カンブリア宮殿 ビジネス関連

[カンブリア宮殿] 世界の食を支える…なんでも「包む」魔法の機械!

2016年3月18日

世界の食を支える…なんでも「包む」魔法の機械!

株式会社明月堂

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福岡のお土産として大人気の「博多通りもん」。
その「博多通りもん」を製造販売しているのが株式会社明月堂です。

「博多通りもん」はクリームのような柔らかい白あんが特徴です。
生地も柔くて人間の手では包むことのできないお菓子です。

株式会社ロッテ

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ロッテの人気商品のひとつ「雪見だいふく」。
わたしも大好きです!大好きのさらに上に行くぐらい大好きです!

薄いお持ちの皮にアイス。
これも人間の手では包むことができません。

レオン自動機株式会社

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栃木県宇都宮市にあるレオン自動機株式会社。
創業53年、様々な食品製造機を開発・販売している会社です。

「博多通りもん」や「雪見だいふく」のような人間の手で包むことのできない商品を包めるようになったのはレオン自動機株式会社のおかげです。
レオン自動機株式会社が販売する包あん機「火星人」シリーズによって製造されています。

シェア率もスゴイです。
包あん機では国内で9割。海外でも4割近く、国内外で1万4,000社が導入しているそうです。

年商は230億円とすごい企業です。

火星人

火星人といっても、もちろん宇宙人ではありません。最近人気のウインナーでもありません。

人間が包めないようなものでも包める画期的な機械が火星人です。

その中でも特に画期的な技術が「シャッター」と呼ばれる、包んだものを切り離す技術です。

この火星人は生地と餡の割合を自由に変えることができます。
雪見だいふくのような薄い皮の生地も火星人のおかげで作れています。

価格は「火星人」CN580で約700万円。

さらにオプションを購入することで、皮と餡以外に食材を入れることもできます。「いちご大福」も作れます。
餡を包まないで切断することで、複雑な形のクッキーも作れます。

有限会社高林堂

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有限会社高林堂は明治18年創業の老舗和菓子屋さんです。

和菓子業界は職人の高齢化などの問題で職人が減少していて人手不足に陥っています。
饅頭を包むには熟練の経験が必要なのに…

そこで有限会社高林堂では「火星人」を3台購入しました。

その火星人で製造されているのがお店の看板商品「かりまん」です。
カリッと揚げた饅頭でとても美味しそうです!

1日8,000個の製造ができるそうです。

和氣康匡社長は言います。

熟練の職人がやらなくても、まんじゅう・大福・お菓子を作ることができる。

井村屋株式会社

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井村屋株式会社の人気商品「中華まん」も火星人をしようして製造しています。

火星人は包むだけでなく、オプションを使用してヒダをつける工程も行っています。
わたしの大好きなあんまんにはヒダがないのはなぜだろう?

田代康憲社長

常に新しいものを提案して、機械でお客様に認めてもらえる会社になる。

田代康憲社長が言うとおり日本だけでなく、世界中で認められている火星人。
中国では「月餅」、ロシアでは「ピロシキ」、イギリスでは「スコッチ・エッグ」など世界120の国・地域で使用されています。

食文化に貢献していく会社。今まで手作りしかなくて衰退していくものを機械化して守っていく。

企業理念

  • 世の中にない機械を独自お技術で開発し製造する
  • マーケットは全世界である
  • その系列にも属さない独立企業であり続ける

創業者の林虎彦さん

レオン自動機株式会社の創業者、林虎彦さんは1926年に台湾で5人兄弟の末っ子として生まれました。

幼い時に母親と姉が結核で亡くなりました。
林虎彦さん自身も中学3年生の時に肺と腸の結核にかかり何度も死の淵をさまよいました。

戦争で兄が亡くなり父親とは生き別れ、1946年に一人で日本に引き上げました。

全国を転々としながら1951年に金沢で和菓子職人として独立します。

和菓子作りは包む作業が多い、そこで林虎彦さんは考えました。

機械のように包むくらいなら、包む「機械」を作ってしまえばいい。

そこから林虎彦さんのまんじゅう製造機の開発が始まりました。

しかし、機械作りに没頭したあまり、和菓子屋が倒産…
夜逃げ同然で栃木県の鬼怒川に移り住みました。

そこで林虎彦さんが作ったのが鬼怒川温泉の銘菓「きぬの清流」。

[blogcard url="http://www.torahiko.co.jp/"]

