ロシアでは9日にモスクワで対ドイツ戦勝記念日パレードが行われましたが、ウクライナへのミサイル攻撃などはその後も続いています。国際社会が圧力を強める中、経済制裁の影響からかロシア国民の間である動きが広がっています。
ロシア 戦勝記念日から一夜!菜園付き別荘が人気のワケ
プーチン大統領の演説から一夜明けたモスクワ。
モスクワ支局
中村航記者

こちらの新聞ではプーチン大統領の演説のうち遺族への補償も約束したという部分を見出しに取っています。
長引く戦闘を嫌がるムードを広げないために遺族対応を取り上げ、国家団結を訴えています。
また、ほかのメディアでは「きょうあなた方は、あなた方の父や祖父が戦ったものを守っている」として、ウクライナへの軍事侵攻を第2次世界大戦と同じナチズムとの戦いとするプーチン大統領の考えを強調しています。
ロシア国民

ウクライナ東部も含めて、ロシア国民はナチスとの戦いを終わらせなければ。
一方、ウクライナ南部の港湾都市オデーサ、ロシアの戦勝記念日の9日もミサイル攻撃は続き、少なくとも1人が死亡、5人が負傷しました。
この日、オデーサを訪問したのはEU(ヨーロッパ連合)のミシェル大統領。農産物を輸出する港湾施設を視察し、大量の穀物が輸出できない状態になっていたとTwitterに投稿しました。
ゼレンスキー大統領も…
ウクライナ
ゼレンスキー大統領

これはウクライナだけの打撃ではない。私たちの農業輸出がなければ世界のさまざまな地域の何十もの国々が既に食糧不足の危機にひんしている。
各国はロシアへの圧力を強めています。
アメリカのバイデン大統領は9日にウクライナなどへの兵器の貸与をしやすくする「武器貸与法案」に署名。
日本も5月10日にロシアの首相の資産凍結など追加の制裁を決定しました。
国際社会から制裁を受けるロシアでは急激にモノの値段が上がっています。足元で落ち着きがみられるものの3月には米や野菜は1割、砂糖は4割以上値上がりました。
そうした中、いま人気を集めているのが菜園付きの別荘「ダーチャ」です。
ダーチャは食料が乏しかったソ連時代には政府が無償で土地を渡し、国民に食料を栽培させていました。
リジアさんにモスクワ郊外のダーチャを見せてもらいました。
モスクワ支局
中村航記者

すごいですね、これがダーチャのお庭で植物もたくさんあって。
いまでもこちらの庭ではキュウリ、ニンニクなどを栽培しています。
モスクワ郊外に別荘を持つ
リジアさん

トマトとキュウリを作り始めてからスーパーに行かなくなった。
しかし、対応が難しいものも…
モスクワ郊外に別荘を持つ
リジアさん

砂糖なんて去年は1キロ37ルーブルだった。今では98~100ルーブルのときも。
モスクワ支局
中村航記者
砂糖は菜園では作れない?

モスクワ郊外に別荘を持つ
リジアさん

それはさすがに作れない。
価格の変動に加えてビザの制限などで海外への渡航が難しくなったこともありダーチャの人気が高まっているといいます。
不動産業者

庭の区画を売り出した。3人のお客さんが見たいと内覧予約をしてくれた。
他のお客さんから「内覧なしでも買いたい」と電話で言われた。
これが今のダーチャの人気の高さを表す分かりやすい例。
例えばこちらのダーチャ。もともと無償で提供されたものですが、最近およそ190万円で売れたといいます。
ダーチャで暮らすリジアさん、戦闘が長引くことへの不安も抱えていました。
モスクワ郊外に別荘を持つ
リジアさん

ロシアが攻撃を受けることになればこの別荘も何もなくなる。
平和になることを望む。隣国同士が戦ってもいいことはない。