日本の電気産業を取り上げるシリーズ「ニッポンの電機!再び翔べるか!」です。
3回目となる今回は2期連続の赤字で経営の危機にあるパイオニアです。
12月7日、香港のファンドの出資を受け入れることを発表し、来年上場を廃止する見通しとなりました。
80年の歴史を持つ企業に何が起きたのでしょうか?
パイオニア株式会社
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パイオニアの森谷浩一社長、
BPEA(ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア)の完全子会社になる。
香港の投資ファンド、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジアからおよそ1,000億円の出資を受け、上場を廃止し、完全小会社になると発表しました。
ベアリング・プライベート・エクイティ・アジアのジォーン・エリック・サラタCEOは、
組むことでパイオニアの経営・財務を再び健全にできる。
パイオニア再生プラン
ファンドの傘下入りを決め、打ち出したのがパイオニア再生プラン。
開発・生産体制の見直しのほか、全従業員のうちおよそ15%の人員削減などが盛り込まれました。
来年1月に開かれる臨時株主総会での承認を目指します。
なぜファンドの傘下に入る道を選んだのか?
世界初・業界初の新しい商品を出すのがDNA。
少しいろいろなことをやりすぎた。
パイオニアの転落
1990年、パイオニアは世界で初めてGPSを使った市販のカーナビを発売。
当時の伊藤周男社長は、
この事業なくては将来のパイオニアはない。地球の裏側まで突き進む。
1997年には世界初、50型の家庭用ハイビジョンプラズマテレビを発売。
まさに時代のパイオニア、先駆者としてその名を体現し、2004年には248億円の最終黒字となっていました。
しかし、プラズマテレビが液晶テレビとの価格競争で破れ転落が始まりました。
高い利益率を誇ったDJ機器や祖業の映像・音響機器を相次いで売却。
復活をかけた主力事業のカーナビはスマートフォンに押され車載機器事業も利益に結びつくまで時間がかかっています。
自動運転
パイオニアが置かれている状況は厳しく、変革が必要な局面。
会社の変革期と位置付けるいま、力を入れ始めているのが成長の見込める自動運転に関わる分野です。
こちらは開発中の3D-LiDARセンサー。
クルマに乗せて走行することで障害物との正確な距離や形状を光学技術で測定する機械です。
小会社のインクリメント・ピーが持つ地図データと合わせることで自動車の位置が正確に把握できるため、自動運転の精度が上がるとしています。
技術のポテンシャルは非常に高い。資金の集中先を変えていく必要がある。
ここに新たな商機を見出し出資を決めたベアリング。
パイオニアはもう一度時代を先駆けることができるのでしょうか?
生き残るためには必要な選択肢一つ一つ積み上げて成果を出していく。