WBSは2ヵ月前、ウクライナ侵攻に反対してロシアから島根県出雲市にやって来たロシア人のボリスさんを取材しました。
[WBS]ロシア出国者が4割増加!日本に避難ロシア人 苦しい胸の内[SAMI Japan合同会社]
ロシア軍がウクライナに侵攻してから3ヵ月が経ちました。戦闘が長引く中、ロシア本国を離れるロシア人が急増していて、現地メディアによると今年1月から3月にかけて国外に出た人は前の年より4割以上増加している ...
そのボリスさんはいまウクライナの避難民を支援するためあるビジネスに挑戦しようとしています。ボリスさんのその後を追いました。
出雲からウクライナ支援!ロシア人社員たちの挑戦
島根県出雲市。ロシア人のボリス・アファナセフさん(31歳)、4月に3人の同僚とともにロシアから日本にやって来ました。
今月、ボリスさんたちが始めたのがウクライナ避難民を助けるためのクラウドファンディング。
ボリス・アファナセフさん
ウクライナにいる人たちに生活のお金を払って、仕事を与えて、私たちのプロジェクトを一緒にチームとして仕事をする。
ボリスさんたちが日本で立ち上げたウクライナ避難民を支援するためのサイト。そのデザインや翻訳などの作業をウクライナ人に委託します。
そして、クラウドファンディングで集めた資金で彼らに報酬を支払い生活を支えようというのです。
支援してくれた人には返礼品が。
ボリス・アファナセフさん
ウクライナ国旗の色のキーホルダー。
日本に避難しているウクライナ人のお母さんが手作りしてくれた。
ウクライナ人を支援するボリスさんですが実は彼もまた故郷のロシアから避難してきたというのです。
ボリス・アファナセフさん
戦争が始まってから本当に…
いったい何の結果を望んでいるのか?
たくさんの人が死ぬために、こんな事をするなんて分からない。
兵役義務があるロシア、ボリスさんは予備役兵のためいつ軍に招集され、ウクライナの最前線に送り込まれるか分かりません。ウクライナ侵攻に反対するボリスさんはやむなく日本に避難してきたのです。
ボリスさんたちをロシアで雇っていたのがITコンサルティング会社を経営する牧野寛さん。
SAMI
牧野寛CEO
経済制裁でこれから混乱を極めていくだろう。
それなら日本に出てもいいのではないか。
私は日本人だし会社も日本法人があったので。
ロシアにあった牧野さんの会社は現地のIT企業と日本の企業をつなぐコンサルティング業務を得意としてきました。
日本に拠点を移し、ロシア人社員と新たなビジネスを始めようというのです。
SAMI
牧野寛CEO
地方都市は人口減少だけでなく深刻な人材不足に陥っている。
旧ソ連地域から流出する高度人材を日本に受け入れて、地方のIT企業や地方で頑張る企業が新しい事業を取り組んでいけるように。
地方創生をやってきたい。
牧野さんは今、ボリスさんらロシア人社員が日本で働き収入を得られるよう1年間の就労ビザを申請しています。
この日、牧野さんたちは出雲市内のIT企業「イーグリッド」に営業にやってきました。大企業のシステム開発を請け負うこの会社、しかし地方に本社があるため高度な技術を持つエンジニアが集まりにくいという課題がありました。
SAMI
牧野寛CEO
旧ソ連地域のエンジニアが我々も含めて流出してきているので、彼らを上手く我々で受け止めて日本のIT企業の人材不足を補てんする。
イーグリッド
小村淳浩社長
国籍が何人というのは気にしていないので。
逆に日本人エンジニアが彼らから学ぶこともあるのではないか。
両社は今後ウクライナ人エンジニアなどを採用し、共同で新規事業を立ち上げることになりました。
ボリス・アファナセフさん
すごく感謝。
私たちを受け入れてくれて本当にありがとうございます。
出雲でビジネスの足がかりを得た牧野さんとロシア人社員たち。
この日やってきたのは7年前に廃校になった小学校。実はここ出雲市がスタートアップ企業を誘致するために3月にオープンしたサテライトオフィス。
SAMI
牧野寛CEO
今、申請しているオフィス。
ここは音楽室の楽器置き場でした。
SAMI
牧野寛CEO
ここがすごく気に入っている。
ボリスさんは将来ここ出雲をウクライナ人との交流の場にしたいと考えています。
ボリス・アファナセフさん
日本から小さなことでもやりたいことがたくさんある。
もし、その小さいことで平和に近づいたら僕は本当に幸せ。
平和のために頑張りたい。