1887年に創業したニューヨークの老舗ステーキハウス「ピーター・ルーガー」です。
肉を寝かせてうま味を引き出す熟成肉のステーキを世界中に広めたのがこの店といわれています。
その海外初の店舗が10月14日に東京・恵比寿にオープンします。
コロナで厳しい環境に置かれた外食業界。超大型ステーキ店のオープンまでの舞台裏を取材しました。
ピーター・ルーガー・ステーキハウス 東京
[blogcard url="https://peterluger.co.jp/"]
9月中旬、東京・恵比寿。
開店準備の仕上げが進むピーター・ルーガー。
トラックから次々に降ろされる箱の中身はアメリカ・イリノイ州から空輸された牛肉の塊。
この日届いたのは2.5トン。
ニューヨークの本家、ピーター・ルーガーが選び抜いた最上級のプライムビーフです。
ピーター・ルーガーではこの肉を4週間以上、湿度や温度を管理する特別な部屋で熟成させてからステーキにします。
レストランは3階建て。吹き抜けのダイニングに7つの個室。206席の超大型店です。
店を仕切るのは支配人の横溝慎一さん。
世の中の状況を考えると大きな店を開業してお客様が集まるか不安はある。
プレッシャーはある。
コロナの影響で企業の接待需要はしばらく見込めません。
そこで当初の計画にはなかったテイクアウトやデリバリーで店の売り上げを少しでも伸ばそうと横溝さんは考えていました。
ここは店の一角にある販売コーナー。
熟成肉を使用した持ち帰り用ハンバーガーやステーキ用の生肉などを販売する予定です。
自宅で大きな肉を焼いてみたいという需要もあると思う。
1割くらいの売り上げをつくれたら。
緊急事態宣言の最中、10月のオープンに向け予約は入るのか、不安を抱えつつ見てみると…
びっちり予約が埋まっている状況。
オープンから3ヵ月先まで予約が埋まったのです。
安心した。期待値の大きさを感じた。
9月下旬。
肉を寝かせ始めてからおよそ4週間。表面が黒ずんできました。熟成が進んだ証拠です。
熟成具合をチェックするためにこの日、試食してみることに。
900度まで上がるオーブンでじっくりと焼き上げます。
フィレとサーロインの両方が味わえるTボーンステーキ。2人前、2万2,000円。
切れ具合が違う。ナイフの入り具合がまったく違う。
すごく柔らかくなっている。
本場ニューヨークの味を再現できているのか…
ピーター・ルーガー・ステーキハウス東京の木部勝一郎総料理長。
だいぶ肉はうま味が出てきて柔らかくなっているけれど香りが足りない。もうちょっと寝かせましょう。
さらに熟成させることになりました。
ピーター・ルーガーの味を知るお客様をがっかりさせるわけにはいきません。
まだまだ数倍おいしくなる。
期待値を裏切らない商品を提供しようと思っている。
全国で緊急事態宣言が解除された10月1日。
この日は正式開業前のテスト営業の初日。お客様に初めてステーキを提供します。
今日からピーター・ルーガーの第一歩です。
かなり緊張感あると思うが今までやってきたことをしっかり出してお客様に喜んでもらえる体制をつくっていきましょう。
社員・アルバイト合わせて総勢130人のスタッフで巨大ステーキハウスを運営します。
初日のお客様はグループ企業の社員およそ90人。
キッチンでは次々に肉が焼かれていきます。
こちらは4人前、値段は4万4,000円。
ステーキを食べたお客様の反応は…
柔らかい。
ニューヨークのピーター・ルーガーに行ったことがある。遜色ない。
まずは順調な第一歩を踏み出しました。
コロナ下で迎える10月14日の正式開業から本当の勝負が始まります。
これだけ困難な状況で開業するのは二度とない。
やるしかないという覚悟はあるので、しっかりやり切りたい。