美濃焼の挑戦です。国内で生産される食器などの陶磁器の半分以上を占める美濃焼き。
安い海外製との価格競争に巻き込まれないための新しい商品が開発されていました。
耐熱セラミック鍋「セラ・キュート」
岐阜県に住む主婦の吉沼奈穂さん。
いま料理をする時の楽しみが2016年に購入した鍋です。なんでも水を使わない無水調理を可能とした耐熱セラミック製とのことです。
ピタってする感じがいい。圧力鍋みたい気密性が高い。
水の膜を張り気密性が保たれ圧力鍋と同じ状態になるそうです。
出来上がったのはミートソース。水は一切使わないので素材の持つうま味が全て引き出されます。
おいしい。
お子様も大満足です。
ほかにもポトフやカレーなども水を使わずに作れてしまいます。
3年前に開発された土鍋と同じ陶磁器の鍋「耐熱セラミック鍋『セラ・キュート』」、値段は2万7,000円。
現在ネットでしか購入できませんが、なんと6ヶ月待ちです。
前代未聞ひずみの無い鍋
有限会社一山製陶所
このヒット商品を作ったのは美濃焼きの産地として知られる岐阜県土岐市にある有限会社一山製陶所。
今年創業60年を迎えるこの会社、機械化を進めた工場でこれまでは茶碗、湯呑みなど安価な日常陶器を作ってきました。
しかし近年は価格の安い外国製品との競争に苦しんできました。
伊東嘉基社長は、
付加価値の高いものを追求しないと同じ価格では外国製品に絶対に負ける。
そこで作ったのが耐熱セラミック鍋「セラ・キュート」。一番のポイントは寸分の隙間も許さない気密性です。
一般に陶磁器はゆがみが味とされるため隙間があります。
今回、商品化するにあたりまずは焼いてもゆがみや収縮しにくい特別な粘土を開発しました。
さらにガラス板を成形した鍋に密着させます。
密閉する部分が焼くとひずむので、ひずみを解消するためにガラス板を使う。
普通は機械で乾燥させるのですがひずみを抑えるため10日間ほど自然乾燥させます。そして焼きを3回繰り返します。
最後に一番苦労したのが蓋と鍋の隙間をなくすための研磨。いままでの陶磁器の製造ではなかった工程です。
そこは企業秘密、勘弁してください。
開発に丸2年。手作りであるため月80個の生産が精一杯だといいます。
厚さ1ミリの極薄グラス
そしていま、さらなる商品開発に挑んでいました。
明るい系統の色がおもしろい。
若い人に使ってもらうためには色も考えなければ。
次に売り出そうとしているのが厚さ1ミリという「うすはりグラス」。
これまでより6割も軽く使いやすくなりました。日常使われる陶磁器は軽さが求められていると考えたからです。
陶器業界は先が見えない。どちらかと言えば衰退産業。2~3本と大きな柱を何本も立てられるようにしたい。
美濃焼きの新しい一歩、成果が問われるのはこれからです。
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