「中国焦点」のコーナーですが、今回は中国の外交について取り上げます。ロシアのウクライナ進攻から1ヵ月以上経過してロシア軍が首都キエフから部隊を縮小させる動きも伝えられ始めています。
こうした中、中国の出方にも当然注目が集まっています。中国はいまロシア、アメリカ、そして台湾とどのように向き合おうとしているのでしょうか。
中国 ロシアとどう向き合う
中国はこれまでにウクライナ問題について公式な外交態度を示したのは2回です。
3月2日に即時撤退を求める国連の決議を棄権しました。
そして24日の人道状況改善に向けた決議も棄権しました。
日米欧によるロシアへの経済制裁に対して強く反対を主張した一方でウクライナに対する物資による提供を発表するなどその真意は掴めません。
北京市内でロシアとウクライナ、それぞれに対する感情を聞きました。
「中国はロシアとウクライナのどちらを支援すべきか?」
現状を保てればよい。同盟もしないし対立もしない。
つまり支持もせず、反対もしなければよい。
ロシアを支持するともウクライナを支持するとも言うべきではない。
私は心からロシアを支持し、プーチン大統領を支持している。
彼が倒れないように願っている。
アメリカがロシアを倒したあとに中国を倒しにくる恐れがあると思っている。
ウクライナ情勢をめぐってはロシアの孤立が際立っていますが、エネルギー面などの貿易は続いています。
国際政治が専門の中国人民大学の時殷弘教授に中国はロシアとどう向き合おうとしているのか聞きました。
中国がロシアに対し、戦場で支援物資として使える非軍事的な支援をしたという情報はない。
中国は能力の範囲で自らの資産を失わないという原則のもと、戦略的パートナー(ロシア)に必要な経済支援を行うかもしれないが、こうした物資をウクライナの戦場で利用することには決して同意しない。
時殷弘教授は中国はロシアを支持しながらもロシアの行動や戦闘には距離をとっていると指摘します。
その理由を中国にとってロシアが重要な外交カードであるからだと語ります。
アメリカと西側の同盟国、特に海洋の同盟国、日本、イギリス、オーストラリア、カナダが中国に対して今後の全面的な戦争準備、圧力、外交的な孤立などによる攻撃を行う状況で中国は戦略的なパートナーが必要だ。その中で大国の能力を持つのは唯一ロシアだ。
米中関係が専門で中国外交に詳しい日本総研の呉軍華さん。呉さんはアメリカやヨーロッパによるロシア封じ込めは必ずしも足並みが揃っているわけではないとみています。
「西側諸国は中国がロシアに対して何らかの支援をするのではないかと心配している。」
支援の概念。武器の供与など軍事分野での支援は恐らくない。
それ以外のロシアの食料、ガスを買った。これは支援になるのか。
ドイツや日本が買っていいものを中国が買ってはいけないのか。
戦争を非難するという意味では西側諸国は一枚岩。
それ以外の部分は本当に一枚岩かどうか言い切れない部分がある。
「まだ温度差がある?」
あるでしょう。ガスの問題をとっても。
バイデン大統領が専制主義対民主主義の戦いだといっている。
ロシアが崩れて世界から専制主義、権威主義が無くなるか、そうではない。
国連の一連の投票でも見られるように民主主義ではない国が結構ある。