この売上で開発資金を作り、1956年からまんじゅう製造機の開発を再開します。

鬼怒川から東京の国会図書館に通い流動学を独学で学びます。
流動学は英語で「レオロジー(rheology)」、これがレオン自動機株式会社の社名になっていきます。

工場の脇に小屋を作り、そこで寝泊まりしながら制作したのが1963年に完成した世界初の包あん機。

菓子業界の革命と呼ばれた商品の完成です。

株式会社宮本屋

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店頭には世界初の包あん機105型(1968年製)が飾られ、火星人で使用されているシャッターが使われる前の円盤方式の包あん機が現役で活躍している和菓子屋さんです。

すごいまんじゅうができた。「機械で作ったほうがきれい」というお客様の声もあった。

会長の工藤忠さんは当時を思い出して言います。

林虎彦名誉会長の愛弟子

田代康憲社長は創業者の林虎彦名誉会長の愛弟子です。
開発者魂を林虎彦名誉会長から叩き込まれた田代康憲社長。

田代康憲社長が当時考えたものが火星人の最大の特徴のシャッター方式。

ある程度カタチになるまではと林虎彦名誉会長に秘密にして開発を進めたシャッター方式でした。
しかし、林虎彦名誉会長に見つかると「2ヶ月で製品化しろ」と言われます。

そして出来たものが1987年の発売された火星人の第一号に使用されました。

このシャッター方式の包あん機によって誕生したハンバーグがあります。

株式会社すかいらーく

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株式会社すかいらーくが運営する「ガスト」。

そのガストの人気メニュー「チーズ in ハンバーグ」は火星人の完成によって誕生したメニューです。

師弟が作り出した機械

林虎彦名誉会長と田代康憲社長が共同で開発した機械があります。
それがクロワッサン製造機です。

アメリカのノースカロライナ州にあるレオン自動機株式会社の子会社では機械ではなくパンのクロワッサンを製造しています。
1日に150万個のクロワッサンを製造して全米に供給しています。

アメリカではクロワッサンは高級なイメージがありましたが、機械で製造することでコストを削減し、手軽に購入できるようにしたのです。

世界の食文化を変えた機械です。

海外からの視察

年間に200組ほどの海外からの視察があるレオン自動機株式会社。
購入の意思が決まっていなくても、そのお客様に合わせて機械の改良を行っています。

お客様からの要望だけでなく、レオン自動機株式会社からの提案もすることで互いに信頼関係を築いています。

和洋菓子講習会

月に1度、レオン自動機株式会社の本社で行われる和洋菓子講習会。

火星人を使用したお菓子の製造方法などをレオン自動機株式会社が各メーカーや職人にアドバイスをして火星人の活用の幅を広げています。

基本的なレシピをレオン自動機株式会社が提供することで、各メーカーや職人がそこから独自の味付けをして新商品として販売ができるようにしています。
また、火星人に使用するオプションなどの説明をすることで、火星人を購入後のお客様に新商品をアプローチできます。

機械をフル稼働できるように提案しながら味などはお店ごとに考えてもらい商品にしていったもらう。レオン自動機株式会社とのつながりを持ってもらい長い付き合いをしていいく。

世界の「食文化」を変える企業

「食」を豊かにすることは「文化」も「経済」も豊かになること。

創業者の精神というものをしっかりと伝えていかないと永続していかない。時代に合わせたものにしながら創業者の精神はずっと伝えていきたい。

編集後記

餡を皮で包んで饅頭を作る、素朴で家庭的なイメージがある。だが、その自動化の過程には、一人の天才のすさまじいドラマがあった。
創業者の林虎彦氏、画家か哲学者のような風貌。人間が遭遇するであろうありとあらゆる不幸を乗り越え、高度な学問を独学で習得した。
おかげで、わたしたちは「雪見だいふく」を食べることができる。
田代さんは、対照的に田代さんは対照的に温和な方だったが「考え抜く」という態度は継承されている。
レオン自動機株式会社は日本が世界に対し、真に誇るべき企業である。

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