ロシア軍がウクライナに侵攻してから3ヵ月が経ちました。戦闘が長引く中、ロシア本国を離れるロシア人が急増していて、現地メディアによると今年1月から3月にかけて国外に出た人は前の年より4割以上増加しているといいます。そんな中、母国を離れ日本に避難してきたロシア人ぎます。苦しい胸の内を明かしてくれました。
日本に非難するロシア人!ウクライナ支援への思い
島根県出雲市。
ロシア人のボリス・アファナセフさん(31歳)です。先月、ロシアから日本に避難してきたといいます。
ボリス・アファナセフさん

戦争が始まってから…
侵攻が正しいと思っていない。
反対している人がどうやって生活できるのか、今のロシアで。
ボリスさんはモスクワで反戦デモに参加し、一時警察に拘束されました。
ロシアでは男性は1年間の兵役義務があります。ボリスさんも大学時代に入隊して今は予備役兵の身です。
反戦デモに参加したことから軍に招集され、最前線に送り込まれる可能性があるというのです。
ボリス・アファナセフさん

予備役の招集があれば断る。
何の意味があるのか、どんな結果を望んでいるのか。
たくさんの人が死ぬためにこんな事をするなんて分からない。
軍の招集を断れば禁固刑に処せられる可能性があり、ボリスさんはやむなく日本に避難してきたのです。
ボリス・アファナセフさん

ただいま。
実はボリスさん、3人のロシア人の同僚とともに日本にやって来ました。
彼らを現地で雇っていたのが牧野寛さんです。牧野さんはロシア留学をきっかけに4年前にサンクトペテルブルクでITコンサルティング会社を起業。8人の社員が働いていました。
ボリスさんや社員の身の安全を考えて4人をロシアから出国させることにしたのです。
友人のツテを頼りたどり着いたのが出雲市。牧野さんがアパートの家賃を支払い、4人を住まわせています。
SAMI
牧野寛CEO

経済制裁でこれから混乱を極めていくだろう。
それなら日本に出てもいいのではないか。
私は日本人だし、会社も日本法人があったので。
牧野さんの会社はこれまで日本企業とロシアのIT企業をつないできました。
日本語が得意なボリスさん、このまま日本で生活を続けたいと希望していますが、問題は日本に滞在するためのビザ。3ヵ月の短期滞在ビザで入国したため6月25日で切れてしまいます。
ロシアに戻ればいつ招集され、戦地に派遣されるか分からないのです。
ボリス・アファナセフさん

ウクライナに行かされるだろう。「死ぬか戦うか選べ」と。
今の状態だとロシアに帰りたくない。
社員の一人、イリーナ・ネムチェンコさんもロシアを離れたいと日本にやって来ました。
イリーナさんはウクライナで生まれ、7歳でロシアに移住し、ロシア人として育ちました。
イリーナ・ネムチェンコさん

ウクライナには家族や親しい友人もいてとても心配している。
私はウクライナへの侵攻を支持しない。
ロシア軍から攻撃を受けているウクライナ南東部ザポリージャ州には今もおばあさんが暮らしています。
イリーナ・ネムチェンコさん

今苦しんでいるウクライナ人を私は助けたい。
生まれ故郷の人たちのために力になりたい。
そんなイリーナさんや4人のロシア人が取り組んでいるのが日本に1,000人以上いるウクライナ避難民のための支援サイト「Dopomoga.jp」作りです。
避難生活に必要な住居や仕事を提供する自治体や企業を分かりやすく地図にして掲載しています。
そしてこの日…
SAMI
牧野寛CEO

サイトが立ち上がった。
ウクライナ避難民の支援サイトが開設されたのです。
イリーナ・ネムチェンコさん

もしロシアに戻ったらウクライナ人の支援ができなくなる。
だから私は日本に残りたい。
牧野さんはいまロシア人社員が1年間滞在できるよう入国管理局に就労ビザへの切り替えを申請しています。
ボリスさんは日本に留まり、ウクライナ人を支援することがロシアのためにもなると考えています。
ボリス・アファナセフさん

ロシアは悪、ロシア人も悪と思われているかもしれない。
ロシアのために平和のために私たちが頑張らなければならない。