台風4号は7月5日午前に長崎県に上陸し、九州などで非常に激しい雨が降りました。台風はその後温帯低気圧に変わりましたが、7月6日にかけて東日本へ進み太平洋側では大気の状態が不安定になる見込みです。
7月6日夕方までに降る雨の量は関東甲信地方で180ミリ、東海地方で150ミリ、近畿地方で100ミリなどと予想されています。
これから台風シーズンとなりますが、いま災害時の情報伝達ツールとして停電に強くネット環境も必要ないラジオを有効活用する動きが加速しています。自治体とラジオ局が連携した防災への取り組みを取材しました。
見直される防災ラジオの役割!
災害時自動切り替え機能とは
さいたま市にある時計メーカー「リズム」。主に鳩時計などの製造を手掛けています。
去年、新たに発売したこちらの目覚まし時計。いざという時に役立つ様々な機能が。
リズム
西坂一人さん
防災ラジオ。停電でも乾電池があれば稼働できる。
電池が切れても手回し充電などでラジオを聞くことができるほか、懐中電灯などの機能も備わっています。
さらにスマートフォンをつなげば連続して1時間通話できるほどの充電もできます。
実はこの企業、時計だけでなくこうした防災向けのラジオ製品の開発も得意としています。
特に需要が伸びているのが防災行政ラジオと呼ばれる製品です。普通のラジオとどのような違いがあるかというと…
試験放送
FMトランスミッターより緊急告知の割り込み試験放送を行っています。
リズム
西坂一人さん
普通にラジオを聞いていても自治体から緊急で割り込んで放送を聞ける。
ゲリラ豪雨や土砂災害警報など自治体が緊急情報を発信した場合、自動で緊急放送や防災無線に切り替わるのです。
住民への情報伝達ツールとして現在およそ280の自治体が導入しているといいます。
リズム
西坂一人さん
地震だけでなく風水害による革の氾濫や崖崩れなど災害があった地域を持つ自治体からの問い合わせは増加傾向にある。
2,000台無料配布の自治体も
防災行政ラジオの導入を決めた自治体の一つ千葉市。
千葉市 防災対策課
田中剛志課長
今年度は情報発信手段の一環としてこの防災ラジオを整備する。
防災行政ラジオを10月までに2,000台、自治体や児童施設を中心に無料で配る予定です。
その取り組みを行うきっかけとなったのが…
2019年、千葉県では2度の台風直撃と豪雨災害に見舞わられ、建物の倒壊や土砂崩れなど甚大な被害が出ました。
そして困難を極めたのが情報の入手です。
千葉市 防災対策課
田中剛志課長
大規模な停電だった。
停電にともなって通信障害も出て市民生活に大きな影響が出た。
千葉市では一時9万4,000軒余りが停電に。その停電の影響でおよそ17万の電話回線がつながらなくなる事態に。
さらにスピーカーから流す防災無線も雨の大きな音で聞こえにくくなったといいます。
そこで目をつけたのが防災行政ラジオです。
千葉市 防災対策課
田中剛志課長
テレビやパソコンは電源が必要。
ラジオは乾電池が入っていれば動く。
自治体とFM局 防災でタッグ!一般のラジでも選局すれば…
さらに地元企業と組んでラジオを使った新たな取り組みにも乗り出しています。
千葉市のコミュニティFM「SKY WAVE」。普段は音楽や地域の情報を発信しているラジオ局で24時間放送しています。
運営しているのは地元の物流会社「アクティブレイン」。5000万円をかけ2021年1月に開局しました。
千葉でコミュニティFMを運営
アクティブレイン
久保田耕司社長
今後起こりうる富士山噴火や直下型地震など何とか力になれないか。
今年3月には千葉市と協定を結び、緊急時に千葉市からの防災行政無線を割り込ませる仕組みを立ち上げました。
これによって家庭の一般的なラジオやカーラジオでもSKY WAVEを選局していれば千葉市からの情報を直接受けることが可能になりました。
例えば番組の途中でも…
千葉でコミュニティFMを運営
アクティブレイン
久保田耕司社長
この仕組みを生かしていくには聞いてもらわなくては。
有事の際には役に立ち、聞いてもらえる番組を作っていく。