人材派遣事業者が退職勧奨
安倍政権は成長戦略の一環として労働力のシフトを促そうとしています。
しかし、それによって問題も発生しています。
労働力のシフトには企業のリストラが必要になります。
2016年3月17日、厚生労働省と労働組合の会議が開かれていました。
その会議では人材派遣事業者などによる転職支援の名を借りた退職勧奨事業について話し合われていました。
トータル8回の退職勧奨を受けた。ずっと耐えて基本は残ろうと考えていたのですが…
こう話すのは大手レコード会社の株式会社ワーナーミュージック・ジャパンに勤めていたAさんです。
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Aさんは去年の7月に自分が所属する部署がなくなることを理由に転職支援制度への応募をすすめられました。
それに応じなかったAさんに会社側は出向をすすめました。
出向先は清掃会社かもしれないとか給与が20~30%減るとか恫喝的なことを言われて…
現在の職種とあまりにもかけ離れた職種だったため会社に残ろうと考えたAさんでした。
しかし、その後も8回の面談が行われ、ある書類が渡されました。
そこには人材会社の「テンプスタッフキャリアコンサルティング株式会社」の文字が書かれていました。
さらに書類には退職予定日を記載する欄もあります。
[blogcard url="http://www.tempcc.co.jp/"]
退職に意思がないAさんは反発します。
数日後、Aさんは別の書類を渡されます。
個人情報開示許諾書と表題をされた書類です。
人事部長が言ったことなのでしょうがないと思ったが、「再就職支援申込書」と書かれていた。この書類は再就職支援の申し込みではないかと
個人情報開示許諾書として渡された書類でしたが、文面には「再就職支援申込書」と書かれていたのです。
Aさんが株式会社ワーナーミュージック・ジャパンに指摘をするとテンプスタッフキャリアコンサルティング株式会社が間違って作成したと弁明したそうです。
Aさんは今後も会社と戦っていく姿勢です。
東京管理職ユニオン
労働組合の東京管理職ユニオンの鈴木剛執行委員長は
テンプスタッフキャリアコンサルティング株式会社などの人材会社が「労働移動支援助成金」を目的で退職勧奨に関与している可能性が非常に高い。
と言います。
労働移動支援助成金
労働移動支援助成金は雇用保険が財源となった再就職を支援するための奨励金です。
安倍政権の成長戦略、雇用改革制度のひとつで失業しても、すぐに再就職できるように支援するための政策です。
その仕組みは企業がリストラなどで労働者の削減をする場合、再就職支援を人材会社に委託します。
国は再就職が決まった場合1人当たり最大60万円、決まらなかった場合も10万円を企業に助成金として支払われます。
企業はその助成金を利用して再就職支援を人材会社に委託しています。
ところが、人材会社が企業に対してリストラなどのアドバイスなどをしてリストラを促している可能性が出てきています。
リストラを提案した資料
テンプスタッフキャリアコンサルティング株式会社が作成した「リストラを提案した資料」。
表紙には「貴社人員適正化施策実施のご提案 リストアップ方式による戦力入れ替えのお勧め」と書かれています。
中身には「再就職支援給付金などの公的助成金受給指導」などが書かれています。
さらに「非戦力社員チェックリスト」など退職勧奨の社員のリストアップの方法が書かれています。
過去3年から5年の人事・勤務評価が低い。今後のポジションを用意できる可能性が低い社員(バブル入社社員など)。
資料の最後にはテンプスタッフキャリアコンサルティング株式会社の顧客企業がリストアップした人数のうち退職に同意した人数が書かれています。
大手化学企業50名中44名、大手小売業40名中34名など。
テンプスタッフキャリアコンサルティング株式会社の親会社テンプホールディングス株式会社は
特定の企業との契約に関しては答えられない。退職勧奨の情報提供の中で誤解を招く表現があったことは認識している。
と説明しています。
また株式会社ワーナーミュージック・ジャパンは
早期退職はテンプスタッフキャリアコンサルティング株式会社の提案を受けて実施したのではない。
と説明。
Aさんと8回も面談をしたことについては
退職拒否が未確定な段階での面談。違法な退職勧奨ではない。今回の早期退職に関して労働移動支援助成金の受給・申請をしていない。
と説明しています。
厚生労働合同部門会
民主党と維新の党が開いた厚生労働合同部門会では、
国策リストラ、この責任はしっかりと厚生省に取ってもらわないといけない。
と民主党の山井和則議員は言います。
また維新の党の初鹿明博議員は
労働移動支援助成金を人材派遣会社が悪用し業界全体が悪用していた。
と伝えていました。
出席した議員は「労働移動支援助成金」がリストラを誘発する可能性が高い、制度の撤廃を求めるべきとの意見も出ています。
厚生労働省は今後詳しく実体を調査して4月からは助成金の支給要件を厳しくする方針を示しました。
リストラを受けた企業からの退職勧奨があったか確認する。強要があったという受け止めがあれば、その時点で助成金の対象にはしない。
厚生労働省職業安定局労働移動支援室の伊達浩二室長の言葉です。
助成制度は次々と乱用されている。大手を含めすべてが違法例かは分からないがリストラや希望退職者募集が行われる場合、人材支援会社が関係していないことは少ない。具体的にどこで何が行われているかは極秘のため外部に出にくい。
旬報法律事務所の新村響子弁護士は言います。
さらに支給要件を厳格化しても問題を解決することは難しいと言います。
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