ガイアの夜明け ビジネス関連

[ガイアの夜明け] どう伝える?「我が社」の魅力(1)

2016年7月20日

どう伝える?「我が社」の魅力

やきとり竜鳳

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栃木県宇都宮市にあるスーパー「かましん」。

店頭に1軒の屋台が出ていました。

やきとり竜鳳。

移動販売式の屋台を全国に展開するやきとりのチェーン店です。

やきとり竜鳳の自慢は特製のタレ。じっくりと焼き上げると

匂い。魅力的ですよね。

スーパーに買いにきた時に香りに誘われて。

屋台だからこそ伝わる匂い。これが人気を支えてきました。

そこに1人の女性がやって来ました。匹田愛さん(29歳)。

お客様にしては真剣な顔つき。

「みりん」っぽいような。「ニンニク」を強めに押し出していくのがいいかな。

しきりに匂いのことを気にしています。一体何者なのか?

匹田愛さんの職場を訪ねてみると研究室のような場所で仕事をしていました。

ここでも匂いを嗅いでいます。

かなり甘い味付けの「タレ」と「ニンニク」の香りが特徴的だったので。

実は匹田愛さんは匂いを作り出す調香師。やきとり竜鳳の匂いを再現しようとしていました。

その理由は冷凍食品。売上アップのため匂いを活用したいとやきとり竜鳳から依頼がありました。

匹田愛さんが慎重に調合しているのが香料。様々な匂いがする液体です。

匹田愛さんが準備した甘いタレの匂いがする香料、そこにやきとり竜鳳の特徴であるニンニクの匂いを組み合わせました。さらに、

ジャガイモのようなうまみを感じたので「肉じゃが」の香りをプラスする。隠し味というか。

匹田愛さんは肉じゃがの香料を加え、屋台で嗅いだ匂いに近づけていくようです。

嗅いだ時のインスピレーションで使う材料を決める。先入観を持たずに香りを嗅ぐのが大事。

株式会社やまや

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宇都宮市内の酒屋「酒のやまや」。

店内には酒の肴にと冷凍やきとりも販売されていました。

ここに何やら機械が持ち込まれました。それを売り場にセットします。

オーケーですね。

すると、

焼き鳥?

匂いに誘われ親子連れが思わず冷凍の焼き鳥を手に取りました。

男性客も、匂いに釣られお買い上げ。

匂い嗅いだら食べたくなった。

匹田愛さんが作った匂いが次々とお客様を引き寄せます。

プロモツール株式会社

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プロモツール株式会社は匂いを作り出す会社。2002年に創業し、社員は10人。

様々な企業から以来を受け、匂いを活用する場を広げてきました。

これまでに生み出してきた匂いは500種類以上に上ります。

TOHOシネマズ

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TOHOシネマズ柏にも匹田愛さんが手掛けて匂いがあります。

