地域の頑張る企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は埼玉県北部の深谷市からです。食べられるバラを独自のビジネスで展開する若き女性経営者の挑戦に迫ります。

ROSE LABO株式会社
[blogcard url="https://www.roselabo.jp/"]
群馬県にほど近い埼玉県深谷市。

とる農家がユニークなビジネスを手掛けていると聞いて訪ねました。
それがこの人。長靴に首タオル姿。

27歳、農家で社長の田中綾華さんです。

農作業着用ではなく、表参道で買った洋服を農業で使っている。

ビニールハウスで育てているのはすべてバラ。でもただのバラではなく食用なんです。

その数およそ3万株。

しかもこのバラでユニークなビジネスを展開して数々の賞を受賞。創業からわずか5年で売り上げ1億円に成長させたのです。

そのヒミツはこちらの大手デパート「恵比寿三越」にありました。

売り場の一角にはバラのエキスを使った唇専用の美容液にバラの花びらを使ったジャム、どれもいい値段。


これらの商品はすべて田中さんの会社が企画開発、つまりバラの生産農家が自社ブランド製品を作り、販売までしているというわけです。

お客様に人気の理由を聞いてみるとある言葉が…
無農薬なので安心。

このジャム、無農薬なので安心して食べられる。

味もおいしい。

田中さんのバラはすべて無農薬栽培。

虫がつきやすいことで知られるバラですが土を使わない水耕栽培を採用。

失敗と経験を繰り返し今では年間最大で27万輪ものバラの花を咲かせる技術を確立させました。

葉の裏に虫がついていないかのチェックをしていた。

無農薬栽培は虫と病気との戦い。土ではなくスポンジを使っている。

土を使わないことによって虫が出にくくなる。

栽培しているバラは5種類。品種開発も自社で行います。

「MRL-24」はビタミンAやビタミンCを多く含むバラ。ただ優雅な見た目とは裏腹にバラ農家の毎日は決して楽なものではありません。

この日、ハウスの中の気温は48度。田中さん、実はバラ栽培のためにわざわざこの深谷市を選んだそうです。

暑ければ暑いほど食用バラに向いている。

深谷はとても気温が高いので食用バラの栽培に適している。

夏はきつい仕事ですが従業員6人のうち5人が女性です。

学生時代、夢や目標がなかったという田中さん。それが20歳の時に一大決死、大学を辞め大好きなバラを仕事にしようと食用バラの農家に弟子入り。

22歳でローズラボを起業したという異色の経歴の持ち主なのです。

1年目はバラが全て枯れてしまった。

毎月赤字で夜は居酒屋でアルバイトをして赤字を補填していた。

あれから5年、田中さんのユニークさはこんなところにも。

こちらは地元の和菓子店「和菓子店 ねだち」。お菓子一筋35年、昔ながらのみたらし団子が人気です。

そんな主が取り出したのは…

冷凍したもので作っている。

凍らせた濃い紫色のバラの花びら。
田中さんは地元とタッグを組めればと加工を依頼。和菓子店がそれに応えました。

1回冷凍することで細胞が壊れるので色が出やすい特徴がある。

田中社長に色は薄くとか言われる。季節ものなので思った通りに色が出ない。

花びらを取り出し、レモン果汁を加えた瞬間、色がルビーのような透明に。

これを瓶に詰めて加熱殺菌。無農薬バラで作ったビタミンC入りの濃縮ローズドリンクが完成です。

売り上げが10%くらい上がっている。ありがたいことです。

ローズラボの商品数はいまや16種類。食品から化粧品にまで広がっています。

無農薬の食用バラという農産物が様々な付加価値を生み出しています。
農業の可能性を伝える伝道師になりたい。

第1次産業はお客様との接点が少ないが農家でも売る力があるロールモデルになれれば。
