世界的に株価が上昇し続ける現在の状況は果たしてバブルではないのか?
2008年の金融危機を予言した数少ない専門家として知られるインド準備銀行の前の総裁、ラグラム・ラジャン氏に2018年の世界経済のリスクを聞きました。
ラグラム・ラジャン氏
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人呼んで「インドのカリスマ」、現在はシカゴ大学で教鞭を振るラジャン氏は危機の預言者として今も注目を浴びる存在です。
ラジャン氏はリーマンショックの引き金となったサブプライムローンの危険性にいち早く目を付け2005年に金融危機を予言。その通りの結果となりました。
そのラジャン氏は今、世界経済や市場の動きについてどう見ているのでしょうか?
近い将来に危機が起こるような「逆風」を感じ取ることはできない。世界経済は堅調に成長を続けている。ただ物価のリスクは念頭におくべきだ。賃金の伸びが鈍いことで物価の上昇が急激だと感じ「中銀が後手に」との見方が広がれば資産価格が大きく変動する事態に陥る。
ビットコイン
一方、ラジャン氏はビットコインの動きに警戒しています。
今年の始め、1ビットコインが12万円ほどだったビットコイン相場は約9倍まで急騰。マネーゲームの様相を呈しています。
ビットコインは1つの通貨としてどのくらいの取引が行えるのか。通貨として本当の価値がどの程度あるものなのか。その部分をよく考えず相場の上昇が値上がりへの期待によるものなら通貨として価値があるとはいえない。
「他人が買うから買う」のであればそれはバブルだ。
市川眞一さん
危機の預言者とも呼ばれるラジャン氏はビットコインには警戒感を示していました。
「通貨としての価値があるとはいえない。」ということです。
クレディ・スイス証券のチーフ・マーケット・ストラテジストの市川眞一さんは、
リーマンショックは全く予想できませんでしたが、ビットコインに関してはラジャン氏と考え方が同じ。通貨として考えるとハードルが高い。
2つ問題がある。
ひとつはもともと国際送金をするための手段としてビットコインが使われ始めた。送金手数料が安いから。今のように価格変動が大きいと送金した時に実は大きな損をしている可能性がある。すると決済性の通貨としてなかなか使えない。
もうひとつ根源的な問題はラジャン氏の話の中でもありましたが、本当の価値が何なのか分析することが不可能。紙幣も分析することは難しい、紙幣そのものに価値はない。そこは政府や中央銀行の信用力によって担保している。ビットコインにはそれがない。そうすると何が価値の基準になっているか分からない。
ビットコインを通貨として今後流通させていくには何かが足りない。それは信用力の前提となる何か、それは国家権力かも知れない。
ブロックチェーンというテクノロジー自体はフィンテックの中心として今後も応用範囲は広がると思うが、その中でビットコインがどうなるかはまだかなり不透明。