10月24日、外国為替市場では円が一気に4円近く急騰するなどドル円相場の乱高下が続きました。政府・日銀が再び為替介入に踏み切ったとの観測が強まっています。
ドル円が乱高下 高まる介入観測
田中瞳キャスター
ドル円相場はきょうも激しい値動きとなっています。
今朝、150円台に迫ったところで一気に4円ほど円高方向に進みました。まさに乱高下しています。
10月24日午前8時半過ぎには149円台後半まで値下がりした円相場。しかし、わずか10分ほどで145円台まで一気に円高に進む場面がありました。
この急激な円高の進行、市場が疑ったのは政府・日銀による為替介入です。
記者
覆面介入を実施したとの情報が?
鈴木財務大臣
コメントしない。
記者
その方が効果的との判断か?
鈴木財務大臣
今、私どもは市場を通じて投機筋と厳しく対峙している状況だから。
そういうことを考えてコメントしない。
介入したかどうかの明言を避けました。
ただこの動きは10月24日にだけではありません。10月21日のWBSの放送中にも…
田中瞳キャスター
一時1ドル152円に近づいたが1ドル149円台と大きく動いている。
佐々木明子キャスター
かなり為替が動いている。148円台まで戻しているから、ここまで動くと介入観測が出てきそうな水準。
その後もドルが売られる動きが強まり、一時1ドル146円台、数時間で6円近く急激に円高が進んだのです。
注文5倍!激しい値動きに翻弄も
荒い値動きに為替の取引を手掛ける現場はどうなっていたのか、りそな銀行では…
りそな銀行
市場トレーディング室
田中春菜さん
きょうは営業開始の午前8時からお客様からの発注電話が鳴りやまなかった。
特に9時前、145円台にさしかかった時、より一層お客様の取引の発注での電話が増えた。
円高のうちにドルを調達したいという注文が殺到。電話は正午ごろまで鳴りやまなかったといいます。
海外から商品を輸入してドルで支払いをする企業にとっては安くドルを仕入れる貴重なチャンスだったからです。
青い紙「為替予約受付票」はお客さんからの注文表です。10月24日に受けた注文はおよそ1,500件。21日の金曜日に比べて5倍に増えました。
りそな銀行
市場トレーディング室
田中春菜さん
ようやくチャンスが来たと言っているお客様が多い。
ここを逃したら買い場がなくなるのではということで。
いま為替予約を取りたいというお客様が多かった。
こうした状況に専門家は…
みずほ銀行
チーフマーケット・エコノミスト
唐鎌大輔さん
一瞬でも円高になった時に安くドルを調達する企業がいれば、そこには意味があった。
一方、激しすぎる円相場の乱高下に疲弊する現場も…
貿易の仲介業を行う都内のベンチャー企業「スタンデージ」。急激な値動きに戸惑っているといいます。
スタンデージ
足立彰紀社長
多少円高に振れたとしても方針を一気に変える判断はなかなかできない。
スピード感への戸惑いというか、そういったところがある。
9月22日に政府・日銀が行った1回目の介入。介入前は146円目前だった円相場は一時140円台をつけ、その後介入前の水準に戻るまで3週間かかりました。
しかし10月24日の介入と見られる値動きでは149円代後半から145円台まで円高が進んだものの、わずか2時間ほどで149円台に戻りました。
この企業は一時的に円高になっても再び円安になるのではと考え、即座に動けないといいます。
介入の目的について円相場の過度な値動きの抑制を掲げる政府。ただ、市場関係者からは…
市場関係者
覆面介入をするなら少しずつ投機筋の動きを抑えればいいのに、派手にやって相場の変動を大きくし、マーケットを逆に不安定にさせている。
うまい介入ではない。
今後の展開について専門家は…
みずほ銀行
チーフマーケット・エコノミスト
唐鎌大輔さん
年内は150円から155円が主戦場。年末まで。
アメリカの利上げの終わりが見える議論が盛り上がる年明け1月と3月でムードが変わっていくのでは。