ロシアの極東サハリンで日本企業も参加している天然ガス開発事業がサハリン2です。
このサハリン2についてプーチン大統領が無償で譲渡するよう命じる大統領令に署名し事実上、ロシアの支配下に置かれることになりました。
これによって日本からサハリン2に参加している三井物産や三菱商事は今後、運営の枠組みから排除される可能性が出てきています。
サハリン2 無償譲渡の危機!ロシア プーチン氏が大統領令
かつて日本が統治し、樺太と呼ばれたサハリン。
その後、ロシアのもと押し進められたのが石油や天然ガスを開発するサハリン2プロジェクトです。
麻生総理(2009年当時)

サハリン2は日本・ロシア・イギリス・オランダ、国際的な国々の枠組みで進められた歴史的なエネルギー事業である。
サハリン2は現在ロシア国営のガスプロムのほか、三菱商事と三井物産も参加する日本にとっても重要なプロジェクト。
ロシア発のLNG(液化天然ガス)で生産能力は年間960万トンに上り、その6割ほどが権益を持つ日本に輸出されています。
これまでプーチン大統領も期待を寄せていました。
プーチン大統領

エネルギー分野でもロシアのガスプロムや三井と三菱がサハリン2のLNGプロジェクトで参加している。
しかし、6月30日にプーチン大統領は突如サハリン2を政府が新たに設立するロシア企業に無償で譲渡することを命じる大統領令に署名したのです。
寝耳に水の日本政府は…
岸田総理

大統領令に基づき契約内容がどのようなものを求められるのか、これについて注視しなければならない。
三井物産や三菱商事もサハリン2を運営することになるロシア政府の新会社に株主として参加が可能。
ただ新会社に参加しない場合、日本の商社はサハリン2への関与を失うことになります。
大統領令には会社の設立から1ヵ月以内に株式所得に同意するかを通知する必要があると記載されていますが…
三菱商事関係者

経済制裁はするが配当は得たい。そういう二枚舌もロシアは分かっている。
実態としては踏み絵を踏ませている。
どっちを選ぶのか、ロシア側が判断を迫って来たということだ。
7月1日の株式市場で三井物産と三菱商事は共に5%以上下落。
サハリン2からLNGを調達している東京ガスも10%近く下落しました。
萩生田経産大臣

今回の大統領によって直ちにサハリン2からLNG輸入ができなくわけではないと思っているが、今後さまざまな不測の事態に備え、万全の対策をとる必要がある。
他の国からの代替調達を進める方針を示した政府。
さらに日本のエネルギー界にも懸念が広がっています。
東京ガス幹部

われわれはマーケットで高額な調達に頼っていくのか、ロシアの新会社と売買契約を結ばざるを得ないのか、その判断を迫られるのかもしれない。
その場合も決して安価な取引にはならないはずだ。