海外で日本酒の人気が続いています。2月7日に発表された日本酒の去年1年間の輸出額は401億円以上に達して12年連続で過去最高となりました。
ただ足元では輸出したくてもできない状況となっています。
海外で続く日本酒人気…
輸出したくてもできない!?
創業130年あまりの蔵元「李白酒造」。現在は新酒の仕込みの真っ只中です。
李白酒造は25年以上も前から輸出を手掛けてきて、アメリカを中心に中国やヨーロッパなどに販路を広げていて、生産量のおよそ4割を海外で販売しています。
李白純米大吟醸、穏やかな香りのキレのよい辛口で洋食に合わせやすく海外でも人気に。コロナ禍にも関わらず注文が多いといいます。
しかし…
李白酒造の田中裕一郎社長。
これがアメリカ向けの荷物。
中国向けがあって、こっちはスペイン。
倉庫にあったのは去年10月に輸入元から発注を受けたもので、予定ではすでに出荷していたもの。送りたくても送れないおよそ3,700ケースが積まれているのです。
コンテナ不足で船が決まらない。
瓶に詰めた酒がいつまでもあると倉庫を圧迫する。
いまは製造のシーズンだが酒造り用の米も入ってきて置き場所も圧迫されている。
この状況はほかの蔵元にも同じことが言えるといいます。
さらに輸出ができたとしても…
日本酒造組合中央会の宇都宮仁理事。
輸送コストが上昇していてだいたい6倍くらい、便によっては10倍以上。
米国向けや欧州向けは小売価格がどうしても上昇してしまう。
アメリカ 新しい"蔵"計画に強力タッグ
一方、海外では新たな動きも。
おいしい。ほどよい甘さが良い。
シンプルだけど楽しめる。
とてもおいしい。
飲まれていたこちら、ニューヨークの蔵で造られたものです。ブルックリン・クラという酒造が手掛けています。
ブルックリン・クラのブライアン・ポーレンさん。
これが一番人気の純米大吟醸。軽くて初めての人にも飲みやすい。
原料にはカリフォルニア産の山田錦やニューヨーク州北部の山地の水などを使用。フルーティーでバランスの取れた味に仕上げるため麹つくりにもこだわるなどかなりの本格派です。
ブルックリン・クラの創業者の一人、ブライアン・ポーレンさん。高まる日本酒人気に対応するため新たな計画を立てていました。
これが新しい蔵の予定地。
現在の5~10倍の量を作れるようになる。
蔵の増設です。今後、日本から杜氏も迎え、年末には本格的な酒造りを始めたいといいますが、このプロジェクトには日本の酒メーカーのパートナーがいます。
それが八海山を展開する新潟の八海醸造です。去年12月、両社は業務提携を発表。
今後、日本酒をはじめ、ビールや蒸留酒、発酵食品など共同で開発していく計画です。
八海醸造との提携で規模を拡大して酒を造ることが可能になる。
やることはたくさんあるがとても楽しみだ。
八海醸造にとっても海外で生産・販売ができることは関税や輸送費などのコストがかからないだけでなく、地元客にアピールできる情報が多いといった輸出にはない魅力があるといいます。
八海醸造の笹川伸介海外営業課長。
酒がスタンダードな世界飲料にならないと市場や需要が増えていかない。
日本酒の市場のパイをどんどん大きくできるような一手になればいい。