ウクライナで戦闘を続けるロシアは、ウクライナが放射性物質をまき散らす「汚い爆弾」を使用するという主張を日に日に強めています。こうした中、ロシア国内ではある異変が起きていました。
ロシア「汚い爆弾」主張強める
戦略核戦力の演習「課題は達成」
ウクライナ東部ドネツク州のバフムトで10月26日、冷たい雨が降り、砲撃の音がする中、住民たちが避難していました。
1ヵ月、水も電気も止まったままです。
ゼレンスキー大統領はここで「狂気じみたロシア部隊が集中的に砲撃している」としています。
こうした中、ロシアは10月26日に戦略核戦力部隊の演習を実施し、大統領府は「すべての課題が達成された」と発表しました。
プーチン大統領もオンラインで演習を視察。
アメリカ国防総省は「毎年の定期的な演習」として通知があったとしました。
核の使用をチラつかせるロシアは最近、放射性まき散らす「汚い爆弾」をウクライナが使う可能性があるとの主張を続けています。
プーチン大統領も10月26日に旧ソ連圏の治安機関幹部との会合で初めて言及しました。
アメリカなどに主張を展開してきたショイグ国防相は10月26日に中国とインドの国防相にも訴えました。
ところがインドのシン国防相は電話会談で「核の選択肢に頼るべきではない」と強調。核兵器を使わないように求めたのです。
長年にわたりロシアから武器を購入し、つながりの深いインドから釘を刺された形です。
ロシアによる侵攻から8ヵ月、ウクライナの激しい反転攻勢を受け、部分動員を決断したプーチン大統領。
ロシア 軍用品に射撃教室
モスクワで広がる異変
モスクワ市内では異変が…
ミリタリーショップでは実際の戦闘にも使える道具などを売っています。
記者
なぜここに来た?

お客さん

いざという時のためだ。
ミリタリーショップの店長

何倍にも需要が膨れ上がった。予想できないほどの需要だ。
この店の商品がプロ用のものだから。
部分動員の直後から軍用品の需要が急拡大。例えば防弾プレート、少なくとも50%値上がりしたといいます。
理由は徴兵された時に必要な防具が支給されないとの噂が流れ、自分で用意すれば確実と考えた人が増えたためです。
最近まで最前線に居たという人に聞くと…
記者
軍は軍用品を支給してくれないのか?

最近まで従軍していたお客さん

支給してくれるが自分で買う方が質がいい。国産品もあるし、だからここで買う。
異変はモスクワ市内のほかの場所でも…
射撃教室です。
射撃コースの希望者は部分動員後の2週間で2倍に。多くの参加者は念のためと理由を話します。
射撃トレーナー

マカロフ、全自動拳銃のスチェッキン、ライフル銃、カラシニコフなど。
この射撃場の個人レッスンは1時間4,800円で、80発の射撃ができます。
最近の受講者の8割が銃を初めて手にする人とされています。
射撃トレーナー

休日は特に大変、午前10時から4人教えて、午後10時まで別の4人に教えている。
さらにこんな事態も…
モスクワ支局
バレリー・ベロゼロフ記者

劇場のようなビルを一時的に動員センターとして使うことにしましたが、動員の目的が達成されたと判断された上で動員センターもなくなりました。
モスクワではプーチン大統領が部分動員の期限とした10月28日を前に一部の動員センターが閉鎖されました。
同じ場所の1ヵ月前の様子です。徴兵された人々がバスに乗り出発、見送る家族たちで人だかりができていました。
期限前に閉鎖したのは部分動員への反発が特に強いモスクワで、反対意見を抑え込むためといわれています。
一方でこちらは招集された兵士の家族への支援センター。混雑は深刻になっています。
動員兵士の家族

いろいろな資料、メンタルヘルス、法律相談、子どもの幼稚園などの相談に乗ってくれた。
3週間前に息子が招集されたという女性、日本円でおよそ12万円の援助金や介助士の派遣などを依頼したそうです。
動員兵士の家族

私にとって最も重要なのは息子が生きて戻ってくることだけ。
全てうまくいくことを願う。それだけが私の支えだ。
彼が戻ってきてくれることを望む。そしてこの災難が終わってくれるように。