WBSは先週、特別な許可を得て中東のサウジアラビアの取材に行ってきました。
皆さん、サウジアラビアといえばどんなイメージをお持ちでしょうか?
石油のイメージをお持ちの方も多いと思います。さらに人々が伝統的な衣装に身を包み、イスラム教徒以外の入国が厳しく制限されている、いわば閉ざされた国というイメージもあるかもしれません。
そのサウジアラビアが国を大きく変える改革に動き出しています。
その象徴が17日に世界を駆け巡った大きなニュースです。
国営石油会社のサウジアラコムが12月、史上最大の株式上場を行い日本円で最大2兆8,000億円もの資金を調達するというものです。
調達した資金は石油への依存から脱却するための投資に使うといいます。
サウジアラビアはいまどのように変わろうとしているのでしょうか?
サウジアラビア
サウジアラビアの首都リアドです。
私の後ろに見えているのがリヤドでも象徴的な建物であるキングダムタワーです。
7年前にもサウジアラビアを取材した大江キャスター。
サウジアラビアといえば女性が人前で肌を露出しない厳格なイスラム国家でしたが…
最近、外国人の服装の規定が緩和され、髪を覆うスカーフ、ヒジャーブというものを巻かなくてよくなりました。さらに体もアバヤという全身を覆う黒い布で覆わなくてよくなりました。
市内中心部にあるショッピングモール。
中に入ってみます。
ヴィクトリアズシークレット。女性の下着のお店ですね。大胆な下着が堂々と飾られています。
外国メディアが珍しいのか次々に声を掛けられます。
全身を覆う伝統衣装を着る人が多い一方、少しラフな格好の人の姿も…
髪の毛を隠していない女性がいますね。7年前にサウジアラビアに来たときは見かけなかった光景です。
女性の衣装、アバヤを扱うお店。
「最近のアバヤの流行はどんなものですか?」
いまサウジの女性はカラフルなアバヤをよく買う。
そこには黒以外の色とりどりのアバヤが。
大江キャスターが気になったのはこちらの一品。
早速、試着してみます。
最新アバヤファッションです。
「いつごろからカラフルなアバヤが増えた?」
1年前、それまでは黒しかなかった。
今では店の売り上げの8割がこうしたカラフルなアバヤだといいます。
一方、靴店では男性に接客する女性の姿が。
実はこうした光景もいままでにないものでした。
靴店のオーナーは、
女性の方が接客がうまく売り上げが増えた。
女性店員、
自立でき夢が広がった。将来的には起業したい。
ビジョン2030
この社会変革を主導しているのが34歳にしてサウジアラビアの国家運営に大きな影響力を持つムハンマド皇太子です。
2014年以来、世界的に石油価格が低迷を続ける中、石油に頼らない国づくり「ビジョン2030」を策定。国家運営の方針を大きく変えました。
その一環として就業率の低かったサウジアラビアの女性に社会進出を促し、経済の活性化を狙います。
そのビジョン2030にはもう一つの柱が…
サウジアニメエキスポ2019
ハロートーキョー。
こちらは先週末、サウジアラビアで初めて開かれた日本のアニメエキスポ。
チケットは完売。3日間でおよそ4万人を動員しました。
「いくら買った?」
1万5,000円分。
元々サウジアラビアでは古くから日本のアニメが放送され人気。
会場では日本のアニソンを披露。皆、大合唱。
実はこうした娯楽もビジョン2030によって本格的に解禁されたのです。
「この反響は?」
m-floに所属する☆Taku Takahashiさん、
こういう盛り上がり方をするのもタブーだった。想定外。
会場の一角に異様なエリアが…
中からは、
見た目は子ども、頭脳は大人、名探偵コナン。
実はこれ、女性限定のコスプレイベント。
しかし、撮影はNG。
イベント終了後、撮影に応じてくれる数人が再度ステージに上がってくれました。
こちらが名探偵コナン君。
これまで人前で踊ることなど考えられなかったサウジアラビア。
審査委員長を務めたコノミアキラさん。
サウジの子からすると女湯をのぞかれたような感覚があるらしい。
出演者は心の努力をして上がってくれたと思う。歴史的にすごい瞬間。
サウジアラビアのコスプレイヤー、
きょうは初めてのコスプレ。
「サウジアラビアは変わってきている?」
はい、とてもうれしい。国全体として表現の自由を受け入れ始めている。
サウジアラビアの変革はほかにも。
市内にあるマスマク城。
そこには外国人観光客の姿が…
実は9月に観光ビザを解禁したのです。
国を開放し、石油依存からの脱却を狙うサウジアラビア。
サウジアラビアの娯楽庁の幹部、
娯楽産業だけでも今後2兆円を投じ25万人の雇用を創出する。
娯楽や観光などで国を変える。それが「ビジョン2030」の最も重要な柱だ。