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[WBS]新ロシア派が主張!ウクライナ東・南部編入「9割賛成」

ワールドビジネスサテライト(WBS)

ロシアが占領するウクライナ東部・南部の4つの州で行われた住民投票について新ロシア派はおよそ9割がロシアへの編入を支持したと発表しました。一方でロシア国内は予備役の動員をめぐり混乱が広がっています。その現場を取材しました。

「住民投票」で9割賛成
ゼレンスキー氏「茶番劇だ」

9月28日、住民投票の結果を見守る新ロシア派の幹部たち。ロシアへの編入の賛成票が99%を超えたことが分かると喜びの抱擁をしました。

ウクライナ東部と南部の4つの州でロシアへの一方的な編入に向けて強行した住民投票。新ロシア派は暫定結果として87~99%が編入を支持したと主張しています。

新ロシア派組織は投票結果の確定後、直ちにプーチン大統領にロシアへの領土編入を要請します。

プーチン大統領は30日に議会での演説で4つの州の編入を宣言するとの見方が強まっています。

これに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は

ウクライナ
ゼレンスキー大統領

占領された地域での茶番劇は住民投票のまねごとですらない。
そこで結果として宣言されたことは事前に分かっていたことだ。

こうした中、国連の安全保障理事会は27日に緊急会合を開きました。

アメリカ 国連大使
トーマスグリーンフィールド氏

ロシアの偽りの住民投票が受け入れられればパンドラの箱が開くことになる。

欧米各国も相次いで「偽りの住民投票は決して認められない」とロシアを非難しました。

今後について専門家は…

防衛省 防衛研究所
政策研究部長
兵頭慎治氏

4つの州がロシアに編入されてしまうとロシアは4州を自国領とみなして、核使用も含めてあらゆる自衛措置をとるとプーチン大統領は威嚇している。
ウクライナ側も慎重に見極めながら奪還のための軍事行動を続けていく。

番組スタッフ

4州を編入して侵攻を終えることは?

防衛省 防衛研究所
政策研究部長
兵頭慎治氏

今回編入される可能性がある2つの州は、特にドネツク州はまだ半分程度しかロシアは掌握できていない。
残りの未制圧の地域に関してロシアは軍事行動を続けていく。

ロシア「30万人動員」で混乱
"結婚直後に徴兵"の男性も

こうした中、ロシアで進んでいるのが軍務経験のある予備役の動員です。

モスクワの徴兵事務所を訪ねると徴兵される男性を見送るため多くの人が集まっていました。

見送りに来た人

彼氏を見送りに来た。もちろん心配している。
前向きに考えたいが…

徴兵された男性は…

番組スタッフ

それは何?

徴兵された男性(28歳)

招集令状だ。
必要なことをやるしかない。動員は仕方がない。

なかにはこんな男性も…

徴兵された男性(24歳)

あの女性ときょう結婚したんだ。自分が徴兵される日にね。

もともと婚約していた2人、招集令状が来て慌てて結婚をしたといいます。

これは結婚証明書。
徴兵はショックでまだ信じられない。
全ての状況が好転して夫が早く家に帰れることを祈っている。

バスに乗って旅立つ男性たち。どの戦場に行くことになるかはまだ知らされていません。

ロシア政府によれば今回の動員は30万人規模で2,500万人いる予備役のごく一部だといいます。

しかし、その実態についてある人権監視団体は総動員が始まっていると指摘します。

人権監視団体
OVDインフォ
マリア・クズネツォワさん

政府は50~60歳の軍務経験のない高齢者を徴兵している。
ある村では男性39人が全員動員された。間違いなく「総動員」だと言える。

動員が進む中、この団体はこんなアドバイスをしています。

人権監視団体
OVDインフォ
マリア・クズネツォワさん

招集が来てもドアを開けず、奥さんにもサインをさせたりしなければ少額の罰金の支払いで済むが、しかし招集令状にサインをして徴兵所に行かなければ最大5年の懲役。
だからどんな場合でもサインをしてはいけない。

動員が始まったことで人々の意識にも変化が起きているといいます。

人権監視団体
OVDインフォ
マリア・クズネツォワさん

大きな反戦デモが意外な地域で起こっている。人々は今や「徴兵よりデモに参加して数年刑務所に行くほうがましだ」と言っている。
それがデモが起きている理由だ。

ウクライナ侵攻の行く末は
ロシア 核兵器使用のリスクも

国内で混乱を深めるロシア。その行く末を警戒する人物がいます。

アメリカのリスク調査会社ユーラシア・グループの代表、イアン・ブレマー氏です。佐々木明子キャスターが取材をしました。

佐々木明子キャスター

最も重要な世界リスクは?

ユーラシア・グループ
イアン・ブレマー氏

核兵器などを今後使用するリスクは?

さらにウクライナ侵攻に苦戦するプーチン大統領が最悪の行動に踏み切る可能性があると指摘します。

佐々木明子キャスター

そんなリスクは望まないが、もちろん可能性はある。
ロシアは強い怒りと深い不安を抱えていて戦況も悪い。
ウクライナに関しては化学兵器や核兵器の使用を含む一般市民やインフラに対する大規模な攻撃があるかもしれない。

ユーラシア・グループ
イアン・ブレマー氏

今後、数ヵ月の重大な世界リスクはロシアの侵略が制御不能になりNATOとの直接戦争になだれ込むこと。
間違いなく短期的に最も懸念されるリスク。

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