映画館に導入されている特殊な座席。振動や水しぶき、風などの演出のほかに匂いを出すことも出来ます。

この仕掛けを使っているホラー映画「貞子VS伽椰子」。例えば少年が呪いの家に入っていくというシーン。この時、観客が思わず鼻に手をやりました。

古い家の臭いがして、映画の中に入っているような気分になった。

古い家の匂い。実はゴボウといった土の匂いがする香料から作られています。

そして今、不思議な依頼が匹田愛さんの元に…

匂いで魅力を伝える、その挑戦を追いました。

滋賀県立琵琶湖博物館

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5月18日、琵琶湖を望む滋賀県草津市。

調香師、匹田愛さんの元に新たな依頼が舞い込んでいました。

滋賀県立琵琶湖博物館。

この夏に向け、大規模なリニューアルを計画していました。

そこで展示に新しい仕掛けを作りたいと匹田愛さんが呼ばれたのです。

滋賀県立琵琶湖博物館の藤村俊樹さんは、

「体感」ということで「匂い展示」という新しいかたちの展示をやっていきたい。

匂いを展示する。博物館側はこれをリニューアルの目玉にと考えていました。

再現したい匂いは3つあるといいます。

ヨシの匂い

最初に連れて行かれたのは湖畔へと続く道でした。

これが「ヨシ」です。

ヨシは水辺や湿地に自生しています。4メートルほどにまで成長する琵琶湖の代表的な植物。これを館内に再現します。

早速嗅いでみると、

結構匂いがしますね。フルーツみたいな匂いがする、キュウリというか、スイカの白い部分というか。

カワウの森の匂い

次に匹田愛さんが連れて行かれたのがチョット不気味な場所。

すごい、黒と白。

「ゴワゴワ」というのはカワウの声。

カワウは琵琶湖周辺に約8,000羽生息している鳥です。

カワウの住む森の匂いを再現して欲しいというのです。

そこは竹が鬱蒼と生い茂る独特な雰囲気な空間でした。

匹田愛さん、どんどん奥へと進んでいきます。

匂いがきましたね。結構生臭いですね。刺身が並んでいる冷蔵庫から漂っているような。

確かにその感じの臭いはありますね。

この森の匂いの再現にこだわっているのが動物生態学の学芸員、亀田佳代子さん。

ここら辺にフンが落ちているので、フンの臭いが。

生臭い匂いの正体はカワウが出した白いフン。辺り一面びっしりと付いています。

カワウの主なエサは川魚。琵琶湖はその宝庫です。

この森は長年、100羽ほどのカワウの住処となっていました。

早速、匹田愛さん、フンが付いているあらゆる部分を嗅いでいきます。

結構フンが付いちゃって私も。普通の鳥のフンとは全然違う。魚の生臭いにおいがすごくする。

魚を食べて水の中の栄養分を陸上に運んできて養分を落とすという役割もある。「普通の森と違うけど、ここは何だろう」というのを表現したい。

亀田佳代子さん、匂いの展示を通じてカワウの生態にも興味を持って欲しいと考えているようです。

鮒寿司の匂い

博物館に戻った匹田愛さんに学芸員から3つ目の要望が。

発酵臭が強い、チーズのような。

滋賀県の郷土料理「鮒寿司」。琵琶湖で獲れたフナを塩やご飯などに長期間漬けて発酵させた食品。地元では酒のつまみやお茶漬けの具として古くから食べられてきました。

その独特な匂いから臭い食べ物としても知られています。

「意外にいける」という人もいれば、ダメな人はダメなので、におって「うわっ」というのもインパクトとしてはありかなと。体験して帰りに買ってみようかなとか。

プロモツール株式会社

5月24日、東京・文京区のプロモツール株式会社。

匹田愛さんは滋賀県立琵琶湖博物館から依頼された匂い作りに取り掛かっていました。

今から「カワウのフン」の香りを作ります。

カワウのフンの匂いを再現するため、まず選んだのは

花に使ったりするものだけど、動物の排泄物っぽい臭いがする。

「Phenyl Methyl Phenyl Acetate」はバラなど花の香水を作ったりするときにも使用する香料です。アンモニアのような匂いがします。

さらにメロンの匂いがする「Melonal」という香料や木材の香りがする「Wood Oil」を加えました。

続いて匹田愛さんが慎重に嗅いでいるのは鮒寿司。

しょっぱい、酸っぱい。

組み合わせる香料を社内にある約3,000種類から選びます。まず手にとったのがチーズ。

チーズです。発酵した感じが。

そして、こんな香料も。「納豆」。

匂いを作っては嗅ぎ、また嗅ぎ、試行錯誤を続けます。

滋賀県立琵琶湖博物館

3日後、滋賀県立琵琶湖博物館。

学芸員の元に匹田愛さんが作った匂いの試作品が届きました。

届きましたね。

各分野の学芸員が集まってチェックしていきます。

まずはヨシの匂い。

ほんまや、確かに。

ヨシっぽい。

キュウリやスイカの匂いを組み合わせて作りました。一発で合格。

次はカワウの森。

「生臭」系の香りかな。

港のそばでゴミが痛んだみたいな。

インパクトは「ザ・フンの匂い。」

カワウの森の匂いも、どうやら再現できたようです。

最後に鮒寿司。

違う。

何だこれ。

酸味がもう少し足りない。

鮒寿司独特の発酵した酸味、それが足りないという意見が続出しました。

すぐに匹田愛さんに連絡が、

もうちょっと酸味が効いていた方がいい?

自信を持って作った匂いにまさかのダメ出しが…

私は鮒寿司の「フナ」の部分を表現しないと全く何の香りか分からないと思う。

鮒寿司の匂いは一から作り直すことになりました。

私が食べて嗅いだ「鮒寿司」の感覚と、学芸員は今まで何十回も食べているので、その感覚の違いなのかな。

匹田愛さん

仕事帰り、向かったのは会社近くのコーヒーショップ。

ブレンドコーヒーをください。

匹田愛さん、大のコーヒー好きですが、香りが強すぎるため仕事中は飲まないそうです。

1日に区切りをつけるための一杯です。

自分としてうまいサンプルが出せなかった時とかは、結構気分が落ち込むので、ここで考える。

何か策はあるのか?

6月1日、匹田愛さん、意を決して冷蔵庫からある香料を取り出しました。

覚悟して下さい。めっちゃ臭い。髪の毛とかに付いちゃいますよ。

「危険」と書かれたこの香料は「酪酸」と呼ばれるもの。酸の匂いを強烈に放つそうです。

これをそのまま入れてもいいかなと。

思わず表情も崩れる匂いです。

酪酸を入れたことが吉と出るか、凶と出るか?

滋賀県立琵琶湖博物館

7月14日、滋賀県立琵琶湖博物館。リニューアルオープンを迎えました。

この日を待ちわびていた人たちが、一新された館内は琵琶湖の生態系をまるごと体験できる作りになっています。

その中にあの「ヨシ」の展示があります。

ヨシの間を通り抜けていくと、その先にあったのは臭いが入った装置。

さっそく嗅ぎに来たお客様が…

本当だ。面白い、「琵琶湖らしい」って思う。

そしてさらに奥に進むと、剥製のカワウがお出迎え。

カワウの森が再現されていました。白いフンも再現されていました。

森の匂い、どう?

くさっ!

初めて嗅ぐカワウのフンの匂い。子供は興味津々です。

この鳥の匂いがするんだって。こんなのを食べているから臭くなるんだ。

この親子は匂いの展示をきっかけにカワウに興味を持ったようです。

そしてフナが泳ぐ水槽の先には魚屋をイメージした展示があります。

琵琶湖で獲れる特産物をレプリカで紹介しています。

そこに東京から匹田愛さんが駆けつけてきました。

このコーナーの目玉が鮒寿司の匂い。匹田愛さんが苦労して調合した匂いです。

お客様の反応は

やっぱし鮒寿司の匂い。鮒寿司、大好き。

鮒寿司に馴染みのある人たちも納得する匂いに仕上がっているようです。

本物の匂い!

その後も次々とお客様が引き寄せられてきます。脳を直接、刺激する匂いの展示。その効果は絶大なようです。

学芸員の金尾滋史さんは

博物館の展示も進化しなければ、今日がゴールではなくてスタート。その中で匹田さんの力を借りないといけない時も出てくると思う。

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