大浜見聞録です。
今回は「ポイ捨てごみ」がテーマです。このごみ対策は自治体だけでなく企業にとっても実は大切な課題になりつつありますが、そのポイ捨てされたごみを効果的に活用しようという動きが広がり始めています。
ポイ捨てごみをビジネスに!SNSを企業が活用
東京・港区。街の中でごみ拾いをしているのは…
日本たばこ産業
山下由貴さん
日本たばこ産業(JT)東京支社のメンバー。
JT(日本たばこ産業)ではたばこのポイ捨て対策の一環として2004年から「ひろえば街が好きになる運動」を開始。全国各地でごみ拾い活動を続けています。
この日、拾ったのは空き缶や吸い殻などおよそ30分で10袋。
しかし、最近ではごみを拾うだけでは終わらないんです。
日本たばこ産業
山下由貴さん
ごみ袋の数と参加人数、拾った場所などを登録している。
実はこれ、無料で使えるスマホアプリの「ピリカ」。ごみ拾いをした記録を投稿し合うSNSです。
大浜平太郎キャスター
吸い殻が落ちてますね。
まずはごみ拾いから。
早速、投稿してみると
大浜平太郎キャスター
私、モーサテの名前で投稿しましたが、ちゃんと反映されていますね。
「ありがとう」って誰かが打ってくれている。これは意外と嬉しいですね。
いいねの代わりにもらえるのは「ありがとう」。140文字以内でコメントも書き込めます。
日本たばこ産業
山下由貴さん
知らない人から突然「ありがとう」のコメントが届く。
やってよかった。
無料のアプリに手応えを感じたJTは去年11月から有料サービスを始めました。ピリカ有料版の利用料金は初年度80万円から。
有料版の最大の特徴はごみ拾いの見える化です。
日本たばこ産業 渉外企画室
藤木大三郎さん
京都駅の南側で清掃活動した実績。
JTが全国の支社で取り組んでいるごみ拾い活動がデータ化され、専用のウェブページにまとめられています。
大浜平太郎キャスター
社員が3人で参加団体が15って書いていますが、参加団体とは?
日本たばこ産業 渉外企画室
藤木大三郎さん
商店街や行政、地元NPO。一緒に清掃活動した情報を記載。
ほかの支社の活動を意識することで競争意識も生まれ、ごみ拾いの輪を広げるモチベーションにもつながっているといいます。
ポイ捨てごみのデータ化!企業・自治体が注目
このごみ拾いアプリを開発したのは東京・渋谷区にあるベンチャー企業「ピリカ」です。
2011年の提供開始以来、アプリは世界113ヵ国で利用され、これまでに2億4,000万個あまりのごみが拾われています。
ポイ捨てごみのデータを集める中でビジネスへの活用の可能性が見えてきたといいます。
ピリカ
小嶌不二夫社長
大手ビール会社の中で一番割合を占めている企業。売れているのにポイ捨てされない、売れていないのにポイ捨てされる。
パッケージの印象やデザインでポイ捨てされる可能性が5~10%変わる。
そこを今、企業と一緒に見つけ出そうとしている。
そこでピリカではポイ捨てごみを簡単にデータ化できるサービスを考案しました。ごみの分布調査サービス「タカノメ」です。
スマホで調査エリアを撮影すると画像内に写っているごみの種類や数を自動的に解析してくれるアプリです。
吸い殻や包装フィルムなどポイ捨てされているごみを32種類に分類し、どのエリアにどんなごみが落ちているのか把握できるサービスです。
大浜平太郎キャスター
種類まで分かるようになるとどんな情報提供ができるようになる?
ピリカ
小嶌不二夫社長
タバコのポイ捨てをへらすためにいろいろな手を打っている。
ごみ自体よりもタバコのポイ捨てが分かる方がリアルに効果が確認できる。
何が一番効果があるのかを見極めることができる。
ピリカではさらに効率的にポイ捨てごみを把握するためクルマにカメラを搭載して走りながらごみの様子を撮影する仕組みも作り上げました。
ここが今回の「へぇ~」ポイント。
自己負担してまで情報提供!
通信機能付きのカメラをクルマに搭載するためには1台あたり年間およそ10万円の費用がかかります。ベンチャー企業のピリカにとっては大きな負担です。
地方自治体などに協力要請をしていたところ、費用を負担してでも自社の車両にカメラを設置したいという企業が現れました。
ごみの回収業者などです。
ピリカ
小嶌不二夫社長
無い袖は振れないと話をしていたら負担してくれる企業が出始めた。
企業側にもメリットはある。
注目されやすいのでPRにつながる。
自治体との関係強化につながる。
JTではすでに集められたポイ捨てごみのデータを活用して自治体などに喫煙所の設置場所の提案をしています。
ピリカ
小嶌不二夫社長
中長期的にみて会社のレピテーション(評判)につながる。
吸う人・吸わない人が共存できる社会の実現につながる。
街中に捨てられたポイ捨てごみのデータが新たな価値を生み出し始めています。