかった。結果として前期723億円の最終赤字、上場来初めての赤字。西武グループ始まって以来の大赤字。
コロナ前のプリンスホテルはオペレーションとアセットオーナーの療法をやりビジネスモデルとしてうまく回っていたが、今回のコロナショックでプリンスホテルの需要が瞬間蒸発した。
そういう意味でオーナーとしての弱みがはっきりした。早くそういった弱みから抜け出さないといけない。
もう一つは前期700億円を超える赤字で資本がかなり大きく毀損した。企業体質を強化しなければいけない。体質の強化とアセットライトの両方を満たすということで今回、シンガポールの政府系ファンド「GIC」と資本協定を結んで、国内76事業所を処分し、31の事業所はGICに売却する。

ただしプリンスホテルは引き続き運営はそのまま継続する。
これによって企業体制を強化し、さらにプリンスホテルの事業モデルを運営に特化することによって、これから10年間で国内外合わせて84の事業所を250まで増やす。


さらに例えば都内の再開発、高輪、品川、芝公園、さらに西武鉄道の沿線の再開発をシームレスに対応していく。
軽井沢、箱根、富良野などの著名なリゾートを環境などに配慮しながら再開発をしていく。
今回いろいろ心配していただくが、今回のコロナが背中を押してくれたと考えている。
「ホテル拠点250ヵ所に拡大」とは?
84ヵ所のホテルの拠点を今後250ヵ所に拡大する、それが利益に貢献する、さらなる利益を生み出すと見ているのか?


オーナーを兼務してるときは調子がいいと利益が大きくなるが、オーナーの部分が欠落するので利益は少なくなる。リスクがミニマムになる。
財務体質、総資本利益率、自己資本利益率は間違いなく改善する。格付けも上がってくると思う。
人材は重要だと思うが今回、人員はそのまま運営に移ってリストラはない?
ありません。
運営の競争力はどう強化する?
プリンスホテルには人材はいると思っている。今後、運営に特化する中でよりホテル業に精通した人材を育成する、そのための教育も今まで以上にやっていきたいと思う。
GIC、あるいはグループ内の西武リアルティソリューションズがアセットオーナーになる。プリンスホテルはこれから運営に特化するのでオーナーとの緊張関係がある。
その中で人材も切磋琢磨して強くなるし、わたしも発破をかけるし期待もしている。教育投資も今まで以上にやっていく。
人・もの・金・情報、これが今まで以上に間違いなく良くなると思う。