ビジネス関連

[WBS] 急成長の人気チョコレート店!知られざる作り手たち…

2017年5月10日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

百貨店などで人気のチョコレート専門店のチョコレート。3年前に立ち上がったばかりのブランドですが、このチョコレートにはある思いが込められていました。

久遠チョコレート

[blogcard url="http://quon-choco.com/home/"]

京都マルイ。この日、話題のショップを集めたフードコーナーがオープンしました。

その中のひとつ久遠チョコレート。初日からたくさんの人だかりです。素材や製法にこだわった本格的な味わいが話題を呼び今回が百貨店初出店です。

お客様は、

雑誌にもよく載っている。

香りがふわーっときて、溶け方はふわーっと溶ける。

看板商品がテリーヌ。カカオ100%のコロンビア産チョコレートにドライフルーツやナッツが入っています。

「久遠 京テリーヌ あられ道明寺抹茶」は宇治の老舗店の抹茶を入れたチョコレートにおかきを混ぜたもの。厳選された素材をふんだんに盛り込んだオリジナルの商品が人気です。

久遠チョコレート豊橋本店

愛知県豊橋市、久遠チョコレートの本店は商店街の一画にあります。

本店もいつも女性客でいっぱい。わざわざ遠くから会に来るお客様も少なくありません。

厨房を覗くと真剣な表情でチョコレートを作っているのはさまざまな障害がある人たち。

発達障害のある立林卓さん。看板商品のテリーヌの製造を任されています。

作っている時が楽しい。

久遠チョコレート豊橋本店で働く15人中、6人が障害者なのです。

「障害者を雇用していることについて」

知らなかった。完璧なプロフェッショナルな感じ。

この店舗を運営する一般社団法人ラ・バルカグループの夏目浩次代表理事は、

どうしたらお客様が買って喜んでくれるか考える。福祉であるかは関係ない。

14年前から障害者雇用に取り組む中である課題に気付きました。

いろんな障害のある人が働く場をつくりたい。低工賃、低所得の問題を解決したい。

多くの障害者は企業に雇用されるのではなく、就労支援として事業所などで作業を行っています。そして作業時間や出来高に応じた工賃が支払われますが1ヶ月の収入は全国平均でわずか1万5,000円ほど。

さらに多くの事業所では利益が少なく国からでる助成金などを工賃にあてることも多いといいます。

夏目さんが運営するこの店舗では障害者の月収は平均で15万円。就労支援という形ではなく正社員として直接雇用しています。

国の助成金や日本財団からの寄付金は店の運営費にあて、給与は商品を売った利益から出しています。

利益が出せる理由

なぜこの店では利益が出せるのか?

実はチョコレート作りは障害者に向いているといいます。

チョコレートは人に時間を合わせてくれる。単純作業の繰り返しだが生まれてくるものは高単価で利益率が高い。

夏目さんが障害者の雇用のため最初に立ち上げた事業はパン工房でした。

今も続いているそのパン工房を訪ねました。

社会福祉法人 豊生ら・ばる

早い人は毎朝4時出勤。力作業だけでなく手先を使う作業も多くかなりの重労働です。

働き始めて3年の山本達也さんは、

集中しながらやらないとやけどや失敗、間違えることもよくある。

障害の程度によってはパン作りが難しい人も少なくないといいます。

パンが全てダメというわけではないが、作業の流れにどうしても乗れない人がたくさんいるのがパンの難しいところ。

この工房の場合、パンはひとつ作るのに4時間近くかかりますが、売値は100円台、粗利益は52%。

一方のチョコレートは例えば人気商品のテリーヌは1枚200円、1人が40分で200枚も作ることが可能だといいます。粗利益は75%以上。

短時間で売値が高いものが作れるのが大きなメリットです。

野口和男さん

この日、久遠チョコレートにやって来た男性。大手菓子メーカーや一流ホテルなどの監修も手掛けるショコラティエ、野口和男さんです。

夏目さんの依頼で久遠チョコレートの商品開発や原料の調達、製菓指導などを行っています。

チョコレートは仕組みをきちんとすれば温度的にも優しい作業。そんなに緊張を強いられる作業がない。

この日作っていたのは丸型のチョコレート。少し形が崩れてしまいましたが失敗しても大丈夫、溶かせばもう一度やり直しができます。

チョコレートを作るときに最も大事な温度調整は誰でも簡単にできるようにドライヤーなどを活用。

パンのような大掛かりな設備投資も必要ないのでコストが抑えられる上に作業上の危険も少ないといいます。

この日は野口さんが商品作りの指導を行います。

上のチョコが垂れたら下のチョコで引っ張るイメージ。

形が違うドライフルーツにチョコレートを半分だけ付けます。この作業を覚えればチョコの種類やフルーツを変えて商品のバリエーションを増やすことが可能。

障害者たちが働きやすい商品作りの仕組みを考えています。

夏目さんは、

柱となるカテゴリーを決めたら、色んな国のチョコレートや地域の食材を使ってバリエーションを増やす。そうしてブランドとしての価値を出す。

久遠チョコレート名古屋藤巻店

こうした久遠チョコレートのノウハウを活用した新たな店舗も。

オープンを間近に控えた久遠チョコレート名古屋藤巻店。その2階には障害のある子供たちの保育所がありました。

お母さんたちが障害のある子供を預けて働ける店舗なのです。

将来大きくなった子供たちがここで働くことになるかもしれません。

日本初の多様な人たちが働くチョコレートメーカーをつくりたい。

-ビジネス関連
-