5月6日からテレビ東京では「テレ東SDGsウイークエンド」を開催しています。地球環境問題や人権の尊重などいま世界で直面するさまざまな社会問題の解決に向けた活動を発信します。WBSでは中古のパソコンの中身を新品に入れ替えたリサイクルパソコンを取り上げます。実は紛争などの理由から母国を逃れて日本に来た難民申請中の人の手で再生されています。環境と難民、この2つの課題解決に取り組む企業を取材しました。
環境&難民に優しいパソコン
横浜市にある企業「ピープルポート」。不要になったさまざまなメーカーのパソコンを回収し、再生しています。
ピープルポート
青山明弘社長

パソコンの再生はこちらでやっている。まずは中を開けて部品を入れ替える。
単に修理をしているのではありません。

元は「2GB」。
「4GB」を入れる。
心臓部の部品を新しい部品に入れ替えています。
ピープルポート
青山明弘社長

これが再生が完了した「ZERO PC」。
電源をつけたらすぐに使える状態。
再生したパソコンは「ZERO PC」のブランドでインターネットなどで販売。価格は新品の半額以下です。
本体には多少、傷や使用した跡がありますが最新の部品に変えているため動作には問題がありません。
去年はおよそ1,700台、1億円を売り上げました。
パソコン1台を製造する際、およそ300kgのCO2を排出するのに対し、部品の交換だけで済む再生パソコンは90%以上抑えられるといいます。
また水も1台の製造に7万リットル使用されますが90%抑制できるといいます。
回収の依頼は増えています。
この日訪れたのは職員およそ10人の社労士事務所「Be ambitious 社会保険労務士法人」。6台のパソコンを無料で回収しました。

捨てるにも廃棄料がかかるので環境に優しい活動に貢献できれば。
回収したパソコンは1つずつ手作業で再生します。
実はここでは難民申請中の従業員が4人働いています。紛争などの理由で祖国から日本に避難してきた人たちです。
およそ3年前、日本に来たカマラさん。アフリカのある国で野党政党の幹部でした。政権から命を狙われ生まれたての子どもと妻を置いて出国をせざるを得ませんでした。
難民申請中
カマラさん

私の政党は政府の敵対勢力だった。
私の赤ちゃんは祖国にいる。妻は別の国にいる。
知人の助けを借りてなんとか用意できたのが日本行きの航空券と観光ビザでした。
しかし、日本では難民手続きをして結果が出るまでは平均で4年以上、長くて10年かかるといいます。
そして認定率はわずか1%以下です。
それでも認定を待つ間、働いて経済的に自立することが求められているのです。
ピープルポート
青山明弘社長

いつ結果が出るかわからない。
ネガティブな結果になる確率が高い。それを常に抱えながら生活をしている。
自分で生きていくのも大変だし、ちゃんと安心して働けることが重要。
ここでは日本語が分からなくても…

メモリーが何GBか。
誰でも分かりやすいチェックリストを作るなど3ヵ月でひとり立ちできる体制を整えています。
働きながら世界で通用するパソコンの修理技術を身につけることができるのです。
ZERO PCには環境と難民という2つの問題に取り組む強い意志が込められています。
ピープルポート
青山明弘社長

難民という立場にいるが自分たちの力を発揮して仕事をすることで環境負荷をゼロに近づけていく。その2つを追い求める存在でありたい。
カマラさんの望みは家族で一緒に暮らすことです。
難民申請中
カマラさん

この仕事によって将来役立つ知識が増えた。
しかし、長期ビザを取らなければ日本では何もできない。
家族を呼び寄せたい。子供を日本の学校に通わせたい。