岩手県の安比高原。冬はスキー場として人気のあるこの広大な敷地に誕生したのが「ハロウ インターナショナルスクール安比ジャパン」です。イギリスの名門パブリックスクールによる初めての日本校です。先月末に入学式が行われ、日本を含む12の国と地域から180人が入学しました。全寮制で年間の費用は900万円程度です。実はこうしたイギリスの名門校が来年以降も続々と日本で開校することが決まっています。一体なぜなのか追跡取材しました。
イギリス名門 ラグビー校とは?
ロンドンから車でおよそ2時間。ここにイギリスを代表する学校があります。
450年以上の歴史を持つラグビー校。「ザ・ナイン」と呼ばれるトップ9校のひとつです。
中村航記者

実はこの後ろにあるフィールドでスポーツのラグビーが生まれたといわれる場所でもあります。
およそ200年前、ここでフットボールをしていた生徒がボールを手に持ち、走り始めたことがラグビー競技の起源とされています。
生徒数は850人、日本人も4人が在籍。教育方針は「Whole person」という知識だけでなく、身体的にも精神的にも発展した人になることを目指すものです。
古典教科やチーム競技を重視していて、全寮制であることも特徴です。
イギリスで最も偉大な教育家、トーマス・アーノルドによって作られたこの仕組み、イギリスの多くの学校のモデルになったといいます。
イギリス ラグビー校
PJ・グリーンさん

この教育を受けた人はあらゆることに秀でている。
良識ある人間でもある。これがわれわれが目指す姿だ。
イギリス ラグビー校 ナゼ?千葉に開校
そのラグビー校がタイに続き、海外2ヵ所目の地に選んだのが千葉県柏市です。
中垣正太郎キャスター

今回、特別に内部を見学させてもらえることになりました。
早速取材したいと思います。
来年8月の開校に向け、着々と準備が進む現場に特別にカメラが入りました。
この日、校舎の建設現場に視察にやって来たのは初代校長を務めるトニー・ダービーさん。イギリスのラグビー校に10年以上在籍していました。
ラグビースクールジャパン
トニー・ダービー校長

キャンパスは思ったよりも広い。
日本校は千葉大学のキャンパス内に位置し、大学の校舎を改修して使用するほか、生徒全員が入れる食堂兼講堂などを新設。
男女共学で11歳から18歳の生徒、780人が学ぶ計画です。
ラグビースクールジャパン
トニー・ダービー校長

互いを尊重し誠実であるという日本文化は素晴らしい。
イギリス本校の長所を取り入れることで国際社会で活躍できる生徒を輩出したい。
実は中垣正太郎キャスターはラグビー歴15年、真っ先にあることを聞いてしまいました。
中垣正太郎キャスター
グラウンドには力を入れるのか?

ラグビースクールジャパン
トニー・ダービー校長

とても重要だ。ラグビー場を真ん中に置く。
校庭には国際規格の広さを持つラグビー場が設置されるそうです。
今回、ラグビー校を誘致したのは柏の葉周辺の街づくりを手がける三井不動産。施設の建設なども担います。
誘致した狙いは何なのでしょうか。
三井不動産
山下和則執行役員

教育の国際化を街で果たしたいという目標でずっとやっていた。
柏の葉にはトップの研究機関があり外国の研究者が多い。
教育機関があることによって、例えば家族ごと来やすくなる。
来てみたい、住んでみたい、働いてみたい、街になるので非常に大きな価値がある。
教育インフラを強化することでグローバル人材や外資系企業が集まることを見込んでいます。
この日は施設の内装について打ち合わせが進められていました。カフェや図書館、読書室などのほか、ラグビー校の特徴でもある寮が3棟建設されます。
ラグビースクールジャパン
トニー・ダービー校長

ピアノは男女両方の寮に置けないか。
性別に関する先入観には気を付けた方がいい。
生徒は通学、平日のみ寮、全寮制の3つから選択。通学の場合の年間授業料は450万~550万円だといいます。
一体どんな家族が子供を入学させようとしているのでしょうか。
父親がアメリカ人のマルシーロさん一家。長女の実花さんの入学を考えていました。
ラグビー校への入学を検討
父・フランクさん

東京近郊で中学・高校にあたるインターナショナルスクールは限られている。
ラグビー校への入学を検討
母・昌子さん
言葉だけでなく中身も他の文化を理解する気持ちを肌で感じて身に付けて育ってほしい。
ラグビスクール開校で海外からの転勤家族も増えるのでは。

中垣正太郎キャスター

将来やりたいことは?
ラグビー校への入学を検討
長女・実花さん
いろいろなことをやって、もう少し大きくなってから本当にやりたいことを決めたい。

オックスフォードやケンブリッジといった最高峰の大学を擁するイギリス。教育産業の海外輸出は将来的に世界の頭脳を集めるだけでなく大きな利益ももたらす国家戦略といえます。
ブリティッシュ・カウンシル
マシュー・ノウルズ駐日代表

インターナショナルスクールで学んだ生徒が将来イギリスの大学で学ぶことを期待している。
それがイギリスに経済的な利益をもたらすのは明らかだ。