北欧のフィンランドとスウェーデンは18日にNATO(北大西洋条約機構)に正式に加盟を申請しました。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、両国は長年守ってきた軍事的な中立政策を放棄し、バランス外交と決別します。
一方、ウクライナでの戦闘の長期化によってロシア国内ではある別の問題が深刻化しています。
2国がNATO加盟を正式申請!トルコは慎重姿勢 アメリカが説得へ
NATOのストルテンベルグ事務総長が手にしているのはフィンランドとスウェーデンの国旗が描かれた文章。
NATO
ストルテンベルグ事務総長
フィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請を温かく迎える。
受け取ったのはNATOへの加盟を申請する書類。長年軍事的中立を掲げてきた両国はロシアによるウクライナ侵攻を受けて方針を転換しました。
NATO
ストルテンベルグ事務総長
きょう行った加盟申請は歴史的な一歩。
すべての問題を解決し迅速に結論を出したい。
NATOに加盟するには既存の30の加盟国全ての承認が必要です。しかし、トルコは両国が2019年のシリア侵攻を理由にトルコへ制裁を課していることへの不満から慎重な姿勢を示しています。
エルドアン首相は5月18日に改めて「両国の加盟は今のままイエスと言えない」と強調しました。
アメリカのブリンケン国務長官は18日にトルコのチャヴシュオール外相と会談し、トルコを説得する構えです。
一方、そのロシア。激しい戦闘が続いていたウクライナ南東部のマリウポリを事実上制圧したとされます。
バスに乗せられ移送されているのはマリウポリの製鉄所で抵抗を続けていたアゾフ連隊などウクライナの兵士たち。ロシア国防省は18日に製鉄所構内から過去24時間に負傷者29人を含む694人が投降し、捕虜になったと発表。16日からの投降者は合計959人になったと明らかにしました。
ウクライナ側は拘束された兵士についてロシア兵捕虜と交換したい考えですが、ロシア側は応じない構えで、今後ロシア国内で兵士を尋問する計画です。
なぜ?ロシア山火事 過去最悪水準!背景にウクライナ侵攻の長期化
ウクライナでの戦闘の長期化によってロシア国内ではある危機が浮上しています。
モスクワ支局
中村航記者
ウクライナで戦闘が行われている裏側で、最近ロシアの新聞ではシベリアを中心とした場所での山火事のニュースが増えています。
シベリアを中心にロシア全土を襲う大規模火災です。
実はロシアはたき火や自然発火などが原因で毎年北海道の2倍以上の面積が燃える山火事大国。
大型の飛行機で水を散布するなど大掛かりな消火活動が必要となります。
モスクワ市民
消火活動に参加したことがあるがひどい火事だ。
5分もしないうちに火が広がる。
モスクワ市民
国にとって深刻な問題だ。
モスクワ支局
中村航記者
どうしたらいいか?
モスクワ市民
どうにか消すのみ。
過去にはプーチン大統領が自ら飛行機に乗り込んで指揮するなど山火事対策はロシアの重要課題なのですが、今年はある異変が…
実はウクライナでの戦闘長期化によって緊急時に山火事対応に投入される軍隊の人員が不足しているといわれています。
さらに…
数年前はポーランドの消防士が消火活動を助けるためにモスクワに来た。
今ではシベリアの半分が燃えていても誰も助けには来ない。
ロシアが周辺国から距離を置かれる現状も消火活動にはマイナスに。
今年の山火事被害は過去最悪の水準となっています。
この状況に対してプーチン大統領は…
ロシア
プーチン大統領
原因がなんであろうと大規模火災は人々の命や健康を脅かす。
自然や生物に甚大な取り返しのつかないダメージを与える。