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[WBS]ウクライナ侵攻!「戦勝記念日」目前 モスクワの街は…

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ウクライナに対し、激しい攻撃を続けているロシアですが週明けの9日には旧ソ連時代にドイツに勝利したことを記念する軍事パレードを行います。目前に迫ったパレードが行われるモスクワには中村航記者がいます。

ロシア"戦勝パレード"が目前!国威発揚で新たな展開は?

中村航記者

モスクワの街の中では至るところで5月9日の戦勝記念日を祝う飾り付けが見られます。
私の後ろにあるのは第2次世界大戦を戦った兵士たちの写真の展示です。

ドイツなどの戦いで2,500万人以上の死者を出したというこの国では5月9日は1年で最も愛国心が高まる日といわれています。

市民の反応を聞きました。

モスクワ市民

5月9日も近づいてきていい雰囲気に決まっている。
人々を団結させたり、今の作戦にも影響する。

モスクワ市民

現在もナチズムとの戦いだ。国民と全世界のためにこの問題を強調することは非常に重要なことだ。

今年のパレードには軍人1万1,000人が参加し、走行する軍用車両は131台、さらに軍用機77機が赤の広場の上を飛ぶ予定です。

今朝の政府系の新聞の見出しには「私たちは勝った、今も勝っている、これからも勝つ」と書かれています。戦勝記念日と現在のことを結びつけるようなものになっていてまさに国威発揚を促すようなかたちになっています。

佐々木明子キャスター

今回の戦勝記念日はウクライナへの攻撃を続ける中で迎えます。
例年との違いはあるのでしょうか?

中村航記者

違いはかなりあります。
今回の軍事パレードの詳細を見ると明らかです。

かつて5月9日は世界がナチスの脅威に打ち勝った日として世界各国の首脳を招き祝うこともありました。

ただ今回はウクライナへの攻撃の理由としているウクライナでのナチズム打倒を国内向けに強調するため使っているというのが現状です。

例えばモスクワ上空を飛ぶ戦闘機8機はウクライナでの特別軍事作戦に対するロシア支持を意味する「Z」のマークを空に描きます。これにより国民にウクライナでの作戦の支持を呼びかけます。

そして今回はイリューシン80という特別な飛行機もパレードに投入します。これは核戦争などの緊急時に大統領が乗り込み直接指揮をとるため「終末の飛行機」と呼ばれているものです。

また5日にはロシアの飛び地カリーニングラードで核搭載可能なミサイルの訓練も行いました。

ロシア外務省の報道官は6日にロシアはウクライナで核兵器を使用しないと述べ、核使用の可能性を否定していますが、パレードや訓練で核の脅威をにじませることが結果的に欧米に対するウクライナの武器支援の牽制になっています。

また今回はウクライナとの戦闘中の戦勝記念日ですが、2014年の記念日の時にはモスクワでパレードに出席していたプーチン大統領がその日の午後にその年にロシアへの編入を宣言したクリミアに入りました。編入を宣言した後、初のクリミア入りで同じ国家になったということを強くアピールしました。

2014年 クリミア
プーチン大統領

ここに住む人々がロシアと共に歩むことを決断した年として歴史に残る。

今回、プーチン大統領自身がウクライナの支配地域に入るということはなさそうです。

ただ、9日のパレードの後のスピーチでウクライナの現状について新たな発表をするとの見方も強まっていて、内向きのパレードですが世界の注目を集めています。

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